[PD-4-1] リハビリテーションに関する達成動機尺度に基づく自己評定法と面接法,歩数計を併用した介入
【はじめに】リハビリテーション(以下,リハ)での達成動機(目標をやり遂げたいという意欲)を評価できる質問紙尺度(SAMR)は,これまでに整形疾患や脳血管疾患の患者への介入が報告(佐野ら2020, 松本ら2019・2020)され,SAMRの評価と面接法による介入手順についても報告されている(松本ら2021).今回,従来の介入に加え,歩数計を使用して活動量の確認を行なった介入について報告する.発表に際し,事例より書面にて同意を得た.
【事例紹介】70歳代女性.診断名は恥骨骨折の術後.現病歴は,X年Y月Z日,自宅で後方に転倒し左臀部を打撲し恥骨骨折の診断を受けた.当院一般病棟にて入院加療していたが,骨癒合不十分なため転院し骨接合術を施行した.Z +70日,当院へ再度転院,Z +84日に回復期リハビリテーション病棟転棟となる.既往歴は,パーキンソン病,糖尿病.初回評価時(回復期病棟転入後リハ介入3日目)は,FIMは99/126点.セルフケアは入浴や更衣に介助を要し,日中はベッド臥床している時間が長かった.MMSEは26/30点.HADSは9点.恥骨部の疼痛は2/10.事例は「退院はしたい」「体力が落ちた気がする」「家に帰るためには運動したほうがいいと思うけど動いてない」という主訴と悲観的な発言がみられた.
【介入計画】先行研究(松本ら2021)に倣い,SAMRの合計点と下位尺度得点から達成動機の状態を把握し,その後に面接で具体的な生活行為に繋がる長期,短期目標を協議する.目標達成へ自身で取り組む課題や周囲がサポートする内容を担当者(OTR)と決め,内容をまとめ可視化する.また,活動量把握のため事例のスマートフォンのアプリを用いて1日の歩数を確認する.また,遂行状況に応じ目標等を再設定する.
【経過】介入4日目: SAMRの合計点は41点で達成動機の状態はやや低い,自己研鑽的因子の項目平均点は4.0点で自己の成長を十分には感じられていない可能性があった.面接では長期目標を「自宅で家事をする/杖で転ばずに歩く」,短期目標は「1日に病棟の廊下を歩行器歩行で10往復歩く」とした.自身で取り組む課題を「歩行車で廊下を歩く」「歩数計を携帯する」とした.周囲のサポート内容は,リハスタッフに「歩行練習を一緒にする」「足の筋力を鍛えるメニューを作る」,看護師に「体調の管理」を求めた.これらの内容を冊子にまとめ,視覚的な意識付けをした.また,日々の活動の状態が把握できるようにリハ開始時に前日の歩数の確認を行い,歩数約1000歩であった.
介入26日目: SAMRの合計点は57点で状態はやや高い,自己研鑽的的因子の項目平均点は5.8点となった.事例は「歩行車で歩けています」「杖歩行もしています」「家事の練習のリハビリをしましょう」「前と比べて歩数は増えていますね」と毎日自身で取り組む課題や目標を達成した内容や今後の生活にも意識を向けられるようになった.また,FIMは111/126点,恥骨部の疼痛は1/10に改善した.歩数は約4000歩であった.
【考察】受傷後の疼痛の増強による安静や活動量の低下により,今後の生活の展望や目標が立てられず活動量も低下し,達成動機の低下が見られていた.しかし,事例の達成動機の状態を考慮しながら面接で具体的な生活行為に結びつく目標設定と達成の段階づけ,具体的な行動計画や周囲の支援を明確化した.また,従来の方法に加えて歩数計を使用することで,活動の状態を数値で明確にフィードバックでき歩数が増加する事に意欲の向上が図れていったと考える.しかし,歩数計は歩行時の状態しか記録ができないため,活動量計等で1日の活動が正確にフィードバックできる機器の検討を行う必要もあった.
【事例紹介】70歳代女性.診断名は恥骨骨折の術後.現病歴は,X年Y月Z日,自宅で後方に転倒し左臀部を打撲し恥骨骨折の診断を受けた.当院一般病棟にて入院加療していたが,骨癒合不十分なため転院し骨接合術を施行した.Z +70日,当院へ再度転院,Z +84日に回復期リハビリテーション病棟転棟となる.既往歴は,パーキンソン病,糖尿病.初回評価時(回復期病棟転入後リハ介入3日目)は,FIMは99/126点.セルフケアは入浴や更衣に介助を要し,日中はベッド臥床している時間が長かった.MMSEは26/30点.HADSは9点.恥骨部の疼痛は2/10.事例は「退院はしたい」「体力が落ちた気がする」「家に帰るためには運動したほうがいいと思うけど動いてない」という主訴と悲観的な発言がみられた.
【介入計画】先行研究(松本ら2021)に倣い,SAMRの合計点と下位尺度得点から達成動機の状態を把握し,その後に面接で具体的な生活行為に繋がる長期,短期目標を協議する.目標達成へ自身で取り組む課題や周囲がサポートする内容を担当者(OTR)と決め,内容をまとめ可視化する.また,活動量把握のため事例のスマートフォンのアプリを用いて1日の歩数を確認する.また,遂行状況に応じ目標等を再設定する.
【経過】介入4日目: SAMRの合計点は41点で達成動機の状態はやや低い,自己研鑽的因子の項目平均点は4.0点で自己の成長を十分には感じられていない可能性があった.面接では長期目標を「自宅で家事をする/杖で転ばずに歩く」,短期目標は「1日に病棟の廊下を歩行器歩行で10往復歩く」とした.自身で取り組む課題を「歩行車で廊下を歩く」「歩数計を携帯する」とした.周囲のサポート内容は,リハスタッフに「歩行練習を一緒にする」「足の筋力を鍛えるメニューを作る」,看護師に「体調の管理」を求めた.これらの内容を冊子にまとめ,視覚的な意識付けをした.また,日々の活動の状態が把握できるようにリハ開始時に前日の歩数の確認を行い,歩数約1000歩であった.
介入26日目: SAMRの合計点は57点で状態はやや高い,自己研鑽的的因子の項目平均点は5.8点となった.事例は「歩行車で歩けています」「杖歩行もしています」「家事の練習のリハビリをしましょう」「前と比べて歩数は増えていますね」と毎日自身で取り組む課題や目標を達成した内容や今後の生活にも意識を向けられるようになった.また,FIMは111/126点,恥骨部の疼痛は1/10に改善した.歩数は約4000歩であった.
【考察】受傷後の疼痛の増強による安静や活動量の低下により,今後の生活の展望や目標が立てられず活動量も低下し,達成動機の低下が見られていた.しかし,事例の達成動機の状態を考慮しながら面接で具体的な生活行為に結びつく目標設定と達成の段階づけ,具体的な行動計画や周囲の支援を明確化した.また,従来の方法に加えて歩数計を使用することで,活動の状態を数値で明確にフィードバックでき歩数が増加する事に意欲の向上が図れていったと考える.しかし,歩数計は歩行時の状態しか記録ができないため,活動量計等で1日の活動が正確にフィードバックできる機器の検討を行う必要もあった.