[PH-9-3] 地域生活を営む精神障がい者の運動機会に関する調査
【はじめに】
神奈川県障がい者スポーツ協会(以下,協会)は,精神障害者スポーツ大会普及啓発事業として,県内の精神障がい者スポーツ活動の普及と啓発を目的とした「ピアスポーツかながわ(以下,ピアスポーツ)」を年3回開催する.卓球,バドミントン,軽スポーツなど様々なプログラム以外に,プロスポーツ団体の指導者を招いて,スポーツを体験できる.
本研究の目的は,精神障がい者が運動するにあたり必要とする支援を探しだし,今後のピアスポーツへの作業療法士としての貢献を考察することである.なお,本報告の発表に対して,所属機関の倫理委員会の承認を得た.利益相反はない.
【方法】
令和4年度ピアスポーツ参加者に自記式アンケート調査を行った.調査票に回答することで,研究同意を得たとみなした.協会ホームページにてオプトアウトを行った.
調査票項目は,対象者背景(性別,年齢,所属,同伴者,住居,情報獲得方法,参加運動種目,自分に合ったスポーツ種目,運動頻度,開催頻度,必要な支援内容)を調査対象として,記述統計としてまとめた.
【結果】
計3回のピアスポーツ参加者は,延べ140人(引率者含)であった.種目別参加者に参加した83名が回答した(回収率59.3%).質問項目の半分以上回答がないものは除外した.参加者年齢層は,30~39歳:18名(23.7%),40~49歳:17名(22.4%),20~29歳:16名(21.1%)であった.男性70.1%であった.対象者背景はデイケア通院:43.4%名,企業や会社に勤務:15.7%,就労移行支援事業所:13.3%であった.同伴者は支援者:47.6%,友人・仲間:29.3%,一人:20.7%であった.情報源は支援者:45.8%が最も多く,ポスター:22.4%,当協会ホームページ:9.3%であった.種目別延べ参加者数は卓球:240名,フットサル:80名,バドミントン:72名であった.各種目別の満足度の範囲は平均3.8~4.6であった.自分に合ったスポーツとのマッチングは65名(85.5%)が満足を示した.運動機会は,週1回:28.8%,週2~3回:26.0%,2週間に1回・月1回:16.4%であった.運動をするための必要条件は,友人・仲間:37.2%,時間:17.2%,経済面:14.5%,競技チーム等の情報:13.8%であった.
【考察】
回答者の多くがデイケア通院者や就労中もしくは就労準備中であり,ピアスポーツの情報源が支援者であること,運動を行うための必要条件として友人・仲間が挙がっていることから,支援者や仲間からの働きかけを必要としていた.
身体活動レベルが高い人ほど,健康に年齢を重ね,生活の質が高く,精神疾患および身体的疾患,心血管疾患などの発症リスクが低い1).運動機会は,病の回復,再発リスクを下げることから,ピアスポーツの機会を広く作業療法士の方にも活用していただけるように,特に入院作業療法に携わる方に広報したいと考えた.ピアスポーツの満足度は3.8以上を示し,かつプロスポーツ指導者から指導を得られる機会があり,運動を始めるよい機会となり得る.支援者として連れてきていただければ,参加した方はたくさんのきっかけを作ることになるだろう.
1)Wiley-Backwell:精神科における身体疾患の診療ガイドラインChaputer10身体活動,2021.
神奈川県障がい者スポーツ協会(以下,協会)は,精神障害者スポーツ大会普及啓発事業として,県内の精神障がい者スポーツ活動の普及と啓発を目的とした「ピアスポーツかながわ(以下,ピアスポーツ)」を年3回開催する.卓球,バドミントン,軽スポーツなど様々なプログラム以外に,プロスポーツ団体の指導者を招いて,スポーツを体験できる.
本研究の目的は,精神障がい者が運動するにあたり必要とする支援を探しだし,今後のピアスポーツへの作業療法士としての貢献を考察することである.なお,本報告の発表に対して,所属機関の倫理委員会の承認を得た.利益相反はない.
【方法】
令和4年度ピアスポーツ参加者に自記式アンケート調査を行った.調査票に回答することで,研究同意を得たとみなした.協会ホームページにてオプトアウトを行った.
調査票項目は,対象者背景(性別,年齢,所属,同伴者,住居,情報獲得方法,参加運動種目,自分に合ったスポーツ種目,運動頻度,開催頻度,必要な支援内容)を調査対象として,記述統計としてまとめた.
【結果】
計3回のピアスポーツ参加者は,延べ140人(引率者含)であった.種目別参加者に参加した83名が回答した(回収率59.3%).質問項目の半分以上回答がないものは除外した.参加者年齢層は,30~39歳:18名(23.7%),40~49歳:17名(22.4%),20~29歳:16名(21.1%)であった.男性70.1%であった.対象者背景はデイケア通院:43.4%名,企業や会社に勤務:15.7%,就労移行支援事業所:13.3%であった.同伴者は支援者:47.6%,友人・仲間:29.3%,一人:20.7%であった.情報源は支援者:45.8%が最も多く,ポスター:22.4%,当協会ホームページ:9.3%であった.種目別延べ参加者数は卓球:240名,フットサル:80名,バドミントン:72名であった.各種目別の満足度の範囲は平均3.8~4.6であった.自分に合ったスポーツとのマッチングは65名(85.5%)が満足を示した.運動機会は,週1回:28.8%,週2~3回:26.0%,2週間に1回・月1回:16.4%であった.運動をするための必要条件は,友人・仲間:37.2%,時間:17.2%,経済面:14.5%,競技チーム等の情報:13.8%であった.
【考察】
回答者の多くがデイケア通院者や就労中もしくは就労準備中であり,ピアスポーツの情報源が支援者であること,運動を行うための必要条件として友人・仲間が挙がっていることから,支援者や仲間からの働きかけを必要としていた.
身体活動レベルが高い人ほど,健康に年齢を重ね,生活の質が高く,精神疾患および身体的疾患,心血管疾患などの発症リスクが低い1).運動機会は,病の回復,再発リスクを下げることから,ピアスポーツの機会を広く作業療法士の方にも活用していただけるように,特に入院作業療法に携わる方に広報したいと考えた.ピアスポーツの満足度は3.8以上を示し,かつプロスポーツ指導者から指導を得られる機会があり,運動を始めるよい機会となり得る.支援者として連れてきていただければ,参加した方はたくさんのきっかけを作ることになるだろう.
1)Wiley-Backwell:精神科における身体疾患の診療ガイドラインChaputer10身体活動,2021.