[OP-3-3] 回復期リハビリテーション病棟で作業中心の実践をする作業療法士の関係性構築の戦略
序論:作業療法ではclient(以下,CL)の作業従事を促す上で作業療法士(occupational therapist;以下,OT)とCLの関係性が重要となる.現在日本においてOTが働く領域は,身体障害領域の回復期病棟が最も多くなっている.そのため,回復期病棟におけるOTとCLの関係性・治療的関わり方を明らかにすることは有用であると考えられる.
【目的】
本研究の目的は,日本の回復期病棟で作業従事を促す介入をしているOTがCLの作業従事を促すために意図して構築しようとしている関係性と,関係性を構築するための関わり方を質的研究にて明らかにすることである.本研究の意義は,回復期病棟でCLの作業従事を促すには,どのような関係性の構築が必要か,また関係性構築のための関わり方を明らかにし作業療法の発展に貢献できることである.
方法:本研究は,インタビューにてデータ収集を行い,Steps for Coding and Theorization(以下,SCAT)を用いて分析を行う質的研究である.対象者は,回復期病棟のOTで以下のA)とB)に加え(a)〜(c)のいずれかに該当する者とした.A)自分が臨床で作業療法理論を使用していると考える者,B)オンラインか対面によるインタビューができる者.(a)周囲のOTがCLと良い関係性を築いていると考える者,(b)関係性に関する学会・論文発表をしている者,(c)CLとの関係性に関心を持っている者.上記の研究対象者の条件に当てはまった,①作業行動学会ホームページに掲載された研究協力の募集を見た者,②CLとの関係性構築に関する論文や学会演題の発表者,③研究代表者が学会・講習会を通じ知り合った者,④研究代表者の知人に対して,本研究募集のポスターを配布した.参加を希望した者に本研究の詳細な説明を実施した.対象者数は過去の研究を参考に10名程度とした.
インタビューは2回実施し,1回目のインタビューは基本情報の取得とインタビューガイドにもとづいて実施した.1回目のインタビュー終了後インタビュー結果の逐語録化とSCATによる分析を実施した.2回目のインタビューは,対象者に分析内容のずれや間違いがないか確認を行うとともに,1回目で不足した内容やより詳細に聞き取る必要のある事項について追加の質問を行った.
SCATで得られたテーマ/構成概念を小項目とし,類似した小項目をまとめ抽象度を上げた中項目を作成し,さらにその中項目をまとめ抽象度を上げた大項目を作成した.
結果:対象者となったOTは12名(男性6名,女性6名)であった.CLの作業従事を促す関わりとして【協業する関わり】【作業の探索を促す関わり】【黒子の役割を演じる関わり】【CLの周辺から情報を収集する関わり】【CLを理解しようとする関わり】【CLを導く関わり】という6つの大項目が抽出された.CLの作業従事を阻害してしまう関わりとして【CLを過剰に考慮する関わり】【非CL中心の関わり】【CLの要求レベルに達しない関わり】【物事を曖昧にし誤魔化す関わり】という4つの大項目が抽出された.
考察:海外の先行研究と比較すると【黒子の役割を演じる関わり】【CLの周辺から情報を収集する関わり】が,日本の先行研究と比較すると【CLの周辺から情報を収集する関わり】が本研究独自のものであった.また,OTの語りから【共に目標へ歩む関係性】【支援者―被支援者関係性】【被信頼―信頼関係性】【何でもさらけ出せる関係性】【教育者―被教育者関係性】という5つの作業従事を促す関係性と,【被支配―支配関係性】【支配―被支配関係性】【焦り―苛立ち関係性】【曖昧―不信関係性】という4つの意図せず作業従事を阻害してしまう関係性が導き出された.以上より意図した関係性構築の重要性が示唆された.
【目的】
本研究の目的は,日本の回復期病棟で作業従事を促す介入をしているOTがCLの作業従事を促すために意図して構築しようとしている関係性と,関係性を構築するための関わり方を質的研究にて明らかにすることである.本研究の意義は,回復期病棟でCLの作業従事を促すには,どのような関係性の構築が必要か,また関係性構築のための関わり方を明らかにし作業療法の発展に貢献できることである.
方法:本研究は,インタビューにてデータ収集を行い,Steps for Coding and Theorization(以下,SCAT)を用いて分析を行う質的研究である.対象者は,回復期病棟のOTで以下のA)とB)に加え(a)〜(c)のいずれかに該当する者とした.A)自分が臨床で作業療法理論を使用していると考える者,B)オンラインか対面によるインタビューができる者.(a)周囲のOTがCLと良い関係性を築いていると考える者,(b)関係性に関する学会・論文発表をしている者,(c)CLとの関係性に関心を持っている者.上記の研究対象者の条件に当てはまった,①作業行動学会ホームページに掲載された研究協力の募集を見た者,②CLとの関係性構築に関する論文や学会演題の発表者,③研究代表者が学会・講習会を通じ知り合った者,④研究代表者の知人に対して,本研究募集のポスターを配布した.参加を希望した者に本研究の詳細な説明を実施した.対象者数は過去の研究を参考に10名程度とした.
インタビューは2回実施し,1回目のインタビューは基本情報の取得とインタビューガイドにもとづいて実施した.1回目のインタビュー終了後インタビュー結果の逐語録化とSCATによる分析を実施した.2回目のインタビューは,対象者に分析内容のずれや間違いがないか確認を行うとともに,1回目で不足した内容やより詳細に聞き取る必要のある事項について追加の質問を行った.
SCATで得られたテーマ/構成概念を小項目とし,類似した小項目をまとめ抽象度を上げた中項目を作成し,さらにその中項目をまとめ抽象度を上げた大項目を作成した.
結果:対象者となったOTは12名(男性6名,女性6名)であった.CLの作業従事を促す関わりとして【協業する関わり】【作業の探索を促す関わり】【黒子の役割を演じる関わり】【CLの周辺から情報を収集する関わり】【CLを理解しようとする関わり】【CLを導く関わり】という6つの大項目が抽出された.CLの作業従事を阻害してしまう関わりとして【CLを過剰に考慮する関わり】【非CL中心の関わり】【CLの要求レベルに達しない関わり】【物事を曖昧にし誤魔化す関わり】という4つの大項目が抽出された.
考察:海外の先行研究と比較すると【黒子の役割を演じる関わり】【CLの周辺から情報を収集する関わり】が,日本の先行研究と比較すると【CLの周辺から情報を収集する関わり】が本研究独自のものであった.また,OTの語りから【共に目標へ歩む関係性】【支援者―被支援者関係性】【被信頼―信頼関係性】【何でもさらけ出せる関係性】【教育者―被教育者関係性】という5つの作業従事を促す関係性と,【被支配―支配関係性】【支配―被支配関係性】【焦り―苛立ち関係性】【曖昧―不信関係性】という4つの意図せず作業従事を阻害してしまう関係性が導き出された.以上より意図した関係性構築の重要性が示唆された.