[PJ-6-1] リハビリテーション病院入院中の中高年者のスマートフォン利用に関するニーズ調査
【序論】近年,コロナ禍を機に情報通信機器(以下ICT)の利用が一層進展した.なかでもスマートフォンの普及は目覚ましく,国民生活,企業活動,さらには行政サービスの利用においてもなくてはならないものとなりつつある.一方,ICTの利用には世代間格差があり,中高年者の方々をはじめとする,ICTの操作に不慣れな人が取り残されることのないよう,誰もがその利便性を享受できる環境の整備が求められている.リハビリテーション提供施設においても,スマートフォンの様々な機能を利用したリハビリテーションや操作練習が必要であると考えられるが,主体である中高年者の方々自身がスマートフォンの利用にどのようなニーズを持っているのかは明らかにされていない.スマートフォンに関するニーズの存在や内容が明らかとなり,その支援に繋がれば,人との繋がりや趣味の拡大など退院後の生活の質の向上に寄与する可能性がある.
【目的】本研究の目的は,回復期リハビリテーション病院に入院中の中高年者がスマートフォンに対して持っているニーズを明らかにすることである.
【方法】分析対象者は5名で,回復期リハビリテーション病院に入院中の40歳以上の中高年者のうち,入院前より日常的にスマートフォンを使用していた方とした.実際にスマートフォンに触れていただきながら,使用状況や困りごとについて40分程度の半構造化インタビューを行い,内容はICレコーダーで録音した.分析方法は,逐語録を作成し「スマートフォンに対するニーズ」に関する部分をラベルとして抽出した後カテゴリ化し,質的に分析した.なお本研究は,筆頭演者の所属病院の倫理審査委員会の承認を得ている.
【結果】対象者の基本属性は,年齢:平均64.6±14.5歳,性別:男性3名,女性2名,疾患:整形疾患3名,脳血管疾患2名であった.ICT機器の中でもスマートフォンは入院中も全員が使用しており(一日平均使用時間315±296.7分).入院前はスマートフォン以外にもPC(2名),タブレット(1名)のICT機器の利用経験があった.ニーズをまとめると,「人との交流」「IADL」「余暇活動」「社会参加」等があった.その具体的な内容には,失語症がありながらも写真やLINEスタンプを使用することで家族とコミュニケーションが取れる「心身機能の代償手段」,退院後は買い物をインターネットショッピングで行う,リモート出勤を利用しながら復職する「IADLや仕事の再獲得」等,回復期リハビリテーション病院入院患者ならではと言えるニーズも含まれていた.一方で,「思うように画面が反応しない」,使ってみたい機能はあるが「初期設定が難しい」のような困りごとが聞かれた.そして,5名全員がスマートフォンの操作について「教えてくれる人がほしい」,病院内で操作方法や便利なツールについて「学習する機会がほしい」とスマートフォンの操作について学びたい意欲を示していた.
【考察】今回,入院中の中高年者がスマートフォンに対して持っているニーズの一部が明らかになった.いずれも作業に関するものであり,作業療法部門が積極的に関与すべき課題であると考える.ニーズには多様性があり,他にも様々なニーズがある可能性がある.今後は対象者を増やしてより多様なニーズを明らかにし,ニーズに応えるOT支援へとスムーズに繋げる方策を検討するのが課題である.
【目的】本研究の目的は,回復期リハビリテーション病院に入院中の中高年者がスマートフォンに対して持っているニーズを明らかにすることである.
【方法】分析対象者は5名で,回復期リハビリテーション病院に入院中の40歳以上の中高年者のうち,入院前より日常的にスマートフォンを使用していた方とした.実際にスマートフォンに触れていただきながら,使用状況や困りごとについて40分程度の半構造化インタビューを行い,内容はICレコーダーで録音した.分析方法は,逐語録を作成し「スマートフォンに対するニーズ」に関する部分をラベルとして抽出した後カテゴリ化し,質的に分析した.なお本研究は,筆頭演者の所属病院の倫理審査委員会の承認を得ている.
【結果】対象者の基本属性は,年齢:平均64.6±14.5歳,性別:男性3名,女性2名,疾患:整形疾患3名,脳血管疾患2名であった.ICT機器の中でもスマートフォンは入院中も全員が使用しており(一日平均使用時間315±296.7分).入院前はスマートフォン以外にもPC(2名),タブレット(1名)のICT機器の利用経験があった.ニーズをまとめると,「人との交流」「IADL」「余暇活動」「社会参加」等があった.その具体的な内容には,失語症がありながらも写真やLINEスタンプを使用することで家族とコミュニケーションが取れる「心身機能の代償手段」,退院後は買い物をインターネットショッピングで行う,リモート出勤を利用しながら復職する「IADLや仕事の再獲得」等,回復期リハビリテーション病院入院患者ならではと言えるニーズも含まれていた.一方で,「思うように画面が反応しない」,使ってみたい機能はあるが「初期設定が難しい」のような困りごとが聞かれた.そして,5名全員がスマートフォンの操作について「教えてくれる人がほしい」,病院内で操作方法や便利なツールについて「学習する機会がほしい」とスマートフォンの操作について学びたい意欲を示していた.
【考察】今回,入院中の中高年者がスマートフォンに対して持っているニーズの一部が明らかになった.いずれも作業に関するものであり,作業療法部門が積極的に関与すべき課題であると考える.ニーズには多様性があり,他にも様々なニーズがある可能性がある.今後は対象者を増やしてより多様なニーズを明らかにし,ニーズに応えるOT支援へとスムーズに繋げる方策を検討するのが課題である.