[PI-11-6] 放課後等デイサービスに通所する児童の保護者が療育者との情報共有に求めること
【背景】発達障害児と保護者を支援する場の一つとして,放課後等デイサービスがある.放課後等デイサービスでは,限られた時間の中で保護者と療育者が情報を共有する必要があるため,子に対する認識の違いや目標のズレが生じ,その結果両者が同じ方向を見て協働することが困難になる場合がある.この課題を解決するために,療育者側が保護者の求める情報が何か,どのような話を療育者から聞きたい・どのような話をしたい,と思っているのかを理解することが求められるのではないかと考える.よって本研究の目的は,放課後等デイサービスに通所する児童の保護者が療育者との情報共有において求めることを明らかにすることとした.
【方法】対象者は,放課後等デイサービスAに通所する小学生以上の児童の保護者とした.来所時にアンケート用紙を配布し,アンケートへの回答を持って本研究への参加に同意したものとみなした.アンケート内容は,一般情報として「発達に関する診断名」「学年」「就学状況」の回答を求めた.また「情報共有で話したいこと」「情報共有で聞きたいこと」については自由記述欄を設けた.自由記述欄の内容をKJ法にて分析した.倫理的配慮として,アンケートは匿名での回答とし,結果は事業所には公表しないこととした.なお,本研究は北里大学医療衛生学部研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(2021−039).
【結果】回答者は20名で,児童が発達に関する診断名を有する者が内13名.学年は小学校1〜中学校3年生まで幅広い学年に所属していた.就学状況は「普通級のみ」9名,「普通級と支援級」2名,「支援級のみ」9名,「特別支援学校・その他」0名.情報共有において保護者が「話したいこと」に関しては,支援者としてどのような対応が求められるかという視点で分析し,《相談したい》《情報を共有したい》《受け止めてもらいたい》の3つのカテゴリーと11のサブカテゴリーに分類された.《相談したい》は〈学校でのことを相談したい〉〈家庭でのことを相談したい〉〈発達特性のことを相談したい〉のサブカテゴリーに,《情報を共有したい》は〈学校でのことを共有したい〉〈家庭でのことを共有したい〉〈発達特性のことを共有したい〉〈近況を共有したい〉のサブカテゴリーに,《受け止めてもらいたい》は〈学校でのことを受け止めてほしい〉〈家庭でのことを受け止めてほしい〉〈発達特性のことを受け止めてほしい〉〈母親自身のことを受け止めてほしい〉のサブカテゴリーに分類された.また情報共有において保護者が「聞きたいこと」に関しては,《関わりの目的・意味》《子どもの様子》《助言》《成長点》《その他》の5つのカテゴリーと11のサブカテゴリーに分類された.《関わりの目的・意味》は〈関わりの意味〉〈関わりの目的〉のサブカテゴリーに,《子どもの様子》は〈療育中の子どもの様子〉〈課題点〉のサブカテゴリーに,《助言》は〈家庭での取り組みに対する助言〉〈困りごとへの助言〉〈得意不得意への助言〉〈今後についての助言〉のサブカテゴリーに,《成長点》は〈療育での成長点〉〈全体的な成長点〉のサブカテゴリーに分類された.
【考察・結語】結果より,保護者は様々な関わりを療育者に求めており,療育者は保護者が何を求めているかに合わせて情報共有の環境や関わり方を調整する必要性が示された.また,保護者は療育の意味や目的についても聞きたいと感じており,療育者が療育に意味や目的を持った上で子に関わり,そうした関わりを元に得られた情報やアセスメント結果を時に客観的な表現を用いて保護者に提供する必要があることが示唆された.
【方法】対象者は,放課後等デイサービスAに通所する小学生以上の児童の保護者とした.来所時にアンケート用紙を配布し,アンケートへの回答を持って本研究への参加に同意したものとみなした.アンケート内容は,一般情報として「発達に関する診断名」「学年」「就学状況」の回答を求めた.また「情報共有で話したいこと」「情報共有で聞きたいこと」については自由記述欄を設けた.自由記述欄の内容をKJ法にて分析した.倫理的配慮として,アンケートは匿名での回答とし,結果は事業所には公表しないこととした.なお,本研究は北里大学医療衛生学部研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(2021−039).
【結果】回答者は20名で,児童が発達に関する診断名を有する者が内13名.学年は小学校1〜中学校3年生まで幅広い学年に所属していた.就学状況は「普通級のみ」9名,「普通級と支援級」2名,「支援級のみ」9名,「特別支援学校・その他」0名.情報共有において保護者が「話したいこと」に関しては,支援者としてどのような対応が求められるかという視点で分析し,《相談したい》《情報を共有したい》《受け止めてもらいたい》の3つのカテゴリーと11のサブカテゴリーに分類された.《相談したい》は〈学校でのことを相談したい〉〈家庭でのことを相談したい〉〈発達特性のことを相談したい〉のサブカテゴリーに,《情報を共有したい》は〈学校でのことを共有したい〉〈家庭でのことを共有したい〉〈発達特性のことを共有したい〉〈近況を共有したい〉のサブカテゴリーに,《受け止めてもらいたい》は〈学校でのことを受け止めてほしい〉〈家庭でのことを受け止めてほしい〉〈発達特性のことを受け止めてほしい〉〈母親自身のことを受け止めてほしい〉のサブカテゴリーに分類された.また情報共有において保護者が「聞きたいこと」に関しては,《関わりの目的・意味》《子どもの様子》《助言》《成長点》《その他》の5つのカテゴリーと11のサブカテゴリーに分類された.《関わりの目的・意味》は〈関わりの意味〉〈関わりの目的〉のサブカテゴリーに,《子どもの様子》は〈療育中の子どもの様子〉〈課題点〉のサブカテゴリーに,《助言》は〈家庭での取り組みに対する助言〉〈困りごとへの助言〉〈得意不得意への助言〉〈今後についての助言〉のサブカテゴリーに,《成長点》は〈療育での成長点〉〈全体的な成長点〉のサブカテゴリーに分類された.
【考察・結語】結果より,保護者は様々な関わりを療育者に求めており,療育者は保護者が何を求めているかに合わせて情報共有の環境や関わり方を調整する必要性が示された.また,保護者は療育の意味や目的についても聞きたいと感じており,療育者が療育に意味や目的を持った上で子に関わり,そうした関わりを元に得られた情報やアセスメント結果を時に客観的な表現を用いて保護者に提供する必要があることが示唆された.