第56回日本作業療法学会

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[PN-8] ポスター:地域 8

2022年9月17日(土) 12:30 〜 13:30 ポスター会場 (イベントホール)

[PN-8-1] ポスター:地域 8作業療法士と学童保育支援員を中心に多職種で行ったオンライン勉強会の取り組み第2報

門脇 結衣1藤崎 咲子2糸山 智栄3八重樫 貴之4 (1一般社団法人ユニバーサルケアユニケア訪問看護リハビリステーション葛西,2社会福祉法人翔の会児童発達支援センターうーたん,3岡山県学童保育連絡協議会,4株式会社アシスト)

【はじめに】2016年より岡山県学童保育連絡協議会が中心となり,学童保育に作業療法士(以下,OT)が訪問してコンサルテーションを行うモデル事業が始まった.取り組みは全国各地で広がり,OTが講師となる研修会も多く開催されていた.しかし,昨今のコロナ禍により直接訪問することや対面研修の開催が困難になっていた.そこで,学童保育支援員とOTを中心に多職種でのオンライン勉強会を開催した.演者らはその取り組みと地域で求められるOT像について考察し,昨年の本学会で報告した.今回は,勉強会継続2年目を迎えた経過について第2報として報告する.尚,この勉強会は参加者,講師共に無料で行っているので利益相反はない.
【方法】2020年5月より毎週火曜日21時~22時半にオンライン会議ツールZoomを使用し開催した.昨年の報告同様に,各回のテーマは参加者の希望を元に設定,Facebookにてイベントページ作成し宣伝,勉強会参加者を募った.
【経過】2022年2月15日時点で全90回実施している.勉強会開催当初は,発達領域のOTや学童保育支援員,理学療法士,保健師,助産師などが講師を務め,内容は発達障害の基礎やアセスメント,子どもの育成支援に関わる多職種の実践や取り組みが中心であり,参加者もOTをはじめ学童保育関係者や子どもに関わる職種が多くを占めていた.2年目は,発達領域のOTや子どもに関わる職種以外に,特別支援学校や通信制高校など学校教育に携わっているOT,障害者雇用コンサルティング事業や就労支援に関わるOT,地域で起業し代表を務めるOT,またOTの他にも言語聴覚士や整理収納アドバイザーなど多岐に渡る職種が講師を務めた.講義のテーマは,それぞれの領域におけるOTの働き方や講座が数多くを占め,病院や施設以外の地域分野でのOTの実践,各立場での多職種連携の取り組みなどがあった.
【結果】勉強会参加者は毎回30~50人程度が集まった.5~6割がOTで学童保育関係者を含む残り4割は多職種の参加であった.OTや学童保育関係者の他に,理学療法士や言語聴覚士のリハビリ専門職,精神保健福祉士や社会福祉士,保育士などの福祉専門職,またテーマによっては農家や会社経営者,OT学生など,1年目と比べ幅広い立場からの参加も見られた.地域をフィールドに活動しているOTの実践報告では多世代での居場所作りや就労支援などがあり,OT自身が起業していることも特徴的だった.また,そのようなテーマの際は参加者が100名を超えることもあり,参加者の興味関心の高さも伺えた.各講義を通して勉強会参加者からは「多職種での連携の大切さを感じた」「地域と繋がることの必要性を感じた」との声が聞かれた.また行動面の広がりとして,所属先以外での地域活動や多職種の繋がりを作る,OTの仕事に興味を持ちコンサルテーションに繋げるなどそれぞれの立場で新しいアクションも生まれた.
【考察】厚生労働省が掲げる地域共生社会への実現に向けて,OTの役割として「行政や関係する各種の専門職能団体,医療機関や各種事業所と連携し,地域の実情や特性に応じた地域づくりに寄与することが必要」と述べられている.医療機関や福祉施設だけでないOTの多種多様な関わり方は「地域丸ごとのつながりの強化」のニーズに繋がっているのではと考えられる.OTを含めた支援者にとって様々な多職種を交えた学びの機会を継続していくことが地域で求められる多職種連携の必要性に触れる一助になっていたと考えられる.