[PR-3-5] ポスター:教育 3国家試験対策の早期導入
【目的】本校の昼間部は3年制であり,国家試験(以下:国試)対策は,3年次の総合実習を終えた11月から本格的に行っている.①国試は1年次の基礎科目と相関する(北村,2018:白戸,2019),②模擬試験と高い相関があり国試の学習に有効である(大西,2016:石橋,2017)ことが報告されており,本校でも模擬試験結果を主に学生指導を実施している.特に,基礎科目の点数が伸び悩む学生には,多大な指導時間を費やしているが,成績結果に反映されないことも多い.そこで,早期から国試対策としてグループワーク(以下:GW)を導入し,基礎科目の知識定着を目的とした教育を行った結果,学生の行動変化および平均点が向上したので以下に報告する.
【対象】対象は,2020年度入学の昼間部1年生35名(男性:16名,女性:19名),平均年齢29.9±8.1歳.入学とともにCOVID-19の影響を受け,クラスメイトとの交流はほぼなく前期授業はオンラインであった.対象者には紙面と口頭にて主旨を説明し,同意を得ている.
【方法】後期開始日(9月)と後期終了日(翌年3月)に基礎科目30問試験を60分間で実施した.問題作成は国試過去問から解剖・運動・生理学それぞれ10問とし,後期開始日と終了日の問題内容は変えた.解答はマークシートに加え,本校独自の解答用紙に記入するよう指示した.独自の回答用紙とは,選択肢1つ1つに対して〇または×を,そして,その解答の自信度を〇・△・×で記し,試験後の感想を自由記載する用紙である.グループ作成では,後期開始日の試験結果が6割以上の学生を各グループに1名以上配置した9グループとし,グループ間の点数を平均化した.GWは週1回90分,5ヶ月実施した.教員が作成した問題集をもとに,①声を出して問題文および選択肢を読む,②わからない・知らない用語の抽出(マーカーで記す),③マーカーで記した用語をグループメンバー(以下:メンバー)で割り振り,個々で調べ学習する用語を決める,④割り振られた用語は,用語1つに対してA4用紙1枚に絵や図を取り入れた要点を書く,⑤記入済みのA4用紙は写真を撮りグループLINEのアルバムに投稿し共有する,⑥調べた用語はメンバーに説明し,関連する問題をメンバー全員で解くことを指導した.④,⑤はGWの時間に含めず,自宅学習とした.教員はグループ間に差が生じないよう巡回し,暗記が難しい用語には意味の理解につながる手がかりの提供や行動学習を勧めた.国試対策前後の変化を確認するため,後期開始日と終了時の平均点および自信をもって解答した〇の数を対応のあるT検定で分析した.また,試験後の感想はテキストマイ二ングを使用した.
【結果】後期開始日の平均は12.69±5.3点,後期終了日の平均は22±7.01点となりt(34)=8.69,p<.01であった.自信のある解答数の平均は,3.9±4.78個から13.6±9.07個と増えt(33)=5.57,p<.01となり,国試対策前後の差は有意であることを確認した.感想では,難しい問題が「生理学から運動学」に変化し,「自信のある解答数が増えた」といった用語の出現回数が多かった.
【考察】教育効果は示されたが,全員の知識定着まで至っていない.しかし,GWを通して他者に説明することで思考を整理する,他者の考えや説明を聞くことで自己学習の確認となり,確実に知識の向上につながっていると考える.そして,丸暗記ではなく意味を理解することで使える知識が増えた結果,自信のある回答数が増えたと考える.GWは意見を出し合い,情報をまとめ直すことでより深くわかるようになる(山地,2014)と述べているように,学生の行動変化や平均点の向上から大きな手応えを感じた.
【対象】対象は,2020年度入学の昼間部1年生35名(男性:16名,女性:19名),平均年齢29.9±8.1歳.入学とともにCOVID-19の影響を受け,クラスメイトとの交流はほぼなく前期授業はオンラインであった.対象者には紙面と口頭にて主旨を説明し,同意を得ている.
【方法】後期開始日(9月)と後期終了日(翌年3月)に基礎科目30問試験を60分間で実施した.問題作成は国試過去問から解剖・運動・生理学それぞれ10問とし,後期開始日と終了日の問題内容は変えた.解答はマークシートに加え,本校独自の解答用紙に記入するよう指示した.独自の回答用紙とは,選択肢1つ1つに対して〇または×を,そして,その解答の自信度を〇・△・×で記し,試験後の感想を自由記載する用紙である.グループ作成では,後期開始日の試験結果が6割以上の学生を各グループに1名以上配置した9グループとし,グループ間の点数を平均化した.GWは週1回90分,5ヶ月実施した.教員が作成した問題集をもとに,①声を出して問題文および選択肢を読む,②わからない・知らない用語の抽出(マーカーで記す),③マーカーで記した用語をグループメンバー(以下:メンバー)で割り振り,個々で調べ学習する用語を決める,④割り振られた用語は,用語1つに対してA4用紙1枚に絵や図を取り入れた要点を書く,⑤記入済みのA4用紙は写真を撮りグループLINEのアルバムに投稿し共有する,⑥調べた用語はメンバーに説明し,関連する問題をメンバー全員で解くことを指導した.④,⑤はGWの時間に含めず,自宅学習とした.教員はグループ間に差が生じないよう巡回し,暗記が難しい用語には意味の理解につながる手がかりの提供や行動学習を勧めた.国試対策前後の変化を確認するため,後期開始日と終了時の平均点および自信をもって解答した〇の数を対応のあるT検定で分析した.また,試験後の感想はテキストマイ二ングを使用した.
【結果】後期開始日の平均は12.69±5.3点,後期終了日の平均は22±7.01点となりt(34)=8.69,p<.01であった.自信のある解答数の平均は,3.9±4.78個から13.6±9.07個と増えt(33)=5.57,p<.01となり,国試対策前後の差は有意であることを確認した.感想では,難しい問題が「生理学から運動学」に変化し,「自信のある解答数が増えた」といった用語の出現回数が多かった.
【考察】教育効果は示されたが,全員の知識定着まで至っていない.しかし,GWを通して他者に説明することで思考を整理する,他者の考えや説明を聞くことで自己学習の確認となり,確実に知識の向上につながっていると考える.そして,丸暗記ではなく意味を理解することで使える知識が増えた結果,自信のある回答数が増えたと考える.GWは意見を出し合い,情報をまとめ直すことでより深くわかるようになる(山地,2014)と述べているように,学生の行動変化や平均点の向上から大きな手応えを感じた.