[PI-6-2] デイケアを利用する発達障害者への就労支援
「コミュニケーションと交流技能」と「年齢」は障害者就労の継続性に関与していることが指摘されている(馬場ほか,2022).成人の発達障害者は多様なコミュニケーション障害を呈し,なかには高次脳機能障害者のコミュニケーション障害と共通する症状もある(深津,2014).高次脳機能障害者に見られる認知コミュニケーション能力のチェックリストに「後天性脳損傷のための認知コミュニケーションチェックリスト」(Cognitive Communication Checklist for Acquired Brain; CCCABI)(MacDonald,2015)がある.CCCABIは認知コミュニケーションの問題の理解を促し,同定し,早期から紹介先へとつなげるためのツールとして有用であることが報告がされている(MacDonald,2021).そこで本研究ではCCCABIの日本語版(CCCABI-J)を使用し,デイケアを利用する成人発達障害者のコミュニケーションの問題を可視化できないか検討した.目的は①CCCABI-Jの所要時間を計測し作業の簡便性を確認すること,②デイケア担当のOT2名がCCCABI-Jを用いて対象のコミュニケーションの問題点を分析できるか検証すること,③CCCABI-Jの結果から訓練の立案が可能か検討することとした.本研究の実施に先立ち,参加者には文面にて研究参加の同意書を得た.
[参加者]精神科デイケアにおいて就労を目標に通所している成人発達障害者4名.
参加者1:40代女性ADHD ,参加者2:20代女性ASD/ADHD ,参加者3:40代女性ADHD ,参加者4:30代男性ASD
[評価者]デイケア所属のOT2名.ST1名.
[方法]
OT2名がCCCABI-Jを用いて参加者のコミュニケーション場面で観察された点について整理した.その作業にかかった所要時間を計測した.問題点として観察されたエピソードがCCCABI-Jの項目に適合しているかST1名と検討した.OT2名が一致した項目,1名が観察した項目を参加者のコミュニケーションの問題とした.OT2名とST1名で,CCCABI-Jのどの項目が,就労と最も関連が深いか検討し,これまでの対応策に加え認知コミュニケーションの視点から追加できる介入方法があるか検討した.
[結果]
所要時間は5分から6分だった.観察された項目数は45項目中,参加者1は25項目,参加者2は19項目,参加者3 は5項目,参加者4は27項目だった.得られた結果より就労に最も関連すると思われる項目と想定され対応策を想定した.参加者1は「項目13 1人の話者から別の話者に注意を移す」ことができず,言語指示・ジェスチャーでの教示を試み注意の転換を試みる.参加者2は「項目19 文のプランニング,文構成」に問題があり,文レベルでの簡潔な表出の訓練を試みる.参加者3は「項目5 問題解決や意思決定に必要なコミュニケーションに問題」があり,どのレベルで問題が生じているか評価し結果に基づき対応策を検討する.参加者4は視覚的刺激に対し「項目27 視覚になんらかの問題がある」ことが疑われたため,眼科受診をした後に,問題点を再検討する.
[考察]
CCCABI-Jは短時間で記載でき,またコミュニケーションの問題点を整理できるのではないかと考えた.就労を希望するデイケア利用者に現行のプログラムと並行し,コミュニケーションに対する評価や訓練計画の立案が可能なのではないかと推察した.今後は立案した訓練計画を実施し,効果について検討していく必要がある.
[参加者]精神科デイケアにおいて就労を目標に通所している成人発達障害者4名.
参加者1:40代女性ADHD ,参加者2:20代女性ASD/ADHD ,参加者3:40代女性ADHD ,参加者4:30代男性ASD
[評価者]デイケア所属のOT2名.ST1名.
[方法]
OT2名がCCCABI-Jを用いて参加者のコミュニケーション場面で観察された点について整理した.その作業にかかった所要時間を計測した.問題点として観察されたエピソードがCCCABI-Jの項目に適合しているかST1名と検討した.OT2名が一致した項目,1名が観察した項目を参加者のコミュニケーションの問題とした.OT2名とST1名で,CCCABI-Jのどの項目が,就労と最も関連が深いか検討し,これまでの対応策に加え認知コミュニケーションの視点から追加できる介入方法があるか検討した.
[結果]
所要時間は5分から6分だった.観察された項目数は45項目中,参加者1は25項目,参加者2は19項目,参加者3 は5項目,参加者4は27項目だった.得られた結果より就労に最も関連すると思われる項目と想定され対応策を想定した.参加者1は「項目13 1人の話者から別の話者に注意を移す」ことができず,言語指示・ジェスチャーでの教示を試み注意の転換を試みる.参加者2は「項目19 文のプランニング,文構成」に問題があり,文レベルでの簡潔な表出の訓練を試みる.参加者3は「項目5 問題解決や意思決定に必要なコミュニケーションに問題」があり,どのレベルで問題が生じているか評価し結果に基づき対応策を検討する.参加者4は視覚的刺激に対し「項目27 視覚になんらかの問題がある」ことが疑われたため,眼科受診をした後に,問題点を再検討する.
[考察]
CCCABI-Jは短時間で記載でき,またコミュニケーションの問題点を整理できるのではないかと考えた.就労を希望するデイケア利用者に現行のプログラムと並行し,コミュニケーションに対する評価や訓練計画の立案が可能なのではないかと推察した.今後は立案した訓練計画を実施し,効果について検討していく必要がある.