[PH-3-1] 自身のストレングスを再認識し,復職につながったうつ病休職者の事例
【背景】東京リワークセンター(以下,当センター)は,うつ病等の休職者を対象としたリワークデイケアであり,ボードゲームや強度の高い運動を用いて,体験的に自身の認知・行動変容を図る.厚生労働省によれば, 復職後 1 年に 57.4%, 2 年後に 76.5%の再病休が集中していた.メンタルヘルス不調の労働者のケア・フォローアップが重要であると指摘されており(横山ら,2017),当センターでも注力する部分である.今回うつ病の30歳代男性(以下,A氏)に7か月間のリワークプログラムを実施し,復職1年経過後も就労継続できたため報告する.
【症例】年齢・性別:30歳代,男性 診断名:うつ病 生活歴:4年制大学卒業,未婚,独居 病前性格:真面目 主訴:思考がまとまらない,音が気になる 趣味:散歩,ネット麻雀
うつ性自己評価尺度(以下,SDS):45点 ハミルトンうつ評価尺度(以下,HAM-D):1点
【方法】①SDS:自記式1/月,②HAM-D:面接1/月,③1日の気分:自記式1/日.100点満点.
リワーク前期(開始日~週5日導入されるまで),リワーク後期(週5日導入~リワークプログラム修了まで)に分け,得点の割合を比較した.④復職3カ月以降の様子
尚,発表にあたり本人に趣旨を書面及び口頭にて説明し同意を得た.
【経過】
リワーク前期:週3日通所.個別課題では,内省が浅く,時間を要した.プログラム後,「司会者をやったら疲れ果てた,必要以上に真面目に取り組みすぎた」と発言.翌日億劫感を訴え,欠席した.後日OTRとの振り返りで過度の事前準備と反すう思考を取り上げた.
リワーク後期:A氏の近くで麻雀の話をしていたスタッフに対し,自ら質問をするなど積極的な姿勢をみせ,コミュニケーション量増加.それをきっかけに, A氏中心で麻雀大会の企画・運営を行うことをOTRより提案した.プログラムの構造,当日の運営方法,周知などOTRのフィードバックを受けて遂行し,ルール・構造を変えて計2回実施.運営後は参加が安定し,他のプログラムも順調に遂行した.リハビリ出社を実施後,主治医,産業医・上司・人事面談経て復職した.
復職後~3カ月:月に一度就業後にフォローアップを実施.コロナ禍の影響もあり外出頻度低下.「ネット麻雀はやっているが,リアルでやっていない」と発言し表情は暗かった.リワークでできたことができていないというA氏の気づきを踏まえ,実生活でどのように再現するかを共同した.A氏中心に企画した麻雀大会を休日に移行して開催することとなった.
【結果】
①SDS:開始時45点,修了時39点,②HAM-D:開始時1点,修了時1点
③1日の気分の集計:リワーク前期(49回)0~50点20.4%,51~60点22.4%,61~70点36.7%,71~80点14.2%,81~100点6.1%,リワーク後期(67回)0~50点7.4%,51~60点17.9%,61~70点46.2%,71~80点22.3%,81~100点5.9%
④復職後3カ月以降の様子:就労継続できている(復職後1年以上経過).就業後のフォローアップには参加していないが, 3カ月に1度行う休日の麻雀大会に参加し,15名以上のメンバーと交流する機会を得ている.
【考察】結果より,7か月間のリワークプログラムの経過の中で,抑うつ症状が軽減された.さらに,復職1年経過以降も就労継続ができている.これは,リワークでの成功体験を復職後に再現できたことで,自分らしいライフスタイルの確立につながったと考える.本事例を通して,就業後の個別面談だけでなく,麻雀のような本人のストレングスに焦点を当てた作業を用いたフォローアップも示唆されたため,引き続き検証していきたい.
【症例】年齢・性別:30歳代,男性 診断名:うつ病 生活歴:4年制大学卒業,未婚,独居 病前性格:真面目 主訴:思考がまとまらない,音が気になる 趣味:散歩,ネット麻雀
うつ性自己評価尺度(以下,SDS):45点 ハミルトンうつ評価尺度(以下,HAM-D):1点
【方法】①SDS:自記式1/月,②HAM-D:面接1/月,③1日の気分:自記式1/日.100点満点.
リワーク前期(開始日~週5日導入されるまで),リワーク後期(週5日導入~リワークプログラム修了まで)に分け,得点の割合を比較した.④復職3カ月以降の様子
尚,発表にあたり本人に趣旨を書面及び口頭にて説明し同意を得た.
【経過】
リワーク前期:週3日通所.個別課題では,内省が浅く,時間を要した.プログラム後,「司会者をやったら疲れ果てた,必要以上に真面目に取り組みすぎた」と発言.翌日億劫感を訴え,欠席した.後日OTRとの振り返りで過度の事前準備と反すう思考を取り上げた.
リワーク後期:A氏の近くで麻雀の話をしていたスタッフに対し,自ら質問をするなど積極的な姿勢をみせ,コミュニケーション量増加.それをきっかけに, A氏中心で麻雀大会の企画・運営を行うことをOTRより提案した.プログラムの構造,当日の運営方法,周知などOTRのフィードバックを受けて遂行し,ルール・構造を変えて計2回実施.運営後は参加が安定し,他のプログラムも順調に遂行した.リハビリ出社を実施後,主治医,産業医・上司・人事面談経て復職した.
復職後~3カ月:月に一度就業後にフォローアップを実施.コロナ禍の影響もあり外出頻度低下.「ネット麻雀はやっているが,リアルでやっていない」と発言し表情は暗かった.リワークでできたことができていないというA氏の気づきを踏まえ,実生活でどのように再現するかを共同した.A氏中心に企画した麻雀大会を休日に移行して開催することとなった.
【結果】
①SDS:開始時45点,修了時39点,②HAM-D:開始時1点,修了時1点
③1日の気分の集計:リワーク前期(49回)0~50点20.4%,51~60点22.4%,61~70点36.7%,71~80点14.2%,81~100点6.1%,リワーク後期(67回)0~50点7.4%,51~60点17.9%,61~70点46.2%,71~80点22.3%,81~100点5.9%
④復職後3カ月以降の様子:就労継続できている(復職後1年以上経過).就業後のフォローアップには参加していないが, 3カ月に1度行う休日の麻雀大会に参加し,15名以上のメンバーと交流する機会を得ている.
【考察】結果より,7か月間のリワークプログラムの経過の中で,抑うつ症状が軽減された.さらに,復職1年経過以降も就労継続ができている.これは,リワークでの成功体験を復職後に再現できたことで,自分らしいライフスタイルの確立につながったと考える.本事例を通して,就業後の個別面談だけでなく,麻雀のような本人のストレングスに焦点を当てた作業を用いたフォローアップも示唆されたため,引き続き検証していきたい.