[PC-4-3] 慢性閉塞性肺疾患(COPD)における運動耐容能と前頭葉機能の関連
【目的】慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:以下COPD)はタバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露すること等で生ずる肺疾患であり,呼吸機能検査で気流閉塞を示す.徐々に進行する労作時の呼吸困難や慢性の咳,痰を主症状とする.COPDによる全身への影響として全身性炎症,栄養障害,骨格筋機能障害,心・血管疾患,骨粗鬆症,不安・抑うつ,糖尿病等様々な併存症が存在する1).COPDの併存症に高次脳機能障害があり,前頭葉機能低下が指摘されている2)が,その患者特性は明らかになっていない.そこで本研究では,COPD患者の前頭葉機能と運動耐容能の関連について検討を行った.
【方法】6分間歩行距離(以下6MWD)により,COPD患者を運動耐容能維持群と運動耐容能低下群の2群に分け,Mann-Whitney U 検定で前頭葉機能検査(以下FAB)合計点を比較した.二次解析として重回帰分析とROC解析を行い,交絡因子の調整と前頭葉機能低下に対する6MWDのカットオフ値を算出した.
【結果】FAB合計点は,運動耐容能低下群で有意に低値を示した(p = .009).また重回帰分析において年齢と%FEV₁を共変量に加えても,FAB合計点に対し,6MWDの有意な正の回帰係数が認められた(β=0.42 , p = .028).加えてROC解析から6MWD:284mが前頭葉機能低下のカットオフ値として算出された.
【結語】COPDにおける運動耐容能と前頭葉機能は関連を認め,運動耐容能が低下しているCOPD患者は前頭葉機能が低下していることが示唆された.
1)日本呼吸器学会:第Ⅰ章 疾患概念と基礎知識,日本呼吸器学会COPDガイドライン第5版作成委員会編, COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版2018,株式会社メディカルレビュー社,東京,2018,7-46.
2)岡島 聡,東本 有司,本田 憲胤 他:慢性閉塞性肺疾患患者における前頭葉機能の検討 ─frontal assessment batteryを用いて─.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌,21:138-141,2011.
【方法】6分間歩行距離(以下6MWD)により,COPD患者を運動耐容能維持群と運動耐容能低下群の2群に分け,Mann-Whitney U 検定で前頭葉機能検査(以下FAB)合計点を比較した.二次解析として重回帰分析とROC解析を行い,交絡因子の調整と前頭葉機能低下に対する6MWDのカットオフ値を算出した.
【結果】FAB合計点は,運動耐容能低下群で有意に低値を示した(p = .009).また重回帰分析において年齢と%FEV₁を共変量に加えても,FAB合計点に対し,6MWDの有意な正の回帰係数が認められた(β=0.42 , p = .028).加えてROC解析から6MWD:284mが前頭葉機能低下のカットオフ値として算出された.
【結語】COPDにおける運動耐容能と前頭葉機能は関連を認め,運動耐容能が低下しているCOPD患者は前頭葉機能が低下していることが示唆された.
1)日本呼吸器学会:第Ⅰ章 疾患概念と基礎知識,日本呼吸器学会COPDガイドライン第5版作成委員会編, COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版2018,株式会社メディカルレビュー社,東京,2018,7-46.
2)岡島 聡,東本 有司,本田 憲胤 他:慢性閉塞性肺疾患患者における前頭葉機能の検討 ─frontal assessment batteryを用いて─.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌,21:138-141,2011.