[PH-5-5] 事例を通して精神科デイケアにおける作業療法士の役割を再考する
【報告の目的】精神科デイケア(以下:DC)とB型就労支援事業所(以下:作業所)に通い地域で生活する統合失調症の事例を担当した.精神症状と腰痛の訴えに対し,カナダ作業遂行測定(以下:COPM)を用いて目標設定,気分と疲労のチェックリストVer.2(以下:SMSF)で症状の確認をしながら日記と活動記録表を用いて6ヶ月間の介入を行った.その効果に対しての考察と今後の課題を報告する.介入を通してDCでのOTの役割も再考する.
【事例紹介・生活歴】50歳代女性,統合失調症を発症後,入院加療後,グループホーム(以下:GH)入居,DC週3回,作業所週3回の利用.日常生活は自立.DCイベントでは企画委員を担うなど,活動に対しては意欲的である.GH内での人間関係や一人で過ごす際の不安感,疲労感や身体症状の訴えが多く聞かれる.
【作業療法評価】COPMで目標設定,気分や身体症状にSMSFを実施.COPMは,①一人での部屋での過ごし方を考える(重要度:8,遂行度:4,満足度:2),②自分の考えを上手く文章化する(重要度:10,遂行度:5,満足度:4),③デイ・GH・作業所のみんなと仲良く生活する(重要度:9,遂行度:5,満足度:6),という目標設定を行った.遂行スコア:4.6,満足スコア:4.SMSFは,気分状態は混乱・当惑,疲労感は疲れやすさ,頭・思考疲れ,身体疲れの項目が高い.
【介入方針・経過】目標①・③に対し,思考を視覚化する目的で日記を記載.②に対し,DCプログラムのSSTに参加.当院DCでは,看護師・精神保健福祉士・作業療法士の3職種がチームを組み対象者を支援している.チーム内で目標を共有し様々な視点で支援する.介入前期:日記,SSTの効果として徐々に不安感の訴え軽減.一人の時間を工夫をして過ごせるようになる.人間関係の訴えも減少.介入後期:不安や人間関係の訴えが減ると,腰痛の訴えが多くなる.数年前から慢性腰痛の診断あり.疼痛増悪時はGHでも訴えが多く,職員に対し依存的になる.GHと情報共有し,腰痛増悪の要因となる活動は見学した.DCでは,痛みの確認のため活動記録表を1ヶ月間記入した.内容は,朝夕の腰痛をVisual analogue scale:(以下:VAS)で表記し,一日の活動内容を記載.
【介入結果】COPM遂行スコア:4.6から7,満足スコア:4から5.6へと改善.満足度は充分な改善が認められなかった.SMSFは不安の軽減により改善したが,腰痛出現で気分や疲労感の点数悪化あり.VASは0〜4と日差変動があり.
【考察】日記や活動記録を使用し気分や思考を視覚化することで効果が認められた.しかし,疼痛に対する意識が強くなり,参加したい活動を見学という対応を行ったことがCOPMの満足スコアが充分に改善せず,SMSFも悪化した要因と考える.地域生活支援における連携のポイントとして,支援が対象者中心か,対象者主導かという考え方がある.疼痛増悪時に,活動を見学という介入を選択したが,対応方法を対象者主体で検討すること,他の活動や作業などで参加したい気持ちを代替することも考える必要があった.
【今後の課題】精神・身体機能面の両方を考慮しながら支援することの難しさを感じた.DCでのOTの役割として対象者評価も重要な役割の一つと考えられている.COPMで目標設定は共有していたが,SMSFの内容は事例との振り返りに使用し,変化があれば他職種と情報共有をしていく必要があった.DCという集団での活動や関わりが多い中でOTの専門性を発揮するためにも数値化できる評価結果を予後予測として他職種に伝えていくことが課題でもあり重要な役割の一つであると考える.
【倫理的配慮】事例には口頭と書面で説明し発表に対し同意を得ている.発表に関して利益相反もない.
【事例紹介・生活歴】50歳代女性,統合失調症を発症後,入院加療後,グループホーム(以下:GH)入居,DC週3回,作業所週3回の利用.日常生活は自立.DCイベントでは企画委員を担うなど,活動に対しては意欲的である.GH内での人間関係や一人で過ごす際の不安感,疲労感や身体症状の訴えが多く聞かれる.
【作業療法評価】COPMで目標設定,気分や身体症状にSMSFを実施.COPMは,①一人での部屋での過ごし方を考える(重要度:8,遂行度:4,満足度:2),②自分の考えを上手く文章化する(重要度:10,遂行度:5,満足度:4),③デイ・GH・作業所のみんなと仲良く生活する(重要度:9,遂行度:5,満足度:6),という目標設定を行った.遂行スコア:4.6,満足スコア:4.SMSFは,気分状態は混乱・当惑,疲労感は疲れやすさ,頭・思考疲れ,身体疲れの項目が高い.
【介入方針・経過】目標①・③に対し,思考を視覚化する目的で日記を記載.②に対し,DCプログラムのSSTに参加.当院DCでは,看護師・精神保健福祉士・作業療法士の3職種がチームを組み対象者を支援している.チーム内で目標を共有し様々な視点で支援する.介入前期:日記,SSTの効果として徐々に不安感の訴え軽減.一人の時間を工夫をして過ごせるようになる.人間関係の訴えも減少.介入後期:不安や人間関係の訴えが減ると,腰痛の訴えが多くなる.数年前から慢性腰痛の診断あり.疼痛増悪時はGHでも訴えが多く,職員に対し依存的になる.GHと情報共有し,腰痛増悪の要因となる活動は見学した.DCでは,痛みの確認のため活動記録表を1ヶ月間記入した.内容は,朝夕の腰痛をVisual analogue scale:(以下:VAS)で表記し,一日の活動内容を記載.
【介入結果】COPM遂行スコア:4.6から7,満足スコア:4から5.6へと改善.満足度は充分な改善が認められなかった.SMSFは不安の軽減により改善したが,腰痛出現で気分や疲労感の点数悪化あり.VASは0〜4と日差変動があり.
【考察】日記や活動記録を使用し気分や思考を視覚化することで効果が認められた.しかし,疼痛に対する意識が強くなり,参加したい活動を見学という対応を行ったことがCOPMの満足スコアが充分に改善せず,SMSFも悪化した要因と考える.地域生活支援における連携のポイントとして,支援が対象者中心か,対象者主導かという考え方がある.疼痛増悪時に,活動を見学という介入を選択したが,対応方法を対象者主体で検討すること,他の活動や作業などで参加したい気持ちを代替することも考える必要があった.
【今後の課題】精神・身体機能面の両方を考慮しながら支援することの難しさを感じた.DCでのOTの役割として対象者評価も重要な役割の一つと考えられている.COPMで目標設定は共有していたが,SMSFの内容は事例との振り返りに使用し,変化があれば他職種と情報共有をしていく必要があった.DCという集団での活動や関わりが多い中でOTの専門性を発揮するためにも数値化できる評価結果を予後予測として他職種に伝えていくことが課題でもあり重要な役割の一つであると考える.
【倫理的配慮】事例には口頭と書面で説明し発表に対し同意を得ている.発表に関して利益相反もない.