[PN-9-4] ポスター:地域 9生活介護事業所を利用する重症心身障害者に対する生活支援員の日中活動支援
【はじめに】障害者総合支援法の日中活動系サービスである生活介護事業は,「豊かな社会生活と地域生活」を支える場として,身体機能や生活能力の向上のために必要な援助を行っている.対象は障害支援区分3以上のもので,障害支援区分5・6に相当する重症心身障害者(以下,重症者)が半数以上を占めている.在宅で暮らす重症者の多くは,青年・成人期以降の健康管理と二次障害の予防,大人としての社会参加の場として,生活支援員の支援を受けて日中活動に参加している.よって,作業療法士(以下,OT)は,重症者の日中活動における作業に焦点を当ててアプローチするために,生活支援員と連携する必要がある.本研究の目的は,生活介護事業所での日中活動における生活支援員が行う,重症者に対する支援の内容を解明し,OTが生活支援員と連携するための示唆を得ることである.
【方法】対象は生活介護事業所の生活支援員と事業所を利用する重症者.データ収集は,集団で行われる余暇として設定された30分間の日中活動で,生活支援員と重症者が1対1で行っている日中活動場面を,研究代表者がビデオカメラで撮影する非参加観察法.観察内容をテキストデータにして,分析はSCAT(Steps for Coding and Theorization)を用い,テキストから構成概念を生成し,ストリー化,理論記述し,構成概念を分類した.本研究は,所属大学と対象施設の研究倫理審査委員会の承認を得て行った.
【結果】対象者は,生活支援員と重症者各6名.生活支援員は男性1名,女性5名で,勤続年数は平均7年,重症者は男性3名,女性3名で,年齢は20~40歳代であった.生成された構成概念は44,小カテゴリーは15,大カテゴリーは4となった.大カテゴリーは[日中活動参加の誘い],[共同で行う日中活動],[良好な関係の維持],[表現の尊重]であった.生活支援員は重症者に対して,短い言葉がけや対象物を重症者の視線に提示することにより外界への気づきを促し,2つの対象物を提示して,選択肢による意思確認を行うことで日中活動に誘っていた.そして,重症者の崩れた姿勢を立て直して,重症者と手を一体にした身体援助により対象物の操作を行い,身振りや「ビリビリ」「チョキチョキ」などの擬態語により動作の伝達,重症者の発動を期待して待つ,達成感の共有や称賛による動機づけを行っていた.重症者が誘いに乗らない場合には,感触や音楽リズムなどで興味の探索を試み,重症者と共同で日中活動を行っていた.また,生活支援員は,重症者の体に触れ視線を合わせて身体感覚による繋がりを持ち,重症者の反応がない場合でも,重症者のありのままを受け止めて良好な関係を維持し,重症者の表情に注意を向けて,表情・視線・発声・振る舞いなどから,重症者の意思を読み取ることで,重症者の表現を尊重していた.
【考察】生活支援員が行う支援の内容は,①重症者の理解に合わせて日中活動への参加を誘い,②重症者と身体を一体にして日中活動を共同で行い,③身体感覚を通じて重症者との良好な関係を作り,④表情から重症者の意思を読み取る事であった. 辛島(2010年)は,象徴的コミュニケーションが問題となる児に対して,情動的コミュニケーションの世界に心を重ね合わせることで,意味のある活動を志向したとき満足感や有能感が育まれると述べる.よって対象となる生活支援員は,情動的コミュニケーションを用いて,重症者と日中活動を行っていたと推測された.以上のことから, OTは生活支援員と重症者との情動的つながりを基に,重症者の志向を生活支援員と共有して作業に繋げることが,生活支援員との連携の一歩になると考える.
【方法】対象は生活介護事業所の生活支援員と事業所を利用する重症者.データ収集は,集団で行われる余暇として設定された30分間の日中活動で,生活支援員と重症者が1対1で行っている日中活動場面を,研究代表者がビデオカメラで撮影する非参加観察法.観察内容をテキストデータにして,分析はSCAT(Steps for Coding and Theorization)を用い,テキストから構成概念を生成し,ストリー化,理論記述し,構成概念を分類した.本研究は,所属大学と対象施設の研究倫理審査委員会の承認を得て行った.
【結果】対象者は,生活支援員と重症者各6名.生活支援員は男性1名,女性5名で,勤続年数は平均7年,重症者は男性3名,女性3名で,年齢は20~40歳代であった.生成された構成概念は44,小カテゴリーは15,大カテゴリーは4となった.大カテゴリーは[日中活動参加の誘い],[共同で行う日中活動],[良好な関係の維持],[表現の尊重]であった.生活支援員は重症者に対して,短い言葉がけや対象物を重症者の視線に提示することにより外界への気づきを促し,2つの対象物を提示して,選択肢による意思確認を行うことで日中活動に誘っていた.そして,重症者の崩れた姿勢を立て直して,重症者と手を一体にした身体援助により対象物の操作を行い,身振りや「ビリビリ」「チョキチョキ」などの擬態語により動作の伝達,重症者の発動を期待して待つ,達成感の共有や称賛による動機づけを行っていた.重症者が誘いに乗らない場合には,感触や音楽リズムなどで興味の探索を試み,重症者と共同で日中活動を行っていた.また,生活支援員は,重症者の体に触れ視線を合わせて身体感覚による繋がりを持ち,重症者の反応がない場合でも,重症者のありのままを受け止めて良好な関係を維持し,重症者の表情に注意を向けて,表情・視線・発声・振る舞いなどから,重症者の意思を読み取ることで,重症者の表現を尊重していた.
【考察】生活支援員が行う支援の内容は,①重症者の理解に合わせて日中活動への参加を誘い,②重症者と身体を一体にして日中活動を共同で行い,③身体感覚を通じて重症者との良好な関係を作り,④表情から重症者の意思を読み取る事であった. 辛島(2010年)は,象徴的コミュニケーションが問題となる児に対して,情動的コミュニケーションの世界に心を重ね合わせることで,意味のある活動を志向したとき満足感や有能感が育まれると述べる.よって対象となる生活支援員は,情動的コミュニケーションを用いて,重症者と日中活動を行っていたと推測された.以上のことから, OTは生活支援員と重症者との情動的つながりを基に,重症者の志向を生活支援員と共有して作業に繋げることが,生活支援員との連携の一歩になると考える.