[PQ-1-2] ポスター:管理運営 1回復期リハビリテーション病棟における園芸活動導入に向けての取り組み
【序論】
高齢者の身体活動量確保にはIADLや趣味活動が必要であり,中でも園芸活動には身体機能や認知機能の向上・抑うつ気分の改善・ストレスの改善等の効果があるとされている.しかし,身体障害領域である回復期リハビリテーション病棟での入院中の関わりでは,自宅退院に向けてADLの向上が主な目的となりやすく,園芸活動の実施は,リハビリテーションの優先順位としては低くなることが多いと予想される.また,園芸活動の実施に際して適切なリスク管理や環境調整が必要であるため導入の敷居が高く,他の趣味活動と比較しても園芸を用いた作業療法の実践報告例は少ないのが現状である.一方,入院前に園芸活動の経験があり,退院後の継続を希望される方の意見を聞く機会も多い.患者の希望に沿いながらセラピストとともに退院後の生活行為目標を決定し,必要な評価や動作訓練を行うことは退院後の自立支援に重要な要素と考える.また,馴染みのある活動の提供により,自発性の向上や意欲的なリハビリテーションの実施に繋がるのではないかと考える.
【目的】
今回は当院回復期リハビリテーション病棟の入院患者複数名に対して小規模での園芸活動を作業療法として導入し,効果のあった点や管理運営面の課題について,入院患者や病院スタッフへの調査から明らかにすることを目的とする.
【方法】
対象:園芸活動の経験があり自宅への退院後も再開を検討しており,2021年6月~2021年10月の期間に当院入院中であった12名の患者.および関連する病院スタッフを対象とした.
方法:当院での園芸活動として,病院敷地内にプランター程度の規模にて園芸実施環境の設定を行った.また,作業療法場面で植え込み・水やり・収穫等作業を担当作業療法士と一緒に実施した.実施中および実施後に随時対象者から感想や課題点等の聴取を行った.なお,本調査は筆頭演者の所属機関における倫理委員会の承認を得て,患者が特定されないように配慮した.また,開示すべき利益相反の関係にある企業はない.
【結果】
患者内訳は男性1名,女性11名,平均年齢83.5±5.9歳であった.自由回答では患者より「家に帰ってもできそうで嬉しい」,病院スタッフより「入院前の園芸活動環境を想定した動作確認により,必要な環境調整についての検討ができた」「コロナ禍のため外出困難でストレスの訴えが強かったところ,見に行くのが楽しみといったポジティブな発言が多くなった」等の意見が得られた.一方で,今後の課題として感染対策の標準化,多職種との連携,園芸に対するスタッフの知識や技術不足,園芸による効果としてADLやQOL向上といった効果判定の必要性が挙げられた.
【考察】
患者からはポジティブな感想を多く得られた.野村ら(2021)は,回復期リハビリテーション病棟入院中のIADLの経験は,退院後のイメージを膨らませ退院後の不安の減少に繋がると述べている.本調査より身体障害領域での小規模の実施でも,病棟生活でのQOL向上や退院後の園芸活動への意欲向上につながる可能性が示唆された.一方で,実施に伴い具体的に明確となった管理運営上の問題点を解決し,定量的な評価にて,回復期リハビリテーション病棟で得られる園芸活動の効果を明らかにする必要がある.また,スタッフ間での理解・協働や,園芸活動の産物を利用しての創作活動・調理等活動の幅拡大が必要と考える.将来的には当院と同様の状況下にある病院へのノウハウの提供により,より多くの患者の希望する生活行為獲得に貢献可能ではないかと考える.
高齢者の身体活動量確保にはIADLや趣味活動が必要であり,中でも園芸活動には身体機能や認知機能の向上・抑うつ気分の改善・ストレスの改善等の効果があるとされている.しかし,身体障害領域である回復期リハビリテーション病棟での入院中の関わりでは,自宅退院に向けてADLの向上が主な目的となりやすく,園芸活動の実施は,リハビリテーションの優先順位としては低くなることが多いと予想される.また,園芸活動の実施に際して適切なリスク管理や環境調整が必要であるため導入の敷居が高く,他の趣味活動と比較しても園芸を用いた作業療法の実践報告例は少ないのが現状である.一方,入院前に園芸活動の経験があり,退院後の継続を希望される方の意見を聞く機会も多い.患者の希望に沿いながらセラピストとともに退院後の生活行為目標を決定し,必要な評価や動作訓練を行うことは退院後の自立支援に重要な要素と考える.また,馴染みのある活動の提供により,自発性の向上や意欲的なリハビリテーションの実施に繋がるのではないかと考える.
【目的】
今回は当院回復期リハビリテーション病棟の入院患者複数名に対して小規模での園芸活動を作業療法として導入し,効果のあった点や管理運営面の課題について,入院患者や病院スタッフへの調査から明らかにすることを目的とする.
【方法】
対象:園芸活動の経験があり自宅への退院後も再開を検討しており,2021年6月~2021年10月の期間に当院入院中であった12名の患者.および関連する病院スタッフを対象とした.
方法:当院での園芸活動として,病院敷地内にプランター程度の規模にて園芸実施環境の設定を行った.また,作業療法場面で植え込み・水やり・収穫等作業を担当作業療法士と一緒に実施した.実施中および実施後に随時対象者から感想や課題点等の聴取を行った.なお,本調査は筆頭演者の所属機関における倫理委員会の承認を得て,患者が特定されないように配慮した.また,開示すべき利益相反の関係にある企業はない.
【結果】
患者内訳は男性1名,女性11名,平均年齢83.5±5.9歳であった.自由回答では患者より「家に帰ってもできそうで嬉しい」,病院スタッフより「入院前の園芸活動環境を想定した動作確認により,必要な環境調整についての検討ができた」「コロナ禍のため外出困難でストレスの訴えが強かったところ,見に行くのが楽しみといったポジティブな発言が多くなった」等の意見が得られた.一方で,今後の課題として感染対策の標準化,多職種との連携,園芸に対するスタッフの知識や技術不足,園芸による効果としてADLやQOL向上といった効果判定の必要性が挙げられた.
【考察】
患者からはポジティブな感想を多く得られた.野村ら(2021)は,回復期リハビリテーション病棟入院中のIADLの経験は,退院後のイメージを膨らませ退院後の不安の減少に繋がると述べている.本調査より身体障害領域での小規模の実施でも,病棟生活でのQOL向上や退院後の園芸活動への意欲向上につながる可能性が示唆された.一方で,実施に伴い具体的に明確となった管理運営上の問題点を解決し,定量的な評価にて,回復期リハビリテーション病棟で得られる園芸活動の効果を明らかにする必要がある.また,スタッフ間での理解・協働や,園芸活動の産物を利用しての創作活動・調理等活動の幅拡大が必要と考える.将来的には当院と同様の状況下にある病院へのノウハウの提供により,より多くの患者の希望する生活行為獲得に貢献可能ではないかと考える.