第56回日本作業療法学会

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教育

[PR-8] ポスター:教育 8

2022年9月17日(土) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (イベントホール)

[PR-8-6] ポスター:教育 8複数の実習形態を組み合わせた学内実習の取り組み

泉 良太1 (1東京福祉専門学校 作業療法士科夜間部)

【はじめに】
 コロナ渦において,全国的に臨床実習が制限されている.特に都心部においてはその影響が強く,学内実習へ切り替えざるを得ない状況である.今回,幣学の2年生から3年生において複数の学内実習を実施した.今後の産学連携の強化及び卒後教育への情報提供を目的に幣学の取り組みを報告する.なお,本報告において関係者の個人情報は取り扱わず,内容の報告のみに留める.
【対象学生】
 対象は幣学に在籍する3年生58名である.対象学生は,2年次に実施した測定実習・評価実習から3年次の前期総合臨床実習までの全期間が学内実習となった.
【学内実習の紹介】
①測定実習
(通常)身体障害の現場において関節可動域測定や筋力検査など基本的な評価法を体験することを目的とした実習である.
(学内実習)学生同士で基本的な評価実技を実施し,その場面を録画した.学生3名につき臨床の作業療法士を1名配置し,オンラインにて指導を受けた.1日につき8場面程度の動画を撮影し,Googleドライブにて指導者と録画映像を共有した.動画は夕方までにアップロードするようにして,指導者は映像視聴後にGoogleスプレッドシートにフィードバックを入力してもらった.翌朝に学生が指導者からのコメントを確認・返信するとともに,その日の実技動画に指導内容を活かすというサイクルを10日間実施した.
②評価実習
(通常)身体障害・精神障害・発達障害・老年期障害のうち1ヶ所の実習地にて,作業療法初期評価とプログラム立案までを経験する.
(学内)大阪の姉妹校と共同オンライン実習を実施した.リハビリテーション病院と協賛し,入院中の症例に対して,初期評価計画からプログラム立案までを実施した.症例情報は書面と動作場面の動画を提供して頂いた.併せて,担当作業療法士とオンラインで対話できる機会を設けて症例の全体像を構築した.立案したプログラムは担当作業療法士にプレゼンテーションをして,一部を実際に実施してもらった.プログラム実施場面を撮影し,映像を用いてフィードバックを頂いた.
③前期総合臨床実習
(通常)身体障害・精神障害・発達障害・老年期障害のうち,初期評価からプログラムの実施,再評価までを行う.
(学内)学内演習目的に対象者とセラピストを派遣してくれるA社に依頼し,脳卒中後の片麻痺者に週3回来校して頂いた. 10名前後の学生グループに対して1名の対象者を担当し,実際に評価とプログラムを実施した.
【まとめ】
 今回,2年生から3年生にかけて,「評価実技の確認と現場レベルのレクチャー」→「現在進行形の症例を用いた症例検討」→「実際の対象者に対する作業療法の実践」という段階付けで学内実習を実施した.学内でありながらも,現場と接点を持ちながら実習を進めたことが工夫した点である. 中根らによるオンライン臨床実習の報告ではハンズオン・スキルの技能習得が困難であったと報告している.今回,実技実践を行えた点では技能習得の強化をできたと考えるが,実際の現場でどの程度通用するレベルなのかは定かでない.今後, ”Withコロナ”に対応するためには養成校内の努力に留めず,効果的な卒後教育構築のため産学連携を強化していく必要があると考える.