第57回日本作業療法学会

講演情報

一般演題

心大血管疾患/神経難病

[OB-1] 一般演題:心大血管疾患 1/神経難病 2

2023年11月11日(土) 14:50 〜 16:00 第5会場 (会議場B2)

[OB-1-1] ICU acquired weakness患者のADLに対する精神機能および認知機能の影響

青山 佑介1,2, 山口 英敏3, 川村 匡史1, 水畑 芽衣1, 鈴木 章悟4 (1.名古屋大学医学部附属病院リハビリテーション部, 2.名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻リハビリテーション療法学コース, 3.名古屋大学医学部附属病院リハビリテーション科, 4.名古屋大学医学部附属病院麻酔科)

【はじめに】
ICU-AWはICU管理を必要とする重症患者に生じる筋力低下で,入院日数の長期化,ADL低下,QOL低下,自宅退院率低下などの影響を与えるため,当院ではICU入室中より全例に作業療法を行っている.ICU-AW患者における身体機能に関する報告は散見されるが,精神機能や認知機能に関する報告はないため検討した.
【方法】
2017年4月〜2023年2月に当院ICUに入室し,ICU-AWの診断基準(MRC score≦48,握力:男性<11kg,女性<8kg)に該当した18歳以上の患者を対象とし,入院中の死亡例は除外した.対象者をFIM75点をカットオフ値として,退院時ADL自立群および非自立群に分け,患者背景,入院日数,ICU入室日数,ICU退室時の身体機能,精神機能,認知機能,ADLについて比較した.2群間の比較にはMann-WhitneyのU検定を用い,p<0.05を有意差ありとした.
本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】
対象は57名(平均年齢56.67歳,男性32名)で,ADL自立群44名および非自立群13名であった.年齢や性別などの患者背景は2群間で差を認めなかった.入院日数は両群で差を認めなかったが,ICU入室日数は非自立群で有意に長かった(自立群22.20日,非自立群40.31日).ICU退室時の身体機能(MRC score:自立群47.50点,非自立群27.00点,握力: 8.90kgf,2.60kgf),精神機能(Edmonton Symptom Assessment System Revised Japanese version:18.00点,31.00点,Vitality index:7.00点,4.50点),認知機能(Mini-Cog:3.00点,1.00点),ADL(FIM:56.00点,38.00点)は,非自立群で有意な低下を認めた.
【結論】
ICU-AW患者のうち退院時ADL非自立群は,ICU退室時の身体機能に加え,精神機能,認知機能も低下しており,多角的評価・介入が有用な可能性が示唆された.