[PP-1-6] ポスター:基礎研究 1モーションキャプチャーを用いた近位箸のずれの評価
<はじめに>脳卒中に対するリハビリテーションにおいて,利き手交換訓練は重要な位置付けとなっている.現在まで非利き手での箸操作の獲得には近位箸の固定性が重要視されているが,客観的指標を示した報告は少ない.そこで本研究では,基礎研究としてモーションキャプチャーを用いて近位箸の固定性に関する指標を調査することを目的とした.
<方法>
対象は健常者34名(男性16名,女性18名;年齢23.26±9.34歳,手長;右手170.68±8.99mm,左手171.00±8.81mm)とし,利き手交換の経験がなく,中田らのAV型に該当するエディンバラの利き手テストが100%のものとした.手続きは利き手と非利き手における箸開閉動作の様子を,モーションキャプチャーを用いて動作解析を行った.測定機器は,タブレットトラッカー「TT-Z」指タッピング運動測定装置(Library製)を用い,箸の開閉時における箸先の接触回数とその際の近位箸のずれを測定した.箸は,竹箸(長さ200mm,重さ8g)を用いた.測定項目は,箸の開閉回数,近位箸のずれ(二点間距離,三点間角度)とし,訓練開始前後(初回,訓練1週間後,訓練2週間後)に測定した.近位箸のずれは,自動で追跡した箸操作時における計測点の情報から二点間距離と三点間角度を算出した.計測点はカラーラベル(エーワン,3色(水色・青色・緑色))を用い,二点間距離では環指先端(水色)・近位箸と環指の接触面(緑色),三点間角度では近位箸と環指の接触面(水色)・近位箸と示指の接触面(緑色)・示指中手骨骨間部(青色)に貼付した.訓練内容は,一色(1990)の箸操作訓練を(10分/日×10日)実施した.解析方法は,箸の開閉回数,二点間距離,三点間角度を,初回,1週間後,2週間後のそれぞれについて一元配置分散分析を行い,事後検定にBonferroni法を用いた.統計ソフトはSPSS(Version 27.0.1)を用い,統計学的有意水準は0.05とした.なお,本研究は新潟リハビリテーション大学の倫理審査委員会の承認を得て,公益財団法人明治安田こころの健康財団の助成を受けて行われた.
<結果>
開閉回数は,初回(利き手)30.00±0.00回,初回(非利き手)21.12±12.10回,1週間後(非利き手)26.32±7.76回,2週間後(非利き手)28.53±4.54回であった.二点間距離は,初回(利き手)9.98±9.39mm,初回(非利き手)15.96±13.09mm,1週間後(非利き手)10.16±5.77mm,2週間後(非利き手)10.12±7.74mmであった.
三点間角度は,初回(利き手)95.45±11.87°,初回(非利き手)86.37±12.38°,1週間後(非利き手)94.25±13.11°,2週間後(非利き手)95.22±12.29°であった.また,開閉回数,二点間距離,三点間角度の全てにおいて,初回(利き手)と初回(非利き手),初回(非利き手)と1週間後(非利き手),初回(非利き手)と2週間後(非利き手)に有意差が確認された(p<0.05,p<0.01).
<考察>
利き手においても近位箸のずれが確認されたが,非利き手の方が大きかった.これは,平川ら(2011,2014)の報告を支持する結果であった.また,非利き手による1週間後の訓練時点において,訓練前と比べて,箸の開閉回数,二点間距離,三点間角度の全てにおいて改善がみられていた.なお,1週間後と2週間後の訓練間の比較では有意差な差はみられなかった.これらのことから,非利き手の箸操作訓練にあたり,1週間の訓練期間において近位箸の固定性が高まることが示唆された.
本研究の結果から,近位箸の固定性に関する指標の一部になることが示唆された.
<方法>
対象は健常者34名(男性16名,女性18名;年齢23.26±9.34歳,手長;右手170.68±8.99mm,左手171.00±8.81mm)とし,利き手交換の経験がなく,中田らのAV型に該当するエディンバラの利き手テストが100%のものとした.手続きは利き手と非利き手における箸開閉動作の様子を,モーションキャプチャーを用いて動作解析を行った.測定機器は,タブレットトラッカー「TT-Z」指タッピング運動測定装置(Library製)を用い,箸の開閉時における箸先の接触回数とその際の近位箸のずれを測定した.箸は,竹箸(長さ200mm,重さ8g)を用いた.測定項目は,箸の開閉回数,近位箸のずれ(二点間距離,三点間角度)とし,訓練開始前後(初回,訓練1週間後,訓練2週間後)に測定した.近位箸のずれは,自動で追跡した箸操作時における計測点の情報から二点間距離と三点間角度を算出した.計測点はカラーラベル(エーワン,3色(水色・青色・緑色))を用い,二点間距離では環指先端(水色)・近位箸と環指の接触面(緑色),三点間角度では近位箸と環指の接触面(水色)・近位箸と示指の接触面(緑色)・示指中手骨骨間部(青色)に貼付した.訓練内容は,一色(1990)の箸操作訓練を(10分/日×10日)実施した.解析方法は,箸の開閉回数,二点間距離,三点間角度を,初回,1週間後,2週間後のそれぞれについて一元配置分散分析を行い,事後検定にBonferroni法を用いた.統計ソフトはSPSS(Version 27.0.1)を用い,統計学的有意水準は0.05とした.なお,本研究は新潟リハビリテーション大学の倫理審査委員会の承認を得て,公益財団法人明治安田こころの健康財団の助成を受けて行われた.
<結果>
開閉回数は,初回(利き手)30.00±0.00回,初回(非利き手)21.12±12.10回,1週間後(非利き手)26.32±7.76回,2週間後(非利き手)28.53±4.54回であった.二点間距離は,初回(利き手)9.98±9.39mm,初回(非利き手)15.96±13.09mm,1週間後(非利き手)10.16±5.77mm,2週間後(非利き手)10.12±7.74mmであった.
三点間角度は,初回(利き手)95.45±11.87°,初回(非利き手)86.37±12.38°,1週間後(非利き手)94.25±13.11°,2週間後(非利き手)95.22±12.29°であった.また,開閉回数,二点間距離,三点間角度の全てにおいて,初回(利き手)と初回(非利き手),初回(非利き手)と1週間後(非利き手),初回(非利き手)と2週間後(非利き手)に有意差が確認された(p<0.05,p<0.01).
<考察>
利き手においても近位箸のずれが確認されたが,非利き手の方が大きかった.これは,平川ら(2011,2014)の報告を支持する結果であった.また,非利き手による1週間後の訓練時点において,訓練前と比べて,箸の開閉回数,二点間距離,三点間角度の全てにおいて改善がみられていた.なお,1週間後と2週間後の訓練間の比較では有意差な差はみられなかった.これらのことから,非利き手の箸操作訓練にあたり,1週間の訓練期間において近位箸の固定性が高まることが示唆された.
本研究の結果から,近位箸の固定性に関する指標の一部になることが示唆された.