[EL-2-1] 臨床研究のデータ解析~回帰分析について
臨床研究のエビデンスレベルは無作為化比較試験が最も高いとされる。それは、無作為化試験では未収集の背景情報も含め無作為化により、比較群間の背景が揃うことでアウトカムの直接比較が可能となるからである。しかし、無作為化比較試験等の介入研究は組み入れ基準が厳格で実臨床を反映しがたい、良くなりたいと思う気持ちの強い被験者が組み入れられ、実臨床のデータと比べて予後が良くなる可能性が高いなど、治療薬の効果も出にくいという欠点がある。
一方、実臨床の結果を用いた観察研究(レジストリ研究等)では、さまざまな患者の背景によって治療法が選択されるため、治療された群とされなかったコントロール群で患者の特性が異なり、アウトカムの直接比較が困難となる。解析でこの違いを無視してしまうと、治療群はコントロール群に比べ病状が悪化していることが多いので、研究対象となる治療の効果なし、またはあたかも害であるかのような思いもかけない結果に結びつくことがしばしば起こる。このように比較群間で患者背景の異なりから治療の効果を間違って解析してしまうことを「交絡」と呼び、多くのリアルワールドデータの解析で問題とされている。
この交絡をいかに防ぐことができるかが、リアルワールドデータを用いた研究の科学性を高める重要なポイントとなる。交絡を防ぐためには重回帰、または多変量解析とよばれる統計モデルを用いて背景のデータのズレを調整することが一般的であるが、最近では傾向スコアを用いた交絡の調整法など、新たな手法が開発されている。本講演では臨床研究における回帰分析のメカニズムと、結果の解釈や無料統計ソフトEZRを用いた解析手法について説明する。
一方、実臨床の結果を用いた観察研究(レジストリ研究等)では、さまざまな患者の背景によって治療法が選択されるため、治療された群とされなかったコントロール群で患者の特性が異なり、アウトカムの直接比較が困難となる。解析でこの違いを無視してしまうと、治療群はコントロール群に比べ病状が悪化していることが多いので、研究対象となる治療の効果なし、またはあたかも害であるかのような思いもかけない結果に結びつくことがしばしば起こる。このように比較群間で患者背景の異なりから治療の効果を間違って解析してしまうことを「交絡」と呼び、多くのリアルワールドデータの解析で問題とされている。
この交絡をいかに防ぐことができるかが、リアルワールドデータを用いた研究の科学性を高める重要なポイントとなる。交絡を防ぐためには重回帰、または多変量解析とよばれる統計モデルを用いて背景のデータのズレを調整することが一般的であるが、最近では傾向スコアを用いた交絡の調整法など、新たな手法が開発されている。本講演では臨床研究における回帰分析のメカニズムと、結果の解釈や無料統計ソフトEZRを用いた解析手法について説明する。