[PR-8-4] ポスター:教育 8認知的徒弟制に基づいた臨床実習で,教え上手・学び上手になろう!
マーストリヒト臨床教育評価票(MCTQ)× 対話の活用紹介
【はじめに】臨床実習における経験学習の支援として認知的徒弟制があり,作業療法臨床実習の手引き(2018)では,その教授法として「見学・模倣・実施」が示され周知もされている.しかし,4段階の認知的徒弟制で捉えているため,経験を振り返り学びを確実なものへと支援する場合には,BrownやCollinsが提唱する6段階を踏むことが必要と感じている.さらに,指導者と学習者が協力することでより学習効果が望めると考えられる.今回,実習指導者と学生の両者に対して,後者の認知的徒弟制で経験学習を支援する手がかりとして,マーストリヒト臨床教育評価票(以下MCTQと略す)を活用した.その結果,若干の知見を得たので報告する.
【MCTQとは】2010年R.Stalmeijerらによって開発され,医学教育において医学生が臨床指導医の指導能力を評価するために作られた評価票である.6段階の認知的徒弟制に基づき作成され,「この臨床指導医は私が理解を深めるように質問してくれたか」等の14項目の評定尺度(五段階)と,総括としての概略評価から構成されている.
【目的】MCTQを本来の用い方で使用するのではなく, MCTQの14項目を実習指導者と学生の双方がなぞりながら対話し,認知的徒弟制の手がかりを得ることで得られる実習指導の効果を明らかにする.
【対象と方法】対象は,実習指導者3名(男性1名・女性2名,経験年数12±14年),学生2名(4年生,共に女性,実習期間は8週間,1人目の時期は令和3年5月〜,2人目の時期は8月〜).まず,実習開始時に実習指導者と学生とでMCTQの14項目をなぞりながら「どの様な点に配慮して指導したいか(指導して欲しいか)」を対話し内容を記録・共有.指導場面に反映させた.そして実習半ばにそれらが反映されているか点検を行った.実施後にアンケート調査を実施し,学生へは実習終了後に,実習指導者へは2人目を経験した後に実施した.アンケート内容は,MCTQを活用した一連の取り組みにより,1)認知的徒弟制を理解する(学び方を理解する)手がかりとなりましたか.2)教えるスキル(学ぶスキル)は向上しましたか.3)指導効果(学習効果)は感じられましたか.4)取り組みの感想.であり,1)〜3)は『はい・いいえ・わからない』を選択後その理由を自由記載し,4)は自由記載とした.対象者には口頭で調査の趣旨と倫理的配慮について説明し同意を得た.
【結果と考察】回収率100%.1)『はい』3名「教え方のヒントが得られた」.『わからない』2名「理解まではいかなかったが活用はできた」.このことから,認知的徒弟制をマスターするには至らなかったが,ガイドとして役立っていたことが分かった.2)3)ともに『はい』3名「議論や対話を意識できた」「尊重してもらえて伸び伸び学べた」.『いいえ』『わからない』各1名「項目の抜け落ちがあってまだまだと感じた」「自分の教える力の課題に気づいた」とあった.教えるスキル・学ぶスキルの向上,指導効果・学習効果の手応えにつながると共に,自己点検として生かされていることが分かった.4)「"学ぶ"についてお互いを理解しておくことで一方通行を予防できた」「指導にばらつきがなくて教わりやすかった」などが聞かれ,14項目をなぞる際「どの様な点に配慮して指導したいか(指導して欲しいか)」について対話し共有したことによるメリットが指摘された.認知的徒弟制を用いた経験学習は,実習指導者と学生の相互理解に基づく協働作業であると言える.MCTQの活用は,認知的徒弟制で経験学習を支援する際に有効であり,特に,実習指導者と学生が14項目をなぞりながら対話することがポイントであることがわかった.
【MCTQとは】2010年R.Stalmeijerらによって開発され,医学教育において医学生が臨床指導医の指導能力を評価するために作られた評価票である.6段階の認知的徒弟制に基づき作成され,「この臨床指導医は私が理解を深めるように質問してくれたか」等の14項目の評定尺度(五段階)と,総括としての概略評価から構成されている.
【目的】MCTQを本来の用い方で使用するのではなく, MCTQの14項目を実習指導者と学生の双方がなぞりながら対話し,認知的徒弟制の手がかりを得ることで得られる実習指導の効果を明らかにする.
【対象と方法】対象は,実習指導者3名(男性1名・女性2名,経験年数12±14年),学生2名(4年生,共に女性,実習期間は8週間,1人目の時期は令和3年5月〜,2人目の時期は8月〜).まず,実習開始時に実習指導者と学生とでMCTQの14項目をなぞりながら「どの様な点に配慮して指導したいか(指導して欲しいか)」を対話し内容を記録・共有.指導場面に反映させた.そして実習半ばにそれらが反映されているか点検を行った.実施後にアンケート調査を実施し,学生へは実習終了後に,実習指導者へは2人目を経験した後に実施した.アンケート内容は,MCTQを活用した一連の取り組みにより,1)認知的徒弟制を理解する(学び方を理解する)手がかりとなりましたか.2)教えるスキル(学ぶスキル)は向上しましたか.3)指導効果(学習効果)は感じられましたか.4)取り組みの感想.であり,1)〜3)は『はい・いいえ・わからない』を選択後その理由を自由記載し,4)は自由記載とした.対象者には口頭で調査の趣旨と倫理的配慮について説明し同意を得た.
【結果と考察】回収率100%.1)『はい』3名「教え方のヒントが得られた」.『わからない』2名「理解まではいかなかったが活用はできた」.このことから,認知的徒弟制をマスターするには至らなかったが,ガイドとして役立っていたことが分かった.2)3)ともに『はい』3名「議論や対話を意識できた」「尊重してもらえて伸び伸び学べた」.『いいえ』『わからない』各1名「項目の抜け落ちがあってまだまだと感じた」「自分の教える力の課題に気づいた」とあった.教えるスキル・学ぶスキルの向上,指導効果・学習効果の手応えにつながると共に,自己点検として生かされていることが分かった.4)「"学ぶ"についてお互いを理解しておくことで一方通行を予防できた」「指導にばらつきがなくて教わりやすかった」などが聞かれ,14項目をなぞる際「どの様な点に配慮して指導したいか(指導して欲しいか)」について対話し共有したことによるメリットが指摘された.認知的徒弟制を用いた経験学習は,実習指導者と学生の相互理解に基づく協働作業であると言える.MCTQの活用は,認知的徒弟制で経験学習を支援する際に有効であり,特に,実習指導者と学生が14項目をなぞりながら対話することがポイントであることがわかった.