[ON-4-1] 地域在住高齢者による家庭内役割の認識
【序論】超高齢社会である我が国では,介護予防等のために高齢者が役割を持つことが重要視されている.役割は社会的役割と家庭内役割に大別されるが,退職などによって社会的役割が狭小化する高齢者にとって,家庭内役割を考慮することは重要である.しかし我が国における家庭内役割に関する先行研究では,定義について述べられているものは見当たらず,その成立過程についても明らかではない.
【目的】地域在住高齢者による家庭内役割の認識について明らかにし,家庭内役割の定義と成立過程を明確にすることを目的とする.
【方法】地域在住高齢者7名に対してインタビュー調査を実施した.調査内容は基本属性,現在の生活,生活歴,家庭内役割について尋ねた.家庭内役割については実施している役割,役割の遂行状況・実施期間・実施頻度,役割に対する満足度・価値・興味・自信とその理由,役割に対する期待の認知を尋ねた.データの収集方法ではインタビューガイドを用いた半構造化面接により収集した.面接は対象者の同意を得てICレコーダーへ録音した.分析では,対象者の音声データから逐語録を作成し,その逐語録からセグメントを作成した.そして,そのセグメントをカテゴリー化し,そのカテゴリーごとにコードを生成した.このカテゴリー化・コード化をそれ以上カテゴリー化できなくなるまで反復,循環的に繰り返した.本研究は国際医療福祉大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した.対象者に調査の内容,個人情報の保護等を文書にて説明し,同意を得た.
【結果】対象者7名のうち,性別では男性4名,女性3名であった.年齢では前期高齢者が5名,後期高齢者が2名であり,世帯構成では同居家族がいる者は5名,独居の者は2名であった.インタビュー内容の分析から,最終コードとして「家事全般,家族の世話や手伝いなど家庭内役割は終わりがない活動である」「家庭内役割は家族のために行うものであり,1人暮らしの者にはない」「やらなくなった家庭内役割ややるようになった家庭内役割がある」「家庭内役割の担い手や内容は時代や社会によって変わる」「家庭内役割に対して満足を感じたり,不満を感じたりしている」「家庭内役割は自分や家族や社会のルールに従って行っており,手出し・口出しされたくない」「家庭内役割を語る時に意識される家族への思いや自分の体験がある」の7つが生成された.
【考察】本研究の結果より,高齢者の家庭内役割を捉える視点として, 家庭内役割の「内容」「成立条件」「感情」「変化(大・小)」「規律」「自分の体験や家族への思い」があると考えられる.これらの視点の関係性として,まず家庭内役割の「内容」に含まれる家事などは,それらだけでは家庭内役割として成り立たず,「成立条件」が必要である.それを満たした上で本人・家族・社会の様々な「規律」を踏まえながら行われることが,家庭内役割の遂行における基盤になっている.家庭内役割の遂行においては様々な「感情」が引き起こされ,それによってその役割は日々の中で揺れ動いている.また,個人や家族の小さい範囲,社会や時代の大きな範囲での「変化」によっても揺り動かされており,「自分の体験や家族への思い」が全体の背景として存在していると考えられる.望月らの文献では役割の成立には他者の期待が必要であると述べられており,家庭内役割においても他者(家族)の存在があることで捉えることが可能ということが示唆された.家庭内役割の定義や成立過程を明確化するためには,対象者の家庭内役割の認識を捉えることに加えて,家族など同居者の家庭内役割の認識も捉える必要があると考える.
【目的】地域在住高齢者による家庭内役割の認識について明らかにし,家庭内役割の定義と成立過程を明確にすることを目的とする.
【方法】地域在住高齢者7名に対してインタビュー調査を実施した.調査内容は基本属性,現在の生活,生活歴,家庭内役割について尋ねた.家庭内役割については実施している役割,役割の遂行状況・実施期間・実施頻度,役割に対する満足度・価値・興味・自信とその理由,役割に対する期待の認知を尋ねた.データの収集方法ではインタビューガイドを用いた半構造化面接により収集した.面接は対象者の同意を得てICレコーダーへ録音した.分析では,対象者の音声データから逐語録を作成し,その逐語録からセグメントを作成した.そして,そのセグメントをカテゴリー化し,そのカテゴリーごとにコードを生成した.このカテゴリー化・コード化をそれ以上カテゴリー化できなくなるまで反復,循環的に繰り返した.本研究は国際医療福祉大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した.対象者に調査の内容,個人情報の保護等を文書にて説明し,同意を得た.
【結果】対象者7名のうち,性別では男性4名,女性3名であった.年齢では前期高齢者が5名,後期高齢者が2名であり,世帯構成では同居家族がいる者は5名,独居の者は2名であった.インタビュー内容の分析から,最終コードとして「家事全般,家族の世話や手伝いなど家庭内役割は終わりがない活動である」「家庭内役割は家族のために行うものであり,1人暮らしの者にはない」「やらなくなった家庭内役割ややるようになった家庭内役割がある」「家庭内役割の担い手や内容は時代や社会によって変わる」「家庭内役割に対して満足を感じたり,不満を感じたりしている」「家庭内役割は自分や家族や社会のルールに従って行っており,手出し・口出しされたくない」「家庭内役割を語る時に意識される家族への思いや自分の体験がある」の7つが生成された.
【考察】本研究の結果より,高齢者の家庭内役割を捉える視点として, 家庭内役割の「内容」「成立条件」「感情」「変化(大・小)」「規律」「自分の体験や家族への思い」があると考えられる.これらの視点の関係性として,まず家庭内役割の「内容」に含まれる家事などは,それらだけでは家庭内役割として成り立たず,「成立条件」が必要である.それを満たした上で本人・家族・社会の様々な「規律」を踏まえながら行われることが,家庭内役割の遂行における基盤になっている.家庭内役割の遂行においては様々な「感情」が引き起こされ,それによってその役割は日々の中で揺れ動いている.また,個人や家族の小さい範囲,社会や時代の大きな範囲での「変化」によっても揺り動かされており,「自分の体験や家族への思い」が全体の背景として存在していると考えられる.望月らの文献では役割の成立には他者の期待が必要であると述べられており,家庭内役割においても他者(家族)の存在があることで捉えることが可能ということが示唆された.家庭内役割の定義や成立過程を明確化するためには,対象者の家庭内役割の認識を捉えることに加えて,家族など同居者の家庭内役割の認識も捉える必要があると考える.