第56回日本作業療法学会

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管理運営

[PQ-2] ポスター:管理運営 2

2022年9月16日(金) 16:00 〜 17:00 ポスター会場 (イベントホール)

[PQ-2-1] ポスター:管理運営 2回復期リハビリテーション病棟での食事評価用紙の導入について

導入後アンケートの調査より

川端 絵美1松本 宏昭1三谷 真理恵1本村 圭司1西村 瞬1 (1医療法人双葉会 西江井島病院)

【はじめに】当院では機能的自立度評価法(以下FIM)を正確に導き出すためにもまず病棟生活動作の観察能力を高める必要があると考えた.観察能力は指標に示しにくく経験年数が浅い作業療法士(以下ОT)から食事評価に対する視点に自信が持てないという声も上がっていた.そこで当院OT課では独自の食事評価用紙を作成し,臨床現場に用いる取り組みを実施した.一定期間評価用紙を使用した後アンケートを実施しその結果を踏まえ食事評価用紙の効果検証と今後の展開をまとめたので以下に報告する.今回の研究にあたり倫理的配慮として関係者からの同意および当院倫理委員会より承認を得ている.演題発表に関連し,開示すべきCOI関係にある企業などはない.
【目的】当院では食事評価の意識付け,経験年数問わず評価スキルの統一を目的に食事評価用紙を導入した後当院に在籍しているOT対象にアンケート調査を実施した.
【研究方法】研究期間は食事評価用紙を運用した令和3年1月から令和4年1月までとし,その期間を対象にアンケート調査を実施した.対象者は同意を得たOT14名.内容は,経験年数,使用有無,使用頻度,自信,FIMの採点に役立ったか,視点が養えたか・よかったか(4件法),メリットデメリット等である.アンケート期間終了後,集計データから食事評価用紙がOTに与えた効果の分析を行った.
【食事動作評価用紙内容】食事評価用紙の評価項目はICFに基づき基本情報,身体面(姿勢・手の操作・運搬状況),精神面および認知面(作業遂行状況),食事環境(場所・食具等),とした.
【アンケート結果】対象人数14名,回答数13名(経験年数6.1±4.7),回収率92.8%であった.食事評価に対する自信がなかった・ややなかったスタッフ率は78.5%(回答数13名),評価用紙の使用経験率は78.5%(回答数13名),必要性に応じて使用している90.9%(回答数11名),FIM(食事)の採点に役立った・やや役立った72.7%(回答数11名),食事評価の視点が養えた・やや養えた81.8%(回答数11名),使用してよかった・ややよかった100%(回答数11名)であった.そのほかに自由記載での回答では,使用してよかった理由としては,「項目があることで観察の抜けがなくなる」「入院当初からの変化を振り返ることができる」等といった意見があった.食事評価用紙を運用したメリットとしては,「食事評価への意識が変化した」「評価項目が統一されている」等といった意見があった.食事評価用紙を運用したデメリットとしては,「評価時に持っていくのを忘れてしまう」「評価時間がかかる」等といった意見があった.
【考察】当院独自で作成した食事動作評価用紙を使用開始した結果,評価視点を養えたと感じているスタッフが過半数を占めており,FIMの食事に関連する項目を適切に評価できるようになったと感じたスタッフが多い事から評価スキル統一・FIM評価の一助となったといえるのでないかと考える.また,食事評価用紙を活用することでOTスタッフが食事評価に対する意識をもち,身体面・精神面および認知面・環境面といった包括的な視点で食事動作を評価できたという事はOTとして非常に重要な視点を養うことが出来たと考える.
【今後の展望】OTからのコメントにあるように業務量が一時的に増える等デメリットは現状ある.
今後,負担箇所の軽減を図ると共に引き続き評価用紙の運用を継続し各療法士のさらなる評価に対する意識向上を図ると共にそれを統合と解釈,考察へと結びつけることができるような取り組みを行っていきたい.