第56回日本作業療法学会

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ポスター

管理運営

[PQ-3] ポスター:管理運営 3/援助機器 2

2022年9月17日(土) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (イベントホール)

[PQ-3-4] ポスター:管理運営 3看護職とリハビリテーション職における「チーム医療に対する態度」と「対人葛藤方略」の関連

深澤 彩1高田 幸子1関根 圭介1近藤 健2李 範爽3 (1公立藤岡総合病院,2群馬パース大学,3群馬大学大学院保健学研究科)

【はじめに】
多職種連携協働(Interprofessional Working;IPW)とは共通の目標を達成するために行われる職種間の連携を意味する.近年,医療の高度化や複雑化,超高齢社会の進展に伴い,患者やその家族のニーズが多様化し,IPWによる医療提供の重要性が高まっている.しかしながら,先行研究において,メンバー間の意見対立や葛藤に対する個人特性がどのようにIPW態度形成に影響を及ぼすのかは十分に議論されていない.本研究の目的は看護職とリハビリテーション職のIPW態度と対人葛藤方略の関連性を調べることであった.
【方法】
対象は総合病院に勤める看護職・リハビリテーション職員の175名(看護職:121名,理学療法士:31名,作業療法士:15名,言語聴覚士:8名)であった.調査内容は,性別,年齢,経験年数,勤続年数,院内チーム医療への参加の有無と修正版ATHCTS(Attitude Towards Health Care Team Scale),日本語版ROCI(Rahim Organizational Conflict Inventory)-Ⅱであった.日本語版ROCI-Ⅱには「統合解決」,「服従」,「妥協」,「回避」,「支配」の5つの対人葛藤方略がある.修正版ATHCTSは因子分析により構成概念を確認した.算出された修正版ATHCTSの因子得点と日本語版ROCI-Ⅱの各下位尺度の平均値を解析に用いた.各尺度の基本属性比較は2群間比較をMann-WhitneyのU検定,3群以上をKruskal-Wallis検定,多重比較としてSteel-Dwass法を行った.IPW態度に影響する対人葛藤方略と基本属性の調査は,修正版ATHCTSの各因子("チームケアの質","包括的チームケア","チームの相互理解","チーム効率","チームの有効性")を従属変数とした重回帰分析を行った.統計処理はIBM SPSS Ver.25とEZRを用いた.有意水準は5%未満とした.
【結果】
調査票の有効回答率は60%で105名(看護職:59名,理学療法士:27名,作業療法士:12名,言語聴覚士:7名)を分析対象者とした.群間比較の結果,看護職とリハビリテーション職間のIPW態度の差はなかった.対人葛藤方略は経験年数や勤続年数が4~10年未満の中堅層は10年以上のベテラン層よりも「回避」の傾向があり,看護職は理学療法士よりも「統合解決」の傾向があった.重回帰分析の結果,"チームケアの質"と"包括的チームケア"において「統合解決」は正の影響を及ぼし,約10%説明できることを示した."チームの相互理解"において「統合解決」と「妥協」は正の影響を及ぼし,「支配」は負の影響を及ぼすことを示し,25%説明できることが明らかになった.
【考察】
チーム医療に対する態度は職種や性別といった個人属性において差はなかったが,対人葛藤方略は職種や経験年数や勤続年数によって異なっていた.対人葛藤方略はIPW態度の予測因子として考えられ,IPWにおける双方の建設的な情報共有に影響することが示唆された.