第57回日本作業療法学会

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一般演題

脳血管疾患等

[OR-3] 一般演題:教育 3

Sun. Nov 12, 2023 8:30 AM - 9:30 AM 第5会場 (会議場B2)

[OR-3-1] COVID-19影響下での新人教育の取り組みに対する満足度調査

苅部 直寿1, 高木 洋平2, 寺井 淳志3, 細川 雄平4 (1.南淡路病院リハビリテーション部, 2.平成扇病院リハビリテーション部, 3.サポートハウスココロネ住吉リハビリテーション部, 4.平成リハビリテーション専門学校作業療法学科)

【序論・目的】
 平成医療福祉グループ(以下,グループ)では,毎年,新人作業療法士(以下,新人OT)による症例報告会を実施している.しかし,2019年度以降はCOVID-19により対面形式は中止されWEB発表となったが,本来受けられるはずの十分なフィードバックは受けられず,貴重な学習機会が失われた.そこでOTに特化した教育支援体制として立ち上げたOT推進チームにて,希望する新人OTに対し,チームメンバー(以下,メンバー)がアドバイスシートにてフィードバックを行った.2021年度は112施設から16件の依頼があった.今回,2020年度,2021年度の2回にわたり,依頼者・所属先の責任者に対しアンケート方式による満足度調査を実施した.その結果より,本取り組みの質と満足度の更なる向上,グループに所属するOT全体の教育と臨床における質の向上を目的に本研究に取り組んだ.
【方法】
 アンケートはGoogleフォームを用いて,匿名で選択肢と自由記述方式で回答を得た.
対象は応募のあった新人OT16名と所属するリハビリテーション科責任者10名とした.質問項目はアドバイスの質や満足度等の全12項目とした.統計処理は記述統計とし,倫理的配慮は調査目的ならびに職務上の不利益が生じない旨を文書で説明し,アンケートの回答を以て同意とした.
【結果】
 アンケート回収率は57.6%(15/26名)であった.全体的な満足度は,満足が13名(86.7%),であった.内容が役立つかという問いには,役立つが14名(93.3%),「特に役立った内容は?」に対して最も多かった回答は,希望するアドバイス(50%)であった.理由は,「ほしいアドバイスを焦点化できる」が多かった.次年度以降も本取り組みが有効かという問いは,回答した15名全員が有効と回答した.しかし,返信期間は,満足が4名(26.6%)であった.本取り組みの改善点は,多様な応募方法,返信期間短縮があがった.
【考察】
 本取り組みの満足度は前年度と同様に高く,特にフィードバックの焦点化が役立つことがわかった.藤田聡行ら(2017)は,「ステップアップの早い新人には,様々な経験年数を持つ指導者がバランスよくかかわっている」1)と報告している.メンバーが幅広い経験年数から構成されたことも,今回の結果につながったと考えられる.一方で返信期間の満足度は低く,課題が残る結果となった.理由として,全てのWEB発表終了後,月4症例に絞りメンバーに依頼する方法を継続していたため,返信に最短20日・最長60日間を要していた.今後は,発表の1週間前から募集を開始し,平均30日以内でのフィードバックを検討している.
フィードバック内容の更なる満足度向上も本取り組みの質を高めることが,新人OTの満足度を高めることにつながると考える.アドバイスシートに関しては,「役立った」と多く回答した項目に絞り,応募者がほしいアドバイスを中心に提供する方向で既に取り組んでいる.応募方法の多様化も満足度・応募数の向上につながると考える.理由として,本取り組みの要望を尋ねる項目で,「応募チラシなど多様なアクセス方法があれば助かる,広く知ってもらえると思う」といった意見が多かった.そのため,QRコード付チラシなど,身近なアクセス方法を導入する.今後も本取り組みに対する検討を重ね,グループに所属するOTの満足度をさらに高めていきたい.
【文献】
1)藤田聡行,他:OJTによる新人教育を通じたチームビルディングの現状ーOJTシートの活用から新人教育に与える影響ー.理学療法科学.2017,32:803-808