[PA-11-9] 脳損傷後の自動車運転中止後の外出頻度に与える要因に関する質的研究
【はじめに】
近年,高齢者や脳損傷者での自動車運転免許の自主返納が増加する一方で,自動車運転中止による要介護発生リスクの増加(Shimada et al,2016)など問題点が指摘されている.一方で,脳損傷者に対する自動車運転再開に向けた支援は広がってきてはいるものの,自動車運転中止後の生活維持などに対する課題に関する報告は少ない.今回,脳損傷後に自動車運転を中止した対象者に対して半構造化面接を行い,自動車運転を中止した対象者の支援方法について明らかにすることを目的に,当地域における脳損傷後の自動車運転中止による外出頻度に影響を及ぼす要因について調査を実施した.
【対象】
嶋田病院(以下,当院)にて2019年3月から2021年5月までの期間に脳損傷後に自動車運転支援を行った入院患者166名と外来患者13名の計179名にアンケート調査を行い,59名より回答が得られた.回答の得られた59名のうち,脳損傷後に自動車運転を中止した対象者19名の中から失語症のある者,病前より外出頻度が1回/週以下の者,面接の同意を得られなかった者を除外した4名を対象とした.
【方法】
対象者に対して30-60分程度の半構造化面接を行った.そしてSteps for Coding and Theorization(以下,SCAT)による分析を行い,その意味コード・構成概念を紡いでストーリーラインを記述し,そこから理論を記述し,また構成概念図を作成した.
【倫理的配慮】
本研究は,当院と国際医療福祉大学(承認番号:21-Ifh-011)の倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】
SCAT分析の結果,77個の意味コード・構成概念が得られ,23個の小カテゴリー,11個の中カテゴリー,5個の大カテゴリーに分類された.その中から,運転断念後の外出頻度に影響を及ぼす要因として“外出の目的と手段”“人との関わりと地域環境”があり,そのことで“運転断念による生活の影響”を与え,“生活の質”に関連しあう構成となった.
【考察】
脳損傷後の自動車運転中止後の外出頻度に影響を及ぼす要因として,“外出の目的と手段”“人との関わりと地域環境”の2つが抽出された.先行研究においても外出頻度との関連として,交友関係(鳩野ら,2001)や利便性(橋本ら,2014)など影響が指摘されていることからも人との関わりの創出・代替手段の獲得・地域環境の整備が重要な課題となっていると考える.
しかし,運転断念により外出に制限がある中でも,新たな生きがいを創出し,生活の質の維持・向上に寄与していることも分かった.先行研究においてQOLと役割や楽しみとの関連が指摘(佐藤ら,2011)されており,脳損傷後に運転を断念し外出が困難な場合でも家庭内役割や楽しみの再構築による生きがいの創出が必要であると考えられた.
近年,高齢者や脳損傷者での自動車運転免許の自主返納が増加する一方で,自動車運転中止による要介護発生リスクの増加(Shimada et al,2016)など問題点が指摘されている.一方で,脳損傷者に対する自動車運転再開に向けた支援は広がってきてはいるものの,自動車運転中止後の生活維持などに対する課題に関する報告は少ない.今回,脳損傷後に自動車運転を中止した対象者に対して半構造化面接を行い,自動車運転を中止した対象者の支援方法について明らかにすることを目的に,当地域における脳損傷後の自動車運転中止による外出頻度に影響を及ぼす要因について調査を実施した.
【対象】
嶋田病院(以下,当院)にて2019年3月から2021年5月までの期間に脳損傷後に自動車運転支援を行った入院患者166名と外来患者13名の計179名にアンケート調査を行い,59名より回答が得られた.回答の得られた59名のうち,脳損傷後に自動車運転を中止した対象者19名の中から失語症のある者,病前より外出頻度が1回/週以下の者,面接の同意を得られなかった者を除外した4名を対象とした.
【方法】
対象者に対して30-60分程度の半構造化面接を行った.そしてSteps for Coding and Theorization(以下,SCAT)による分析を行い,その意味コード・構成概念を紡いでストーリーラインを記述し,そこから理論を記述し,また構成概念図を作成した.
【倫理的配慮】
本研究は,当院と国際医療福祉大学(承認番号:21-Ifh-011)の倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】
SCAT分析の結果,77個の意味コード・構成概念が得られ,23個の小カテゴリー,11個の中カテゴリー,5個の大カテゴリーに分類された.その中から,運転断念後の外出頻度に影響を及ぼす要因として“外出の目的と手段”“人との関わりと地域環境”があり,そのことで“運転断念による生活の影響”を与え,“生活の質”に関連しあう構成となった.
【考察】
脳損傷後の自動車運転中止後の外出頻度に影響を及ぼす要因として,“外出の目的と手段”“人との関わりと地域環境”の2つが抽出された.先行研究においても外出頻度との関連として,交友関係(鳩野ら,2001)や利便性(橋本ら,2014)など影響が指摘されていることからも人との関わりの創出・代替手段の獲得・地域環境の整備が重要な課題となっていると考える.
しかし,運転断念により外出に制限がある中でも,新たな生きがいを創出し,生活の質の維持・向上に寄与していることも分かった.先行研究においてQOLと役割や楽しみとの関連が指摘(佐藤ら,2011)されており,脳損傷後に運転を断念し外出が困難な場合でも家庭内役割や楽しみの再構築による生きがいの創出が必要であると考えられた.