[ON-3-4] デマンド型交通を利用し買い物へ行けるようになった症例
【はじめに】生活行為向上マネジメント(Management Tool For Daily Life Performance 以下,MTDLP)を活用し,デマンド型交通(以下,デマンドタクシー)を利用しての買い物が可能となったため報告する.本発表に際して症例に説明を行い,口頭及び書面で同意を得ている.
【事例紹介】70歳代女性.独居で長男・長女は家庭をもちそれぞれ車で1時間の場所に在住.関係性は良好.車で買い物や友人宅へ行くこと,趣味のパッチワークを行うことを楽しみに生活をしていたが,今回の入院を機に家族の勧めで運転免許を返納した.自宅周辺は畑が多く,スーパーまでは車で20分要す.X-2月,右半身麻痺・構音障害をみとめ受診.脳幹梗塞と診断され即日入院,保存的治療とリハビリテーションを経てX-1月退院.X月,訪問リハビリテーションとして作業療法・理学療法(各1回/週)が開始となった.屋内歩行安定性向上と趣味活動の再獲得を目標に介入.X+1月,目標達成し「好きな食べ物を買いに行きたい」と希望が聞かれたため,X+2月よりMTDLPを活用した.
【作業療法評価】介入1カ月で自宅内の移動は安定したが,外出は家族がいる時のみ行っていた.上肢・体幹の失調軽度あり,TUGは14.24秒,片脚立位は右4.82秒,左は3.38秒.HDS-Rは30点,携帯で家族と連絡をとるなど認知機能は良好.買い物は食材宅配サービスを利用していたが「宅配サービスにはない好きな食べ物を買いに行きたい」と希望が聞かれた.経過や認知機能から公共交通機関を利用しての外出獲得が可能と考えた.3か月後の合意目標として「バスやタクシーを利用し1人で買い物へ行くことができる」とした.実行度/満足度は1/2.
【経過】生活行為課題分析シートを用いて合意目標達成に向けた課題を抽出し,本人・PTと共有しながら介入.PTと協同し筋力強化練習,屋外歩行練習など身体機能の底上げを行った.OTではデマンドタクシーの利用方法やバスルートの確認,買い物練習を実施.事前に家族・ケアマネジャーに説明し同意を得て行った.X+2月,徒歩5分の郵便局,徒歩8分のゴミ捨て場にゴミを捨てに行くことが可能となった.X+3月,屋外活動が増加.療法士同行のもと,徒歩20分のバス停までの移動が可能であった.体力向上し,買い物へ行くことが現実的となったためデマンドタクシーの利用方法の確認を行った.X+4月,療法士同行のもとデマンドタクシーを利用し買い物練習を行った.デマンドタクシーの予約から店内の移動,支払いなどすべて行うことが可能であった.「1人でできそうだね」と笑顔で話された.併せてバスの利用方法やルートの確認を実施.
【結果】郵便局やゴミ捨て場まで1人で行くことが可能となり,家族に頼っていた生活上の雑務が行えるようになった.TUGは9.84秒,片脚立位は右8.07秒,左16.84秒と改善.X+5月,バスを利用し1人で歯医者を受診.買い物練習にて,1人で安全に行えるレベルであったため,訪問リハビリテーション終了.実行度/満足度は8/9.後日ケアマネジャーより,1人でデマンドタクシーを利用し買い物へ行くことができたと報告があった.
【考察】発症を機に運転免許を返納し,活動範囲が著しく狭小化.生きがいや充実感の喪失を感じていた.周りは畑が多く,徒歩圏内にスーパーがないなど環境的問題も大きかった.自治体が運用するサービスを把握していたため,サービスを軸とした実践練習を行うことが可能であった.また,優先順位を明確にし,段階的に目標を設定・共有することで合意目標達成に向け効率的な介入ができたことが要因である.
【事例紹介】70歳代女性.独居で長男・長女は家庭をもちそれぞれ車で1時間の場所に在住.関係性は良好.車で買い物や友人宅へ行くこと,趣味のパッチワークを行うことを楽しみに生活をしていたが,今回の入院を機に家族の勧めで運転免許を返納した.自宅周辺は畑が多く,スーパーまでは車で20分要す.X-2月,右半身麻痺・構音障害をみとめ受診.脳幹梗塞と診断され即日入院,保存的治療とリハビリテーションを経てX-1月退院.X月,訪問リハビリテーションとして作業療法・理学療法(各1回/週)が開始となった.屋内歩行安定性向上と趣味活動の再獲得を目標に介入.X+1月,目標達成し「好きな食べ物を買いに行きたい」と希望が聞かれたため,X+2月よりMTDLPを活用した.
【作業療法評価】介入1カ月で自宅内の移動は安定したが,外出は家族がいる時のみ行っていた.上肢・体幹の失調軽度あり,TUGは14.24秒,片脚立位は右4.82秒,左は3.38秒.HDS-Rは30点,携帯で家族と連絡をとるなど認知機能は良好.買い物は食材宅配サービスを利用していたが「宅配サービスにはない好きな食べ物を買いに行きたい」と希望が聞かれた.経過や認知機能から公共交通機関を利用しての外出獲得が可能と考えた.3か月後の合意目標として「バスやタクシーを利用し1人で買い物へ行くことができる」とした.実行度/満足度は1/2.
【経過】生活行為課題分析シートを用いて合意目標達成に向けた課題を抽出し,本人・PTと共有しながら介入.PTと協同し筋力強化練習,屋外歩行練習など身体機能の底上げを行った.OTではデマンドタクシーの利用方法やバスルートの確認,買い物練習を実施.事前に家族・ケアマネジャーに説明し同意を得て行った.X+2月,徒歩5分の郵便局,徒歩8分のゴミ捨て場にゴミを捨てに行くことが可能となった.X+3月,屋外活動が増加.療法士同行のもと,徒歩20分のバス停までの移動が可能であった.体力向上し,買い物へ行くことが現実的となったためデマンドタクシーの利用方法の確認を行った.X+4月,療法士同行のもとデマンドタクシーを利用し買い物練習を行った.デマンドタクシーの予約から店内の移動,支払いなどすべて行うことが可能であった.「1人でできそうだね」と笑顔で話された.併せてバスの利用方法やルートの確認を実施.
【結果】郵便局やゴミ捨て場まで1人で行くことが可能となり,家族に頼っていた生活上の雑務が行えるようになった.TUGは9.84秒,片脚立位は右8.07秒,左16.84秒と改善.X+5月,バスを利用し1人で歯医者を受診.買い物練習にて,1人で安全に行えるレベルであったため,訪問リハビリテーション終了.実行度/満足度は8/9.後日ケアマネジャーより,1人でデマンドタクシーを利用し買い物へ行くことができたと報告があった.
【考察】発症を機に運転免許を返納し,活動範囲が著しく狭小化.生きがいや充実感の喪失を感じていた.周りは畑が多く,徒歩圏内にスーパーがないなど環境的問題も大きかった.自治体が運用するサービスを把握していたため,サービスを軸とした実践練習を行うことが可能であった.また,優先順位を明確にし,段階的に目標を設定・共有することで合意目標達成に向け効率的な介入ができたことが要因である.