[OD-1-2] 橈骨遠位端骨折術後において外来作業療法は在宅運動プログラムの効果を高める
【はじめに】橈骨遠位端骨折(DRF)術後のリハビリテーションには,主に在宅運動(HEP:Home-based exercise program)と外来作業療法(CHT:Clinic-based hand therapy)がある.HEPはCHTの代替として遜色ないとされているが,疼痛や不安の強い患者は在宅で行う運動を十分にできないとされている.HEP単独での術後成績より,HEPにCHTを加えた成績のほうが優れるとの報告があるが,機能改善に見合わない頻回の外来作業療法は避けるべきである.また,加えるCHTの適切な頻度は不明である.本研究の目的は,DRF術後においてHEPにCHTを加えた際の治療効果を明らかにすることである.
【方法】事前のサンプルサイズ測定はPatient-Rated Wrist Evaluation(PRWE)が少なくとも11.5点(臨床的重要な差)の減少が介入群と対象群に観察されるべきとした.この違いを有意水準(α)0.05,統計的検出力80%で検出するためには,1群あたり最低31名の患者がサンプルサイズとして必要であった.DRF術後患者98例(平均年齢65±16歳,女性81%,受傷から手術まで平均5.2±4.5日)に無作為化比較試験を行った.術後に患者全員にHEP指導を行い,基本後療法として6週間のHEPを実施した.対照群(33例)には術後の外来受診時の度に作業療法士がHEP指導のみを行った.介入群(32例)にはHEP指導に加えてCHT(およそ6週間に4回)を行った.さらに高頻度(およそ6週間に8回)のCHTを行った高頻度介入群(33例)も設定した.主要アウトカムは術後6週のPRWEとした.副次アウトカムは健側比握力,健側比可動域,痛みVisual Analogue Scale(VAS),Pain Catastrophizing Scale(PCS),在宅運動実施率とした.ベースラインは術後翌日に評価した.アウトカムは術後6週と術後12週に評価した.各群間の比較には一元配置分散分析と多重比較(Tukey法)を行った.有意水準は5%未満とした.本研究は事前に大学医療情報ネットワークUMINに登録し,当院の倫理審査委員会の承認を得ている.本研究で得られた情報は匿名化を行い,個人情報を保護した.
【結果】主要アウトカム(6週PRWE)は対照群より高頻度介入群が有意に優れていた(平均値±SD; 31.6±20.1点vs 17.9±14.2点).握力は対照群および介入群より高頻度介入群が高かった(44.0±17.7%および52.7±21.9% vs 67.0±20.6%).可動域は掌屈において対照群より高頻度介入群が優れていた(60.5±15.0% vs 70.2±14.7%).痛みVASとPCS,在宅運動実施率は有意差なかった.術後12週のPRWE,痛みVAS,PCSは有意差なかったが,握力は対照群より高頻度介入群で優れていた(59.7±21.9% vs 84.4±34.7%).
【考察】HEPにCHTを加えると術後6週の成績が有意に優れていたが12週ではその優位性は失われていた.これは過去の報告と同様の結果であった.高頻度介入群が低頻度のCHTを行った介入群より術後成績が優れていた.これはHEP指導の回数が多かったためにHEPをより適切に行えていた可能性と,作業療法によって日常生活で患肢をよく使うことができていた可能性があると考えられた.
【方法】事前のサンプルサイズ測定はPatient-Rated Wrist Evaluation(PRWE)が少なくとも11.5点(臨床的重要な差)の減少が介入群と対象群に観察されるべきとした.この違いを有意水準(α)0.05,統計的検出力80%で検出するためには,1群あたり最低31名の患者がサンプルサイズとして必要であった.DRF術後患者98例(平均年齢65±16歳,女性81%,受傷から手術まで平均5.2±4.5日)に無作為化比較試験を行った.術後に患者全員にHEP指導を行い,基本後療法として6週間のHEPを実施した.対照群(33例)には術後の外来受診時の度に作業療法士がHEP指導のみを行った.介入群(32例)にはHEP指導に加えてCHT(およそ6週間に4回)を行った.さらに高頻度(およそ6週間に8回)のCHTを行った高頻度介入群(33例)も設定した.主要アウトカムは術後6週のPRWEとした.副次アウトカムは健側比握力,健側比可動域,痛みVisual Analogue Scale(VAS),Pain Catastrophizing Scale(PCS),在宅運動実施率とした.ベースラインは術後翌日に評価した.アウトカムは術後6週と術後12週に評価した.各群間の比較には一元配置分散分析と多重比較(Tukey法)を行った.有意水準は5%未満とした.本研究は事前に大学医療情報ネットワークUMINに登録し,当院の倫理審査委員会の承認を得ている.本研究で得られた情報は匿名化を行い,個人情報を保護した.
【結果】主要アウトカム(6週PRWE)は対照群より高頻度介入群が有意に優れていた(平均値±SD; 31.6±20.1点vs 17.9±14.2点).握力は対照群および介入群より高頻度介入群が高かった(44.0±17.7%および52.7±21.9% vs 67.0±20.6%).可動域は掌屈において対照群より高頻度介入群が優れていた(60.5±15.0% vs 70.2±14.7%).痛みVASとPCS,在宅運動実施率は有意差なかった.術後12週のPRWE,痛みVAS,PCSは有意差なかったが,握力は対照群より高頻度介入群で優れていた(59.7±21.9% vs 84.4±34.7%).
【考察】HEPにCHTを加えると術後6週の成績が有意に優れていたが12週ではその優位性は失われていた.これは過去の報告と同様の結果であった.高頻度介入群が低頻度のCHTを行った介入群より術後成績が優れていた.これはHEP指導の回数が多かったためにHEPをより適切に行えていた可能性と,作業療法によって日常生活で患肢をよく使うことができていた可能性があると考えられた.