第56回日本作業療法学会

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教育

[PR-5] ポスター:教育 5/理論 2

2022年9月17日(土) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (イベントホール)

[PR-5-2] ポスター:教育 5作業療法学生に対する3Dプリント自助具教育プログラム(第3報)

2019年度と2021年度の比較

澤田 有希1原田 祐輔2竹嶋 理恵1硯川 潤3近藤 知子2 (1帝京科学大学医療科学部作業療法学科,2杏林大学医療科学部作業療法学科,3国立障害者リハビリテーションセンター研究所福祉機器開発部)

【はじめに】3Dプリンタの特性を生かした自助具(以下,3Dプリント自助具)の登場により,これまでよりも多様な自助具づくりが可能になっている.しかし,3Dプリント自助具製作は,従来の作業療法知識・技術のみならず,一定の工学的知識が必要になる.作業療法士が3Dプリント自助具を十分活用できるようになるためには,養成校教育の中で取り入れていくことが大切だと考えている.そこで,我々の研究チームは,作業療法学生のための3Dプリント自助具教育プログラムを開発し,2019年度から実施している.2019・2020年度の実施を踏まえ,改めてチーム内で授業要素を体系化し直し,検討した修正版の教育プログラムを2021年度の養成校教育の中で実施した.今回,2019・2021年度の実施前後のアンケート結果を比較し,教育プログラムの効果について検証する.なお,2020年度はオンライン授業のため,今回の分析から除外した.
【3Dプリント自助具の学生教育プログラムとその実施概要】3Dプリント自助具について知り,作業療法での活用を考えられることを目的とした90分2回のプログラムである.1回目授業:①基礎知識「自助具」②基礎知識「3Dプリンタ」③3Dプリント自助具(①~③は講義)④製作実習:パソコンタイプ用自助具のサイズ調整.宿題:3Dプリンタで作製できる自助具の検索(Thingiverse利用体験)と発表準備.2回目授業:①宿題(3Dプリント自助具事例)の発表,②製作実習:「造形の設定と造形」「造形後の処理と評価」の講義と実演.2019・2021年度ともにA大学作業療法学科3年次後期科目において対面授業で実施し,1回目と2回目の授業は1週間以上開けた.両年度では,2回の授業に含まれる内容はほぼ同一だが,構成やスライド等に工夫を加えた.
【方法】研究対象者:A大学作業療法学科3年次後期科目履修者のうち協力が得られた者.2019年度27名,2021年度28名.調査手法:1回目授業前と2回目授業後のアンケート調査(集合調査法).分析:IBM SPSS Statics24を用い,有意水準5%で,①2021年度授業前後での比較(Wilcoxonの符号付順位検定),②2019・2021年度での比較(カイ2乗検定)を行った.本研究は,倫理審査委員会の承認を受けて実施した.
【結果】<基本情報>2019年度:有効回答数26・有効回答率96.3%,平均年齢20.8±0.6歳.2021年度:有効回答数26・有効回答率92.9%,平均年齢20.7±0.5歳.<2021年度の結果>3Dプリンタ・3Dプリント自助具の知識(11項目)は,授業前平均3.0項目から授業後平均8.9項目に有意に増加した.作業療法に活用できると解答した学生が,授業前88.5%から授業後96.2%に有意に増加した.<2019・2021年度での比較>3Dプリンタ・3Dプリント自助具の知識,利点,作業療法で活用できるとの回答は年度で大差が見られなかった.有意差は見られなかったが,実際に製作してみたい学生が2019年度69.2%から2021年度84.6%と増加し,より学びたい学生も23.1%から46.2%に増加した.講義自体は,両年度とも96.2%が理解できたとしたが,内容が難しいと感じた者は42.3%から61.5%に増加した.
【考察】3Dプリンタ・3Dプリント自助具の知識は,これまでと同様に増加が見られた.2021年度は特に,内容が難しいと感じたものの理解できたと感じる割合は高くなり, また,これまで少なかった「より学びたいと考える学生」の増加が見られた. 2021年度のプログラムは,内容はこれまでとほぼ同様であるが,学生が学習の過程を見通せるようにするなど,プログラムをより体系化したことが一定程度の効果を上げたと考える.
本研究は,JSPS科研費19K12893の助成を受けて実施した.