[PJ-3-1] 系列病院間連携によるフレイル対策活動の報告
【はじめに】
フレイルは,「健康な状態と要介護状態の間の段階で,身体・精神心理・社会面など多面的な要素を含む」と定義されているが,フレイルには可逆性があり早期発見と適切な介入により健康な状態へ回復することが可能であるとされている.当院では,2016年11月よりOTを中心にフレイルに対する評価・取り組みを開始し,日本作業療法学会,日本骨粗鬆症学会,日本サルコペニア・フレイル学会にて,当院のフレイルに関する報告を行ってきた.しかし,第53回日本作業療法学会で報告した「系列病院間のフレイル連携体制構築に向けた取り組み」にて,系列回復期病院では当院から提供したフレイル評価を十分に活用できておらず,フレイルに対する介入に繋がっていない現状が判明した.その後,当院と系列回復期病院で連携体制構築に至ったため,その活動内容の報告と共に,系列病院間連携による取り組みの中でフレイル状態から改善した症例について報告する.尚,本報告は症例に同意を得ている.
【取り組み】
当院では50歳以上の整形外科入院患者をフレイル評価・介入対象とし,病前生活の情報収集と共に基本チェックリスト(以下,KCL)を用いてフレイル状態の評価を行い,自宅退院される患者に対しては当院作成のフレイルパンフレットを用いてフレイル指導を行っている.また,系列回復期病院へ転院される患者に対しては,フレイルに関する評価をサマリーに同封し転院先への情報提供を行っている.現在は更に,当院と系列回復期病院でフレイル連携体制を構築し,フレイル対策チームで定期的なTV会議を行っている.会議内では各病院の取り組みの報告と検討,フレイル関連の時事情報の共有,転院症例についての具体的な情報共有とフレイル介入の検討等を行っている.
【症例】
診断名は腰部脊柱管狭窄症の80代女性.病前は独居でADLは自立.社会参加として近隣の小学校のゴミ拾いを行っていた.急性期から回復期そして訪問リハまでのリハビリテーションに加え,フレイルに対する評価・介入を継続した結果,KCLの点数は,病前:9点(当院評価)→回復期退院23日後:12点(訪問リハ開始時評価)→退院83日後:8点(訪問リハ利用途中評価)→退院174日後:6点(訪問リハ終了時評価)と改善を認めた.当院入院前のフレイル状態から,訪問リハ終了時には身体面・精神面・社会面を含め総合的に改善し,フレイル状態を脱する結果となった.
【結語】
本邦のフレイル予防は,介護予防事業として地域社会の中で活動を行うことが多い.しかし,高齢者は入院・手術等のストレスや機能障害の残存によりフレイル状態が進行し,要介護状態に陥る危険性が高いと言える.そこで,フレイル対象者には急性期の段階で「要介護状態にさせないための取り組み」を行う必要性が高いと考える.また,回復期へ転院していく患者のフレイル状態を改善させるためには,情報共有を図り連携をすることが重要であり,当グループの強みを生かすことができる場であると考える.今回,急性期・回復期・訪問リハのスタッフとフレイル症例の情報共有を通して,連携の重要性を経験することができた.現在は更にフレイルの多面的な要素に関連する評価(SPPBやGDS,オーラルフレイル等)も加え,フレイル対策の強化を図っている.今後はアウトカムも出せる活動を目指しながら,当院及び系列の回復期病院においてもフレイル活動が更に浸透していくように発展させていきたい.
フレイルは,「健康な状態と要介護状態の間の段階で,身体・精神心理・社会面など多面的な要素を含む」と定義されているが,フレイルには可逆性があり早期発見と適切な介入により健康な状態へ回復することが可能であるとされている.当院では,2016年11月よりOTを中心にフレイルに対する評価・取り組みを開始し,日本作業療法学会,日本骨粗鬆症学会,日本サルコペニア・フレイル学会にて,当院のフレイルに関する報告を行ってきた.しかし,第53回日本作業療法学会で報告した「系列病院間のフレイル連携体制構築に向けた取り組み」にて,系列回復期病院では当院から提供したフレイル評価を十分に活用できておらず,フレイルに対する介入に繋がっていない現状が判明した.その後,当院と系列回復期病院で連携体制構築に至ったため,その活動内容の報告と共に,系列病院間連携による取り組みの中でフレイル状態から改善した症例について報告する.尚,本報告は症例に同意を得ている.
【取り組み】
当院では50歳以上の整形外科入院患者をフレイル評価・介入対象とし,病前生活の情報収集と共に基本チェックリスト(以下,KCL)を用いてフレイル状態の評価を行い,自宅退院される患者に対しては当院作成のフレイルパンフレットを用いてフレイル指導を行っている.また,系列回復期病院へ転院される患者に対しては,フレイルに関する評価をサマリーに同封し転院先への情報提供を行っている.現在は更に,当院と系列回復期病院でフレイル連携体制を構築し,フレイル対策チームで定期的なTV会議を行っている.会議内では各病院の取り組みの報告と検討,フレイル関連の時事情報の共有,転院症例についての具体的な情報共有とフレイル介入の検討等を行っている.
【症例】
診断名は腰部脊柱管狭窄症の80代女性.病前は独居でADLは自立.社会参加として近隣の小学校のゴミ拾いを行っていた.急性期から回復期そして訪問リハまでのリハビリテーションに加え,フレイルに対する評価・介入を継続した結果,KCLの点数は,病前:9点(当院評価)→回復期退院23日後:12点(訪問リハ開始時評価)→退院83日後:8点(訪問リハ利用途中評価)→退院174日後:6点(訪問リハ終了時評価)と改善を認めた.当院入院前のフレイル状態から,訪問リハ終了時には身体面・精神面・社会面を含め総合的に改善し,フレイル状態を脱する結果となった.
【結語】
本邦のフレイル予防は,介護予防事業として地域社会の中で活動を行うことが多い.しかし,高齢者は入院・手術等のストレスや機能障害の残存によりフレイル状態が進行し,要介護状態に陥る危険性が高いと言える.そこで,フレイル対象者には急性期の段階で「要介護状態にさせないための取り組み」を行う必要性が高いと考える.また,回復期へ転院していく患者のフレイル状態を改善させるためには,情報共有を図り連携をすることが重要であり,当グループの強みを生かすことができる場であると考える.今回,急性期・回復期・訪問リハのスタッフとフレイル症例の情報共有を通して,連携の重要性を経験することができた.現在は更にフレイルの多面的な要素に関連する評価(SPPBやGDS,オーラルフレイル等)も加え,フレイル対策の強化を図っている.今後はアウトカムも出せる活動を目指しながら,当院及び系列の回復期病院においてもフレイル活動が更に浸透していくように発展させていきたい.