[PJ-1-2] 退院前の習慣の獲得のために「活動日記」を用いた事例
【はじめに】平賀らは活動日記を使用したOT実践において,疼痛に伴う心理的要因の軽減や活動量の増加を報告している.今回,入院生活により活動量が著しく低下し,退院後の生活に不安を感じているCLを担当した.活動日記を使用することで上記問題を解消できた症例を経験したため以下に報告する.本発表に関して,患者本人より同意を得た後,当社の倫理審査委員会の承認を得た.
【事例紹介】80代女性.独居.体操教室と友人と喫茶店に行く事を日課とし,日々の運動内容や健康に関する記事を日記に書く習慣があった.車と接触し右大腿骨頚部骨折受傷され人工骨頭置換術施術され急性期病院退院後,回復期リハビリ病棟へ転棟.今回が初めての入院であった.
【評価】初回面接にてADOCを使用.()内は満足度.大切な作業は①洗濯(1/5)②体操教室への参加(1/5)③友人との交流(1/5)が挙げられた.上記を挙げた理由は,①綺麗な服を着ると気分が晴れるから,②友人が誘ってくれたことで10年以上続いている大切な作業だから,③友人らと喫茶店に行き世間話をすると楽しいからである.病棟ADLは,移動はシルバーカー使用,入浴以外のADLは見守りで可能.病棟での過ごし方は自室に閉じこもり,他患者との交流はなかった.リハビリ中に「なんでこんな痛いんや,ずっと続くんやろうか」「こんなんで家に帰れるんかしら」と疼痛や退院後の生活に対する悲観的な発言が多く聞かれ,入院生活によって活動量の低下と不安感の訴えがみられた.
【OT目標】①自宅環境下での洗濯の実施②体操教室への参加③友人との交流と設定した.上記を行う環境として①物干は2階で行っている.②③体操教室が行われる会館や喫茶店までは約750mである.
【介入方法】初回介入時,CLが日記を書いていることを知り活動日記の導入を考えた.記載内容はCLと検討し,以下の3項目とした.
歩行距離:会館までの距離が病棟廊下やOT屋外歩行ルート何周分に値するか数字で現した.
疼痛:疼痛の程度を5段階(最大5点,最小1点)とした.
コメント欄:その日の訓練内容や入院生活での変化点,感想などを記載.1日の終わりに記載して頂き翌朝にOTが確認した.
【介入経過】活動日記を利用した1週目は自室内シルバーカー使用.疼痛の数値は5点.コメント欄には消極的なものが多くあった.訓練と入浴以外は自室に閉じこもっていた.2週目は病棟内シルバーカー歩行自立.疼痛の数値は3点.病棟サロンで過ごす様になった.物干動作が可能となった.3週目はOTでは750mの屋内歩行が可能となり病棟内独歩自立.疼痛の数値は2点.サロンで他患者と談笑する場面が見られ自室で過ごす時間は短縮した.コメント欄には訓練に対する消極的な記載はなくなり,運動内容や健康に関する記事を記載するようになった.階段昇降が可能となった.4週目は,歩行距離と疼痛の数値記載はなくなり,「もう痛くないし,歩けるから書く必要はない」との発言がみられた.OTでは洗濯カゴを持った状態での階段昇降と,850mの屋外独歩が可能となった.
【結果】満足度は①(5/5)②(4/5)③(4/5)となった.洗濯動作・屋外独歩・他患者との交流が可能となり,42病日自宅退院.退院後,洗濯動作・体操教室の参加・友人との交流はできている.活動日記も継続している.
【考察】今回,退院後の生活に対して不安があったCLに対して活動日記をOTと併用した結果,活動量の増加と不安の軽減が見られた.活動日記を用いることでCLが自身の能力を認識することができ,活動量の増加と不安の軽減に繋がったと考えられた.
【事例紹介】80代女性.独居.体操教室と友人と喫茶店に行く事を日課とし,日々の運動内容や健康に関する記事を日記に書く習慣があった.車と接触し右大腿骨頚部骨折受傷され人工骨頭置換術施術され急性期病院退院後,回復期リハビリ病棟へ転棟.今回が初めての入院であった.
【評価】初回面接にてADOCを使用.()内は満足度.大切な作業は①洗濯(1/5)②体操教室への参加(1/5)③友人との交流(1/5)が挙げられた.上記を挙げた理由は,①綺麗な服を着ると気分が晴れるから,②友人が誘ってくれたことで10年以上続いている大切な作業だから,③友人らと喫茶店に行き世間話をすると楽しいからである.病棟ADLは,移動はシルバーカー使用,入浴以外のADLは見守りで可能.病棟での過ごし方は自室に閉じこもり,他患者との交流はなかった.リハビリ中に「なんでこんな痛いんや,ずっと続くんやろうか」「こんなんで家に帰れるんかしら」と疼痛や退院後の生活に対する悲観的な発言が多く聞かれ,入院生活によって活動量の低下と不安感の訴えがみられた.
【OT目標】①自宅環境下での洗濯の実施②体操教室への参加③友人との交流と設定した.上記を行う環境として①物干は2階で行っている.②③体操教室が行われる会館や喫茶店までは約750mである.
【介入方法】初回介入時,CLが日記を書いていることを知り活動日記の導入を考えた.記載内容はCLと検討し,以下の3項目とした.
歩行距離:会館までの距離が病棟廊下やOT屋外歩行ルート何周分に値するか数字で現した.
疼痛:疼痛の程度を5段階(最大5点,最小1点)とした.
コメント欄:その日の訓練内容や入院生活での変化点,感想などを記載.1日の終わりに記載して頂き翌朝にOTが確認した.
【介入経過】活動日記を利用した1週目は自室内シルバーカー使用.疼痛の数値は5点.コメント欄には消極的なものが多くあった.訓練と入浴以外は自室に閉じこもっていた.2週目は病棟内シルバーカー歩行自立.疼痛の数値は3点.病棟サロンで過ごす様になった.物干動作が可能となった.3週目はOTでは750mの屋内歩行が可能となり病棟内独歩自立.疼痛の数値は2点.サロンで他患者と談笑する場面が見られ自室で過ごす時間は短縮した.コメント欄には訓練に対する消極的な記載はなくなり,運動内容や健康に関する記事を記載するようになった.階段昇降が可能となった.4週目は,歩行距離と疼痛の数値記載はなくなり,「もう痛くないし,歩けるから書く必要はない」との発言がみられた.OTでは洗濯カゴを持った状態での階段昇降と,850mの屋外独歩が可能となった.
【結果】満足度は①(5/5)②(4/5)③(4/5)となった.洗濯動作・屋外独歩・他患者との交流が可能となり,42病日自宅退院.退院後,洗濯動作・体操教室の参加・友人との交流はできている.活動日記も継続している.
【考察】今回,退院後の生活に対して不安があったCLに対して活動日記をOTと併用した結果,活動量の増加と不安の軽減が見られた.活動日記を用いることでCLが自身の能力を認識することができ,活動量の増加と不安の軽減に繋がったと考えられた.