第57回日本作業療法学会

講演情報

ポスター

精神障害

[PH-2] ポスター:精神障害 2

2023年11月10日(金) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (展示棟)

[PH-2-8] オンラインによる多施設共同運営プログラム「合同リワーク学会」の意義に関する考察

武井 勇樹1, 杉村 直哉1,2, 菅谷 佑樹1,3 (1.医療法人社団柏水会柏メンタルクリニック, 2.神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科, 3.東京大学大学院医学系研究科神経生理学分野)

<はじめに>
合同リワーク学会(以下,学会)とは,複数のリワーク施設をオンラインで繋ぎ,リワーク利用の当事者による発表を行う学会形式のプログラムである.発表テーマは「休職経緯と回復過程」,「復職後のセルフケア」,「趣味・特技」など多岐にわたる.実施頻度は年4回で,合計12回開催し,これまで延べ14施設が参加した.2022年3月からは大同病院(韓国/大邱広域市)も参加する等,学会を機に国内外のリワーク施設間の交流の幅が広がっている.本報告では,学会の実践経過と臨床的な意義について考察する.
<対象と方法>
2022年12月開催の学会に参加した8施設の当事者109名を対象に「学会の満足度」と「次回の参加希望」を問うアンケート調査(5段階のリッカート尺度)を実施した.自由記述での感想も回答させた.各施設のリワークスタッフ(8名)には「施設において学会がもたらした影響」について自由記述で回答を求めた.本報告にあたって対象者からの同意を紙面にて得ており,匿名性の保持に十分な配慮を行う.
<結果>
学会の満足度は,非常に満足している(44%),満足している(48%)だった.次回の参加希望は,強く希望する(36%),希望する(46%)だった.当事者の感想として,普遍的体験や回復過程の視覚化,再発予防に向けた気付きが得られたことなどが記載されていた.学会がもたらした影響について,スタッフは施設間交流から安心感が増加したこと,学会を契機に利用者間の自己開示が促されたことを実感していた.
<考察>
アンケートの結果から,学会は当事者・スタッフともに満足度の高いプログラムになっていたことがわかった.学会を通して多施設に在籍する当事者の発表に接することにより,復職や再発予防という同じ目標を掲げている者同士の普遍的体験の質を深め,当事者のレジリエンスの向上に寄与している可能性がある.