[KL-1-1] 認知バイアス(人の思考や行動を決める際の特徴を知る)
わたしたちは、合理的で正しい判断をしていると信じています。しかし、わたしたちの判断や行動、感情はそれほど合理的ではありません。たとえば、「鉛筆と消しゴムが合計で110円です。消しゴムは鉛筆より100円高い。では、鉛筆の値段は」と問われれば、10円と答える人が少なくありません。答えが5円ということは、よく考えればわかるのですが、つい100と10という分けやすい数字に飛びついてしまった結果、10円と答えてしまうことがあります。心理学者のカーネマンは、このような思考パターンを自動的思考と呼び、人間は思った以上に、熟慮しないで計算・判断・行動していることを示してノーベル経済学賞を受賞しました。
これは、人間が案外賢くないということを意味しているのではありません。わたしたちが脳で処理できる容量には限りがあるので、そのリソースの負荷をなるべく減らそうとしてのことです。また、かならずしも時間をかけて合理的な判断を下すわけではないからです。脳は、これまでの経験から、もっともらしい結論に飛びついてしまうことが少なくありません。いわば、脳の特性のせいで、合理的ではない判断や、それまでの経験にもとづいた偏った見方をしてしまうことがあります。自分の思い込みや周囲の環境、他人からの影響、これまでの経験によって、論理的な思考が妨げられ、不合理な判断や選択をしてしまうことを「認知バイアス」といいます。
たとえば、小さい子どもに服をプレゼントするときに、男の子には青系統の服を、女の子なら赤系統の服を、と無意識のうちに考えてしまうのも、その例です。ある種の脳のくせである認知バイアスは、簡単に修正することは難しく、そのため誰もが認知バイアスに陥ります。
職場や家庭での何気ない言葉に、自分では気づかないバイアスが潜んでおり、知らないうちに他人を傷つけているかもしれません。あるいは自分の思考のくせのせいで、不要な悩みを抱えているかもしれません。
本講演では、論理的な判断だけでなく、対人場面を含めたさまざまな認知バイアスを紹介します。わたしたちは、知らないうちに他人に対してある種の認知バイアスで接したり、逆にバイアスのある態度で接せられていることもあります。認知バイアスを知ることで、自身の考えや他人の態度、社会での風潮がこれまでとは違って見えるようになるかもしれません。
これは、人間が案外賢くないということを意味しているのではありません。わたしたちが脳で処理できる容量には限りがあるので、そのリソースの負荷をなるべく減らそうとしてのことです。また、かならずしも時間をかけて合理的な判断を下すわけではないからです。脳は、これまでの経験から、もっともらしい結論に飛びついてしまうことが少なくありません。いわば、脳の特性のせいで、合理的ではない判断や、それまでの経験にもとづいた偏った見方をしてしまうことがあります。自分の思い込みや周囲の環境、他人からの影響、これまでの経験によって、論理的な思考が妨げられ、不合理な判断や選択をしてしまうことを「認知バイアス」といいます。
たとえば、小さい子どもに服をプレゼントするときに、男の子には青系統の服を、女の子なら赤系統の服を、と無意識のうちに考えてしまうのも、その例です。ある種の脳のくせである認知バイアスは、簡単に修正することは難しく、そのため誰もが認知バイアスに陥ります。
職場や家庭での何気ない言葉に、自分では気づかないバイアスが潜んでおり、知らないうちに他人を傷つけているかもしれません。あるいは自分の思考のくせのせいで、不要な悩みを抱えているかもしれません。
本講演では、論理的な判断だけでなく、対人場面を含めたさまざまな認知バイアスを紹介します。わたしたちは、知らないうちに他人に対してある種の認知バイアスで接したり、逆にバイアスのある態度で接せられていることもあります。認知バイアスを知ることで、自身の考えや他人の態度、社会での風潮がこれまでとは違って見えるようになるかもしれません。