[PD-6-8] 手根管症候群術後患者への満足度評価結果から見えてきた Hand20 の術後3ヶ月までの傾向と課題
目的:
手根管症候群と診断され手術適応となった患者に対し満足度評価をするため,術前・術後1 ヶ月・術後3 ヶ月に機能評価及び患者立脚型質問票を実施した.手根管開放術前後における患者立脚型上肢機能評価票の反応性は,DASH と比べHand20 が高いとされる(岩月ら,2015).そこで疼痛やしびれ感などの症状についての患者立脚型質問票として手根管症候群質問表日本手の外科学会版 Carpal Tunnel Syndrome Instrument(以下,CTSI)を実施し,日常生活動作における患者立脚型上肢機能評価として 上肢機能評価Hand20(以下,Hand20) を実施した.当院における手指機能検査結果の経過を調べると共に,主に Hand20 の結果から患者が術前から術後にかけてどのような生活上の問題を抱えているかを調べることを目的に本研究を行った.
対象と方法:
対象は 2020 年 10 月から 2022 年 10 月までに当院において手根管症候群として診断され手根管開放術を施行された 27 手とした.平均年齢 76.9 歳(61-92),男性 11 手,女性 16 手,右 15 手,左 12 手であった.評価内容は,術前・術後1ヶ月・術後3ヶ月に握力・ピンチ力・CTSI 症状の重症度スコア(以下 CTSI-SS),CTSI 機能的態のスケール(以下 CTSI-FS)・Hand20 とした.Hand20 の結果を元に改善率を算出し,経過良好群・経過不良群に分け経過不良群において困難度が高い項目があるのかを調査した.なお,2群間の境界については手術医と協議し,術後3ヶ月後の改善率の平均値とした.統計学的処理は,GraphPad Prism9を使用し,1-way ANOVA/Tukeyの多重比較検定を用い,P<0.05を有意差ありとした.
結果:
握力・ピンチ力については有意な改善を見なかったが,CTSI-SS 及びFSは術前と比較して術後 1 ヶ月,術後 3 ヶ月で有意な改善を示した.Hand20スコアは,術前40.2±23.3,術後1ヶ月27.1±17.0,術後3ヶ月18.8±18.1であり,術前vs.術後1ヶ月及び術前vs.術後3ヶ月で有意な改善を示した.術前評価におけるHand20スコアの項目毎の平均値は4.2であり,ペットボトル蓋開閉6.2,コイン操作5.9,ボタン操作5.6と困難度が高い傾向であった.術後3ヶ月におけるHand20スコアの改善率の平均値は49%であり,経過良好群16 手と経過不良群 11 手となった.経過良好群と経過不良群の 2 群間比較では,経過良好群は全ての項目について術後1ヶ月の段階で改善が見られ,術後 3ヶ月でも改善し続けた.経過不良群は疼痛の項目のみ改善が見られたが,その他の項目は術後1ヶ月及び術後 3ヶ月経過で困難度は変化しなかった.また,“10 点全く出来ない”が20項目中1項目でもある患者数(術前→術後1ヶ月→術後3ヶ月)は,経過良好群7→2→1,経過不良群5→5→6であり,経過不良群患者は術後3ヶ月の段階でも不使用のまま経過をした.
考察:
Hand20 を項目毎に見た結果,経過不良群は術後3ヶ月評価においても改善を示さない傾向にあった.久原らは,握力訓練や手指巧緻動作指導が ADL 満足度向上へつながる可能性を述べている.今回の結果から術後1ヶ月評価で経過不良群と判定する対象者について,今後重点的な手指機能訓練指導を行うことと,術前評価で困難を示す項目の動作指導を早期から行うことが機能改善や日常生活動作の困難度を改善するのではないかと考える.
手根管症候群と診断され手術適応となった患者に対し満足度評価をするため,術前・術後1 ヶ月・術後3 ヶ月に機能評価及び患者立脚型質問票を実施した.手根管開放術前後における患者立脚型上肢機能評価票の反応性は,DASH と比べHand20 が高いとされる(岩月ら,2015).そこで疼痛やしびれ感などの症状についての患者立脚型質問票として手根管症候群質問表日本手の外科学会版 Carpal Tunnel Syndrome Instrument(以下,CTSI)を実施し,日常生活動作における患者立脚型上肢機能評価として 上肢機能評価Hand20(以下,Hand20) を実施した.当院における手指機能検査結果の経過を調べると共に,主に Hand20 の結果から患者が術前から術後にかけてどのような生活上の問題を抱えているかを調べることを目的に本研究を行った.
対象と方法:
対象は 2020 年 10 月から 2022 年 10 月までに当院において手根管症候群として診断され手根管開放術を施行された 27 手とした.平均年齢 76.9 歳(61-92),男性 11 手,女性 16 手,右 15 手,左 12 手であった.評価内容は,術前・術後1ヶ月・術後3ヶ月に握力・ピンチ力・CTSI 症状の重症度スコア(以下 CTSI-SS),CTSI 機能的態のスケール(以下 CTSI-FS)・Hand20 とした.Hand20 の結果を元に改善率を算出し,経過良好群・経過不良群に分け経過不良群において困難度が高い項目があるのかを調査した.なお,2群間の境界については手術医と協議し,術後3ヶ月後の改善率の平均値とした.統計学的処理は,GraphPad Prism9を使用し,1-way ANOVA/Tukeyの多重比較検定を用い,P<0.05を有意差ありとした.
結果:
握力・ピンチ力については有意な改善を見なかったが,CTSI-SS 及びFSは術前と比較して術後 1 ヶ月,術後 3 ヶ月で有意な改善を示した.Hand20スコアは,術前40.2±23.3,術後1ヶ月27.1±17.0,術後3ヶ月18.8±18.1であり,術前vs.術後1ヶ月及び術前vs.術後3ヶ月で有意な改善を示した.術前評価におけるHand20スコアの項目毎の平均値は4.2であり,ペットボトル蓋開閉6.2,コイン操作5.9,ボタン操作5.6と困難度が高い傾向であった.術後3ヶ月におけるHand20スコアの改善率の平均値は49%であり,経過良好群16 手と経過不良群 11 手となった.経過良好群と経過不良群の 2 群間比較では,経過良好群は全ての項目について術後1ヶ月の段階で改善が見られ,術後 3ヶ月でも改善し続けた.経過不良群は疼痛の項目のみ改善が見られたが,その他の項目は術後1ヶ月及び術後 3ヶ月経過で困難度は変化しなかった.また,“10 点全く出来ない”が20項目中1項目でもある患者数(術前→術後1ヶ月→術後3ヶ月)は,経過良好群7→2→1,経過不良群5→5→6であり,経過不良群患者は術後3ヶ月の段階でも不使用のまま経過をした.
考察:
Hand20 を項目毎に見た結果,経過不良群は術後3ヶ月評価においても改善を示さない傾向にあった.久原らは,握力訓練や手指巧緻動作指導が ADL 満足度向上へつながる可能性を述べている.今回の結果から術後1ヶ月評価で経過不良群と判定する対象者について,今後重点的な手指機能訓練指導を行うことと,術前評価で困難を示す項目の動作指導を早期から行うことが機能改善や日常生活動作の困難度を改善するのではないかと考える.