[PE-5-5] オープンクエッションとテストバッテリーを用いたニーズの比較
【序論】侵襲的人工呼吸療法管理の神経難病者は,療養が長期化し,徐々に疾患が進行する為に,患者のリハビリテーション(以下,リハ)のニーズの把握は重要である.リハニーズの把握には,一般的にオープンクエッションが用いられるが,近年,Schedule for the Evaluation of Quality of Life-Direct weighting (以下,SEIQoL-DW)を用いて健康関連Quality of Lifeとは異なる個人の生活の質から患者のニーズを把握する事,また生活行為向上マネジメントで使用するシートである興味関心チェックリストを用いて患者のニーズをサービスにつなぐ事が行われている.しかし,オープンクエッションとSEIQoL-DW,興味関心チェックリストの2つのテストバッテリーを用いた場合の,把握できるニーズの違いは明らかではない.
【目的】侵襲的人工呼吸療法管理の神経難病患者の,オープンクエッションとSEIQoL-DW,興味関心チェックリストから表出されたリハニーズを比較する.
【方法】対象は,当院入院中の49名から,コミュニケーション可能な侵襲的人工呼吸療法管理の神経難病患者であり,本研究の同意が得られた3名とした.調査項目は,基本情報として年齢,性別,日本語版modified Rankin Scale(以下,mRS)とした.リハニーズに関する情報として,テストバッテリーを用いずオープンクエッションで「リハのニーズは何ですか」と患者に問う(以下,OQニーズ),SEIQoL-DW,興味関心チェックシートを調査した.調査は,評価に慣れた作業療法療法士1名が実施した.尚,本研究は「人を対象とする医学的研究に関する倫理指針」を遵守し,対象全員の同意を得た.
【結果】症例1は60歳代で女性の多系統萎縮症者,症例2は70歳代で女性の筋萎縮性側索硬化症者,症例3は50歳代で男性の多系統萎縮症者である.3例は全ての調査を完遂し,全員のmRSは5であった.症例1のOQニーズは「歩きたい,移動したい」だった.SEIQoL-DWでは「家族」,「自身の身体能力」,「外出」,「リハ」をキューに挙げた.興味関心チェックリストでは,している項目へのチェックは無く,してみたい項目は「自分でトイレに行く」や「歯磨き」,「外出」を含めた20項目を選択,興味がある項目には「俳句」,「写真」などを挙げた.症例2のニーズは「痛みの対応,現状で満足している」だった.SEIQoL-DWでは「家族」をキューに挙げた.興味関心チェックリストでは,している項目へのチェックは「好きな時に寝る」のみで,してみたい項目は「外出」や「家族団らん」を含めた15項目を選択,興味がある項目には「自分でトイレに行く」,「俳句」など28項目を挙げた.症例3のニーズは「ない,介助歩行のリハ継続」だった.SEIQoL-DWでは「自分の健康」,「家族」をキューに挙げた.興味関心チェックリストでは,している項目へのチェックは「好きな時に寝る」,「音楽を聴く」で,してみたい項目は何も選択せず,興味がある項目には「自分でトイレに行く」,「家族・親戚との団らん」など11項目が挙げた.
【考察】長期人工呼吸器管理下の神経難病患者において,SEIQoL-DWと興味関心チェックリストは,またOQニーズと同様の内容も聞き取ることができたが,「痛みの対応」のニーズを把握することができなかった.しかし,SEIQoL-DWと興味関心チェックリストは,OQニーズとは別のニーズを把握することができた.本研究から,OQニーズに加えて,SEIQoL-DWと興味関心チェックリストを行うことで,患者の多様なニーズを把握できることが明らかとなった.
【目的】侵襲的人工呼吸療法管理の神経難病患者の,オープンクエッションとSEIQoL-DW,興味関心チェックリストから表出されたリハニーズを比較する.
【方法】対象は,当院入院中の49名から,コミュニケーション可能な侵襲的人工呼吸療法管理の神経難病患者であり,本研究の同意が得られた3名とした.調査項目は,基本情報として年齢,性別,日本語版modified Rankin Scale(以下,mRS)とした.リハニーズに関する情報として,テストバッテリーを用いずオープンクエッションで「リハのニーズは何ですか」と患者に問う(以下,OQニーズ),SEIQoL-DW,興味関心チェックシートを調査した.調査は,評価に慣れた作業療法療法士1名が実施した.尚,本研究は「人を対象とする医学的研究に関する倫理指針」を遵守し,対象全員の同意を得た.
【結果】症例1は60歳代で女性の多系統萎縮症者,症例2は70歳代で女性の筋萎縮性側索硬化症者,症例3は50歳代で男性の多系統萎縮症者である.3例は全ての調査を完遂し,全員のmRSは5であった.症例1のOQニーズは「歩きたい,移動したい」だった.SEIQoL-DWでは「家族」,「自身の身体能力」,「外出」,「リハ」をキューに挙げた.興味関心チェックリストでは,している項目へのチェックは無く,してみたい項目は「自分でトイレに行く」や「歯磨き」,「外出」を含めた20項目を選択,興味がある項目には「俳句」,「写真」などを挙げた.症例2のニーズは「痛みの対応,現状で満足している」だった.SEIQoL-DWでは「家族」をキューに挙げた.興味関心チェックリストでは,している項目へのチェックは「好きな時に寝る」のみで,してみたい項目は「外出」や「家族団らん」を含めた15項目を選択,興味がある項目には「自分でトイレに行く」,「俳句」など28項目を挙げた.症例3のニーズは「ない,介助歩行のリハ継続」だった.SEIQoL-DWでは「自分の健康」,「家族」をキューに挙げた.興味関心チェックリストでは,している項目へのチェックは「好きな時に寝る」,「音楽を聴く」で,してみたい項目は何も選択せず,興味がある項目には「自分でトイレに行く」,「家族・親戚との団らん」など11項目が挙げた.
【考察】長期人工呼吸器管理下の神経難病患者において,SEIQoL-DWと興味関心チェックリストは,またOQニーズと同様の内容も聞き取ることができたが,「痛みの対応」のニーズを把握することができなかった.しかし,SEIQoL-DWと興味関心チェックリストは,OQニーズとは別のニーズを把握することができた.本研究から,OQニーズに加えて,SEIQoL-DWと興味関心チェックリストを行うことで,患者の多様なニーズを把握できることが明らかとなった.