[PB-3-4] 認知症心不全患者に対して睡眠‐覚醒リズムに着目し介入した事例
【序論】代償期心不全においては,過度な安静を起こさないよう,適切な身体活動,活動と休息のバランス調整を支援することが重要である.心不全患者の約50%に睡眠時無呼吸障害が存在しており介入の重要性が述べられているが,その他の睡眠障害についての記述は少ない.しかし,高齢心不全患者においては認知症等の種々の問題により睡眠障害をきたす場合も多く経験的に介入に難渋することが多い.本報告では,心不全患者における睡眠-覚醒リズムの評価と作業療法での取り組みについて述べる.尚,本演題で発表する内容は本人及び家族への説明・同意を得ている.また,当院の倫理審査の承認を得た.
【症例】80代男性,身長:155㎝.体重:36㎏.疾患名:心不全(経皮的冠動脈インターベンション後). BNP36.4pg/ml,CTR58.9%(臥位)現病歴:胆嚢炎にて食思不振をきたし中心静脈栄養で栄養管理となり当院療養病棟へ入院となった.
【作業療法評価】HDS-R7,Dementia Behavior Disturbance Scale14(以下DBD),会話はその場でのやり取りは可能, Barthel index5,ADLはベッドサイドレベル,移乗動作は中等度介助で車椅子乗車まで可能,New York Heart AssociationⅢ.Nohria-stevensonProfielA,末梢冷感や呼吸不全などはみられず代償期心不全であった.日中は声出しやベッドから降りようとし,夜間も入眠せず不穏状態が続き眠剤としてリスペリドンOD錠が夜間導入された.睡眠においては呼吸平静で起坐呼吸や睡眠呼吸障害などの所見はみられない.
【作業療法介入・経過】代償期心不全であり増悪予防のために必要な身体活動量が低下していたため,心不全の状態を評価しながら離床,眠剤からの離脱を作業療法目標とした.そこで観察による睡眠-覚醒リズム表を1か月実施し睡眠相のパターンを評価し睡眠-覚醒リズムの修正及び看護師と離床を実施した.作業療法では介入頻度や介入時間を調整しながら介入することとし事例の趣味活動であった園芸を取り入れた離床を行った,平均総睡眠時間8.4時間,日中は覚醒しており午睡等はみられない,午前と午後に20~40分ほど理学療法士や看護師と共に車椅子離床を実施した.また,身体機能訓練は日により受け入れ不良だったが,園芸では水やりや花の選定などの作業は取り組む場面がみられた.
【結果】1か月間の介入で眠剤の離脱には至らなかったが,29日目以降は眠剤導入前に入眠していたが生活音で覚醒して眠剤を頓服した等の場面を看護師より聴取することができた. DBD12でスタッフとの交流場面で冗談を話したり,笑顔が見られる等対人交流機会の改善,情動的反応の改善もみられた.浮腫や起坐呼吸などの身体兆候の出現もなく心不全の増悪なく経過している.
【考察】心不全では適切な身体活動の必要性が述べられているが身体活動を行う前の準備状態である概日リズムのコントロールが重要となる.本事例では睡眠・活動リズムの評価を行うことで多職種連携や,1日を通した日常ケアの中で継続的に行われるアプローチに繋がったと考えられる.また,作業療法では事例の興味のある活動を取り入れその作業に従事してもらうことで活動への動機づけや日中の活動性向上に繋がり概日リズムの獲得,夜間の休息に繋がったと考えられる.
【結語】高齢心不全患者においては認知症等の種々の要因によりデコンディショニングを起こしやすく,スムーズな離床や運動療法の導入が阻害することが多い.作業療法では,概日リズムのコントロールや生活環境の調整を行い,心不全患者への介入の一助となると考える.
【症例】80代男性,身長:155㎝.体重:36㎏.疾患名:心不全(経皮的冠動脈インターベンション後). BNP36.4pg/ml,CTR58.9%(臥位)現病歴:胆嚢炎にて食思不振をきたし中心静脈栄養で栄養管理となり当院療養病棟へ入院となった.
【作業療法評価】HDS-R7,Dementia Behavior Disturbance Scale14(以下DBD),会話はその場でのやり取りは可能, Barthel index5,ADLはベッドサイドレベル,移乗動作は中等度介助で車椅子乗車まで可能,New York Heart AssociationⅢ.Nohria-stevensonProfielA,末梢冷感や呼吸不全などはみられず代償期心不全であった.日中は声出しやベッドから降りようとし,夜間も入眠せず不穏状態が続き眠剤としてリスペリドンOD錠が夜間導入された.睡眠においては呼吸平静で起坐呼吸や睡眠呼吸障害などの所見はみられない.
【作業療法介入・経過】代償期心不全であり増悪予防のために必要な身体活動量が低下していたため,心不全の状態を評価しながら離床,眠剤からの離脱を作業療法目標とした.そこで観察による睡眠-覚醒リズム表を1か月実施し睡眠相のパターンを評価し睡眠-覚醒リズムの修正及び看護師と離床を実施した.作業療法では介入頻度や介入時間を調整しながら介入することとし事例の趣味活動であった園芸を取り入れた離床を行った,平均総睡眠時間8.4時間,日中は覚醒しており午睡等はみられない,午前と午後に20~40分ほど理学療法士や看護師と共に車椅子離床を実施した.また,身体機能訓練は日により受け入れ不良だったが,園芸では水やりや花の選定などの作業は取り組む場面がみられた.
【結果】1か月間の介入で眠剤の離脱には至らなかったが,29日目以降は眠剤導入前に入眠していたが生活音で覚醒して眠剤を頓服した等の場面を看護師より聴取することができた. DBD12でスタッフとの交流場面で冗談を話したり,笑顔が見られる等対人交流機会の改善,情動的反応の改善もみられた.浮腫や起坐呼吸などの身体兆候の出現もなく心不全の増悪なく経過している.
【考察】心不全では適切な身体活動の必要性が述べられているが身体活動を行う前の準備状態である概日リズムのコントロールが重要となる.本事例では睡眠・活動リズムの評価を行うことで多職種連携や,1日を通した日常ケアの中で継続的に行われるアプローチに繋がったと考えられる.また,作業療法では事例の興味のある活動を取り入れその作業に従事してもらうことで活動への動機づけや日中の活動性向上に繋がり概日リズムの獲得,夜間の休息に繋がったと考えられる.
【結語】高齢心不全患者においては認知症等の種々の要因によりデコンディショニングを起こしやすく,スムーズな離床や運動療法の導入が阻害することが多い.作業療法では,概日リズムのコントロールや生活環境の調整を行い,心不全患者への介入の一助となると考える.