[PH-6-3] 精神科デイケアにおけるリワークプログラムの実践
【はじめに】
近年,気分障害をはじめとする精神疾患による休職者が増加している.千曲荘病院の精神科デイケア(DC)では,復職を目的にリワークプログラムを実施している.今回の報告目的は,リワークプログラム参加者の経過を調査し,当院DCのリワークプログラムの役割について検討することである.なお,学会発表に際し当院倫理委員会の承認を得た.
【概要】
リワークプログラムは,週5日のDC利用を基本とし,基礎体力づくりを目的とした有酸素運動,共同作業や役割分担など対人スキル向上を目的とした集団プログラム,再発予防を目的とした自己分析レポートの作成,職場での環境調整を目的とした個別面談などを実施している.また,月に2回土曜日に復職後のフォローアップを目的とした小集団プログラムを実施しており,復職後の仕事や生活に関する情報共有や具体的なストレス場面における認知行動療法を行っている.
【対象と方法】
2021年4月~2023年1月までにプログラムに参加した者は8名(男性7名,女性1名,平均43±11.3歳)であった.診断名はうつ病4名,双極性感情障害2名,統合失調症1名,適応障害1名であった.業種は製造業5名,建設業1名,サービス業1名,その他1名であった.所属している会社の規模は,従業員数50人未満1社,100人未満1社,300人以上6社であった.休職回数は4回1名,3回1名,1回5名であった.プログラム参加のきっかけは,主治医からの紹介5名,職場の保健師からの紹介2名,病棟担当OTRからの紹介1名であった.休職日からDC利用までの日数は平均396.5±475.4日であった.職場復帰者6名のDC平均利用期間は155.5±70.9日であった.
【事例紹介】
事例1:40代男性,双極性感情障害,製造業.30代から抑うつ的となり精神科クリニックに通院をしていた.職場環境の変化から不眠・抑うつ状態が続き,当院初回入院となった.退院後の復職を見据え,主治医の紹介でDCを利用することとなった.自己分析レポートを作成する過程で,休職前の業務量が非常に多かったことが分かった.職場保健師と面談を行い,復職後の業務量を調整することが重要課題であることを共有した.復職準備性評価(PRRS)は3.61で,DC開始から73日目で職場復職となり,通院日にはDCを利用し定期的なフォローを継続している.自己分析レポートの改訂作業を行なったり,体調に変化があれば主治医とも相談して薬物調整を行ったりしている.
事例2:50代男性,うつ病,製造業.30代でうつ病を発症し,休職と復職を繰り返していた.通勤途中に車で接触事故を起こしたことから4回目の休職となり,主治医の紹介にてDC利用開始となった.ストレス反応で途中覚醒が起こりやすいことや,頭痛や消化器症状などの身体症状が出現しやすいことが確認された.ストレスに対処するため,家族に対しても心理教育的な面談を実施した.また,自宅から職場まで車での通勤練習も並行して行われた.PRRSは3.26となり,DC開始から189日目で職場復帰した.
【考察】
当院のリワークプログラムの参加者は,製造業の比較的大きな企業に勤めている男性が多い特徴があった.休職や復職の社内制度が整備されている企業に勤めている場合,リワークプログラムのようなリハビリテーションが推奨されやすく,業種は地域特性を反映しているものと思われた.事例の経過から,休職に至った要因の分析や,職場環境の調整,家族への支援,主治医との連携などが重要であることが示唆された.
近年,気分障害をはじめとする精神疾患による休職者が増加している.千曲荘病院の精神科デイケア(DC)では,復職を目的にリワークプログラムを実施している.今回の報告目的は,リワークプログラム参加者の経過を調査し,当院DCのリワークプログラムの役割について検討することである.なお,学会発表に際し当院倫理委員会の承認を得た.
【概要】
リワークプログラムは,週5日のDC利用を基本とし,基礎体力づくりを目的とした有酸素運動,共同作業や役割分担など対人スキル向上を目的とした集団プログラム,再発予防を目的とした自己分析レポートの作成,職場での環境調整を目的とした個別面談などを実施している.また,月に2回土曜日に復職後のフォローアップを目的とした小集団プログラムを実施しており,復職後の仕事や生活に関する情報共有や具体的なストレス場面における認知行動療法を行っている.
【対象と方法】
2021年4月~2023年1月までにプログラムに参加した者は8名(男性7名,女性1名,平均43±11.3歳)であった.診断名はうつ病4名,双極性感情障害2名,統合失調症1名,適応障害1名であった.業種は製造業5名,建設業1名,サービス業1名,その他1名であった.所属している会社の規模は,従業員数50人未満1社,100人未満1社,300人以上6社であった.休職回数は4回1名,3回1名,1回5名であった.プログラム参加のきっかけは,主治医からの紹介5名,職場の保健師からの紹介2名,病棟担当OTRからの紹介1名であった.休職日からDC利用までの日数は平均396.5±475.4日であった.職場復帰者6名のDC平均利用期間は155.5±70.9日であった.
【事例紹介】
事例1:40代男性,双極性感情障害,製造業.30代から抑うつ的となり精神科クリニックに通院をしていた.職場環境の変化から不眠・抑うつ状態が続き,当院初回入院となった.退院後の復職を見据え,主治医の紹介でDCを利用することとなった.自己分析レポートを作成する過程で,休職前の業務量が非常に多かったことが分かった.職場保健師と面談を行い,復職後の業務量を調整することが重要課題であることを共有した.復職準備性評価(PRRS)は3.61で,DC開始から73日目で職場復職となり,通院日にはDCを利用し定期的なフォローを継続している.自己分析レポートの改訂作業を行なったり,体調に変化があれば主治医とも相談して薬物調整を行ったりしている.
事例2:50代男性,うつ病,製造業.30代でうつ病を発症し,休職と復職を繰り返していた.通勤途中に車で接触事故を起こしたことから4回目の休職となり,主治医の紹介にてDC利用開始となった.ストレス反応で途中覚醒が起こりやすいことや,頭痛や消化器症状などの身体症状が出現しやすいことが確認された.ストレスに対処するため,家族に対しても心理教育的な面談を実施した.また,自宅から職場まで車での通勤練習も並行して行われた.PRRSは3.26となり,DC開始から189日目で職場復帰した.
【考察】
当院のリワークプログラムの参加者は,製造業の比較的大きな企業に勤めている男性が多い特徴があった.休職や復職の社内制度が整備されている企業に勤めている場合,リワークプログラムのようなリハビリテーションが推奨されやすく,業種は地域特性を反映しているものと思われた.事例の経過から,休職に至った要因の分析や,職場環境の調整,家族への支援,主治医との連携などが重要であることが示唆された.