[PQ-3-5] ポスター:管理運営 3兵庫県内のリハビリテーション情報提供書の現状と課題
急性期リハと回復期リハの情報共有の促進に向けて
【序論】我が国の政策として病院機能分化により各医療機関の連携がもとめられ,急性期の作業療法士(以下,OT)と回復期OTの情報提供が通常業務として行われている.しかし,この情報提供について,具体的内容や不足している内容について検討されたものは見当たらない.さらに,近年は回復期から急性期に向けた返信サマリー循環型パスがあるものの,急性期OTがどのような情報を求めているのか,本当に返信内容に必要な事項が書かれているのかといった内容の吟味がなされていない.そこで,作業療法士間の連携の促進と,その結果として対象者への質の高いケアに向けて情報提供書の内容の現状を把握することを目的とした.
方法】兵庫県の病床機能報告を参考に急性期および回復期病床のある施設をランダム係数を用いて無作為に選定し,対象となる施設に所属する作業療法士を対象とした.調査はGoogle formにて調査項目の作成と回収をおこなった.アンケート内容には5段階で重要度を選択して返答可能なものと自由記載ができるように設問を設定した.研究方法や倫理的配慮および調査内容のデータ使用の同意は自由に選択できるように設定した.分析方法は,回答結果を集計処理しその割合を算出するとともに,各項目の重みづけをするために記載する(必要とする)を1,記載しない(必要でない)を5として対象者数を乗法し,加重平均を求めた.本研究にあたって第1著者及び第2著者の所属施設の倫理審査による審査を受けた(承認番号:211006,はくほう医専 21-1003号).また,本研究は兵庫県作業療法士会の研究助成金を受け実施した.
【結果】急性期施設63名,回復期施設99名より回答を得た.経験年数は両施設とも5年目以下が最も多く,経験年数に伴い割合は減少した.情報提供書に急性期施設が記載している項目は1位現病歴,2位作業療法介入内容,3位麻痺評価であり,回復期施設が必要とする項目は1位現病歴,2位既往歴,3位病前生活状況であった.また返書サマリーに回復期施設が記載している項目は1位リハビリ介入状況,2位作業療法介入内容,3位認知機能であり,急性期施設が必要とする項目は1位移動手段,2位ADL評価合計点,3位上肢の生活での使用状況であった.情報提供書の重みづけでは,家族支援,趣味,利用していた介護サービスについて急性期施設の記載する際の重要性と,回復期施設の必要性に乖離がみられたが,作業療法介入内容や麻痺評価,感覚評価についてはほとんど乖離がみられなかった.また,返書サマリーでは,上肢評価,ADL評価合計点,移動手段について回復期施設の記載する際の重要性と,急性期の必要性に乖離がみられ,麻痺評価や家族支援・関節可動域制限理由についてはほとんど乖離がみられなかった.
【考察】回復期のOTは情報提供書において特定の情報より広く情報を求めており,今後の作業療法を進めていく上で情報提供書を有効活用しようとしていた.特に機能面や活動面のみならず,これまでの経過や治療方針といった個人因子や家族や家屋状況といった環境因子に関する情報も求めており,COVID-19蔓延の最中での情報収集をする重要なツールとして位置づけられていることが窺えた.急性期のOTは循環型サマリーにおいて歩行能力やADL,上肢機能を求めており,これらの項目は予後予測の因子として多く用いられていることから,結果の予後予測の精度を高めるために用いていることが窺えた.
【結語】回復期への情報提供書には急性期がもつ情報を広く提供すること,急性期への循環型サマリーでは予後予測を照合するためのデータを記載することで病期間の情報交換が適切に伝達されることが示唆された.
方法】兵庫県の病床機能報告を参考に急性期および回復期病床のある施設をランダム係数を用いて無作為に選定し,対象となる施設に所属する作業療法士を対象とした.調査はGoogle formにて調査項目の作成と回収をおこなった.アンケート内容には5段階で重要度を選択して返答可能なものと自由記載ができるように設問を設定した.研究方法や倫理的配慮および調査内容のデータ使用の同意は自由に選択できるように設定した.分析方法は,回答結果を集計処理しその割合を算出するとともに,各項目の重みづけをするために記載する(必要とする)を1,記載しない(必要でない)を5として対象者数を乗法し,加重平均を求めた.本研究にあたって第1著者及び第2著者の所属施設の倫理審査による審査を受けた(承認番号:211006,はくほう医専 21-1003号).また,本研究は兵庫県作業療法士会の研究助成金を受け実施した.
【結果】急性期施設63名,回復期施設99名より回答を得た.経験年数は両施設とも5年目以下が最も多く,経験年数に伴い割合は減少した.情報提供書に急性期施設が記載している項目は1位現病歴,2位作業療法介入内容,3位麻痺評価であり,回復期施設が必要とする項目は1位現病歴,2位既往歴,3位病前生活状況であった.また返書サマリーに回復期施設が記載している項目は1位リハビリ介入状況,2位作業療法介入内容,3位認知機能であり,急性期施設が必要とする項目は1位移動手段,2位ADL評価合計点,3位上肢の生活での使用状況であった.情報提供書の重みづけでは,家族支援,趣味,利用していた介護サービスについて急性期施設の記載する際の重要性と,回復期施設の必要性に乖離がみられたが,作業療法介入内容や麻痺評価,感覚評価についてはほとんど乖離がみられなかった.また,返書サマリーでは,上肢評価,ADL評価合計点,移動手段について回復期施設の記載する際の重要性と,急性期の必要性に乖離がみられ,麻痺評価や家族支援・関節可動域制限理由についてはほとんど乖離がみられなかった.
【考察】回復期のOTは情報提供書において特定の情報より広く情報を求めており,今後の作業療法を進めていく上で情報提供書を有効活用しようとしていた.特に機能面や活動面のみならず,これまでの経過や治療方針といった個人因子や家族や家屋状況といった環境因子に関する情報も求めており,COVID-19蔓延の最中での情報収集をする重要なツールとして位置づけられていることが窺えた.急性期のOTは循環型サマリーにおいて歩行能力やADL,上肢機能を求めており,これらの項目は予後予測の因子として多く用いられていることから,結果の予後予測の精度を高めるために用いていることが窺えた.
【結語】回復期への情報提供書には急性期がもつ情報を広く提供すること,急性期への循環型サマリーでは予後予測を照合するためのデータを記載することで病期間の情報交換が適切に伝達されることが示唆された.