[PR-5-4] ポスター:教育 5作業療法士養成教育における就労支援に関するアンケート調査
自由記載の分析から
【はじめに】就労支援は作業療法士の卒前教育モデル・コア・カリキュラム(日本作業療法士協会,2019)において地域作業療法学の一つに位置付けられている.しかし,日本作業療法士協会会員において,就労支援事業所等に勤務する割合が低いことが示されている(日本作業療法士協会,2017).この背景の一つに養成教育上の課題が影響していると仮定し,作業療法士養成校を対象に就労支援の教育に関するアンケート調査を実施した.今回,調査の自由記載に関しテキストマイニングによる分析を行い,養成校教員の就労支援に対する意識について検討したので報告する.なお,本研究は本学の倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:02017)
【方法】対象は全国の作業療法士養成校である.日本作業療法士協会HP(2020年度養成校リスト)から本学を除いた養成校に関し,Webで調査時点での開校を確認できた205校216課程にアンケートを送付した.アンケート内容は養成校および回答者に関する基本属性,障害福祉領域および就労支援に関する科目についてであり,アンケートの最後に,作業療法士養成校における就労支援教育に対する自由記載欄を設けた.なお,調査期間は2020年2月~4月とし,アンケートの返送をもって本研究に同意したものとみなした.
分析にはKH coder3によるテキストマイニングを行った.テキストマイニングでは,自由記載における頻出語と共起ネットワークを作成した後,語の使用方法をKWICコンコーダンスで確認した.
【結果】93課程から返送があり,不適切回答の1課程を除いた.また,新設校を理由に回答を辞退した2課程を母数から除き,最終の回収率は43.0%であった.その内,自由記載欄に記載があったのは32課程(全分析対象の34.8%)であった.
自由記載に回答した養成校の属性は全て昼間部であり,私立大学4年制が11(34.4%),国公立大学4年制が9(28.1%)と4年制大学で約60%を占めていた.また,回答教員の属性は男性24名(75.0%),女性8名(25.0%),年齢は50代が13名(40.6%),40代が12名(37.5%)であり,教員経験年数は15年以上が19名(59.4%)と最も多かった.なお,就労支援の経験については経験5年以上と経験なしが9名(28.1%)と同数であった.
自由記載のテキストマイニングでは,頻出語上位10位は,「就労支援」「OT」「思う」「学生」「就労」「考える」「感じる」「教育」「興味」「支援」であった.また,共起ネットワークでは「見学」「現場」「多い」「興味」「講義」で媒介中心性が高かったため,頻出語上位10位にも含まれていた「興味」について,語の使用方法を確認した.すると,「就労支援に興味をもっている学生は一定数いますが,就職となると特に給与が病院や老健に比べると低いため,直接就職につながりにくいと感じる」「学生については,まだまだ医療的な興味が強い様にも感じています」と医療系に対し就労支援領域の待遇,および,学生の興味の低さがあげられていた.
【考察】本調査結果から,回答養成校教員において,作業療法士養成校における就労支援に関する教育上の課題として,医療系に対し就労支援領域の待遇および学生の興味の低さを感じていると思われた.特に,就労支援領域の待遇の低さは以前より就労支援に携わる作業療法士が少ない背景の一つにあげられており(香田真希子,2006),長年にわたる課題であると考えられた.今後,養成教育上における就労支援に関する位置づけの検討に加え,医療系との処遇格差を減らすための方策が必要であると思われた.
【方法】対象は全国の作業療法士養成校である.日本作業療法士協会HP(2020年度養成校リスト)から本学を除いた養成校に関し,Webで調査時点での開校を確認できた205校216課程にアンケートを送付した.アンケート内容は養成校および回答者に関する基本属性,障害福祉領域および就労支援に関する科目についてであり,アンケートの最後に,作業療法士養成校における就労支援教育に対する自由記載欄を設けた.なお,調査期間は2020年2月~4月とし,アンケートの返送をもって本研究に同意したものとみなした.
分析にはKH coder3によるテキストマイニングを行った.テキストマイニングでは,自由記載における頻出語と共起ネットワークを作成した後,語の使用方法をKWICコンコーダンスで確認した.
【結果】93課程から返送があり,不適切回答の1課程を除いた.また,新設校を理由に回答を辞退した2課程を母数から除き,最終の回収率は43.0%であった.その内,自由記載欄に記載があったのは32課程(全分析対象の34.8%)であった.
自由記載に回答した養成校の属性は全て昼間部であり,私立大学4年制が11(34.4%),国公立大学4年制が9(28.1%)と4年制大学で約60%を占めていた.また,回答教員の属性は男性24名(75.0%),女性8名(25.0%),年齢は50代が13名(40.6%),40代が12名(37.5%)であり,教員経験年数は15年以上が19名(59.4%)と最も多かった.なお,就労支援の経験については経験5年以上と経験なしが9名(28.1%)と同数であった.
自由記載のテキストマイニングでは,頻出語上位10位は,「就労支援」「OT」「思う」「学生」「就労」「考える」「感じる」「教育」「興味」「支援」であった.また,共起ネットワークでは「見学」「現場」「多い」「興味」「講義」で媒介中心性が高かったため,頻出語上位10位にも含まれていた「興味」について,語の使用方法を確認した.すると,「就労支援に興味をもっている学生は一定数いますが,就職となると特に給与が病院や老健に比べると低いため,直接就職につながりにくいと感じる」「学生については,まだまだ医療的な興味が強い様にも感じています」と医療系に対し就労支援領域の待遇,および,学生の興味の低さがあげられていた.
【考察】本調査結果から,回答養成校教員において,作業療法士養成校における就労支援に関する教育上の課題として,医療系に対し就労支援領域の待遇および学生の興味の低さを感じていると思われた.特に,就労支援領域の待遇の低さは以前より就労支援に携わる作業療法士が少ない背景の一つにあげられており(香田真希子,2006),長年にわたる課題であると考えられた.今後,養成教育上における就労支援に関する位置づけの検討に加え,医療系との処遇格差を減らすための方策が必要であると思われた.