[PK-3-1] コロナ禍における高次脳機能障害の家族会支援についての検討
【はじめに】高次脳機能障害者やその家族は,社会参加までの経過において支援が途切れると,社会との接点が乏しくなると推測される.我々は高次脳機能障害家族会(以下,家族会)からの要望もあり2004年から,地域で生活する当事者,家族を対象に社会参加に向けた場づくりを目的に勉強会の運営を支援してきた.今回,過去10年の質問紙調査を基に望ましい支援の在り方やコロナ禍の支援について,考察を交え報告する.なお,発表にあたり家族会の同意を得ている.
【家族会勉強会について】勉強会は家族会活動の一環として2004年から毎月1回,福祉施設を借用し,約3時間で開催されている.内容はピアカウンセリング,近況報告,家族会が考えた作業活動,認知課題等である.勉強会開始当初はOTが主体となり,認知課題や作業活動を中心に実施してきたが,近年は当事者,家族のニーズに合わせピアカウンセリングを中心とし,家族会主体で開催している.OTはピアカウンセリングの司会を主に担当している.2020年からはコロナ禍となり,感染状況が落ち着いている時に開催してきた.
【質問紙調査方法】2013年から毎年1回,参加当事者,家族に対して質問紙調査を実施した.内容は「満足度」,「勉強会に参加しての変化」,2020年からは「コロナ禍での外出の機会の変化」についても追加し,4段階で回答してもらった.その他「参加目的」,自由記載欄も設け勉強会に対する意見も記載してもらった.
【結果】2013年から2022年までの10年間の平均として,参加者数は当事者14.3人,家族12.5人,支援者2.1人.参加者の年齢は20代~70代であった.勉強会に対する「満足度」は「満足群+少し満足」が当事者91.2%,家族99.2%,「やや不満+不満」が当事者7.8%,家族7.7%.「勉強会に参加しての変化」については「変化あり+少しあり」が当事者79.8%,家族90.1%,「あまり変化なし+変化なし」が当事者19.8%,家族9.9%.「コロナ禍での外出の機会の変化(2020年~2023年)」は「変化あり+少しあり」が当事者70.9%,家族65.9%,「あまり変化なし+変化なし」が当事者29.1%,家族34.1%であった.「参加目的(重複回答あり)」は社会参加が当事者28.9%,他者との交流が当事者77.1%,家族が80.7%,情報交換が当事者41.3%,家族が61.3%,認知訓練が当事者33.8%であった.当事者は同じ境遇の人が集まっており安心できる,家族ではストレス発散と精神的安定につながっている,コロナ禍になり外出の機会が減少したという意見を多く認めた.
【考察】今回の質問紙調査より,勉強会参加に対する当事者,家族の満足度は高く,参加による変化も感じていることから,勉強会が参加や精神的安定につながっていると考えられた.しかし,コロナ禍では参加人数減少・参加者も固定化され,新規参加者は減少を認めており,地域には参加や相談の機会が見いだせず引きこもる当事者・家族がいると予想された.また,支援者も所属施設での制約もあり参加が難しく,安定・継続した運営に影響を認めた.遅(2020)はコロナ禍における地域福祉活動について,つながりが途切れることのないように,多様な工夫及び創意が求められるとしている.また,片桐(2020)らは,家族会の運営について,支えられるだけでなく支えることもできる会員を育て,会員相互が支え合えることで継続した協力体制作りが必要と報告している.当勉強会においてもコロナ禍でも継続できる方法を検討していく必要がある.支援者についても,OTが継続的に関わっていくと共に,医療機関や家族会と連携し支援ボラティアを育成し,地域で活動できる人材を確保し,地域全体の支援力を向上させていく必要があると考えられた.
【家族会勉強会について】勉強会は家族会活動の一環として2004年から毎月1回,福祉施設を借用し,約3時間で開催されている.内容はピアカウンセリング,近況報告,家族会が考えた作業活動,認知課題等である.勉強会開始当初はOTが主体となり,認知課題や作業活動を中心に実施してきたが,近年は当事者,家族のニーズに合わせピアカウンセリングを中心とし,家族会主体で開催している.OTはピアカウンセリングの司会を主に担当している.2020年からはコロナ禍となり,感染状況が落ち着いている時に開催してきた.
【質問紙調査方法】2013年から毎年1回,参加当事者,家族に対して質問紙調査を実施した.内容は「満足度」,「勉強会に参加しての変化」,2020年からは「コロナ禍での外出の機会の変化」についても追加し,4段階で回答してもらった.その他「参加目的」,自由記載欄も設け勉強会に対する意見も記載してもらった.
【結果】2013年から2022年までの10年間の平均として,参加者数は当事者14.3人,家族12.5人,支援者2.1人.参加者の年齢は20代~70代であった.勉強会に対する「満足度」は「満足群+少し満足」が当事者91.2%,家族99.2%,「やや不満+不満」が当事者7.8%,家族7.7%.「勉強会に参加しての変化」については「変化あり+少しあり」が当事者79.8%,家族90.1%,「あまり変化なし+変化なし」が当事者19.8%,家族9.9%.「コロナ禍での外出の機会の変化(2020年~2023年)」は「変化あり+少しあり」が当事者70.9%,家族65.9%,「あまり変化なし+変化なし」が当事者29.1%,家族34.1%であった.「参加目的(重複回答あり)」は社会参加が当事者28.9%,他者との交流が当事者77.1%,家族が80.7%,情報交換が当事者41.3%,家族が61.3%,認知訓練が当事者33.8%であった.当事者は同じ境遇の人が集まっており安心できる,家族ではストレス発散と精神的安定につながっている,コロナ禍になり外出の機会が減少したという意見を多く認めた.
【考察】今回の質問紙調査より,勉強会参加に対する当事者,家族の満足度は高く,参加による変化も感じていることから,勉強会が参加や精神的安定につながっていると考えられた.しかし,コロナ禍では参加人数減少・参加者も固定化され,新規参加者は減少を認めており,地域には参加や相談の機会が見いだせず引きこもる当事者・家族がいると予想された.また,支援者も所属施設での制約もあり参加が難しく,安定・継続した運営に影響を認めた.遅(2020)はコロナ禍における地域福祉活動について,つながりが途切れることのないように,多様な工夫及び創意が求められるとしている.また,片桐(2020)らは,家族会の運営について,支えられるだけでなく支えることもできる会員を育て,会員相互が支え合えることで継続した協力体制作りが必要と報告している.当勉強会においてもコロナ禍でも継続できる方法を検討していく必要がある.支援者についても,OTが継続的に関わっていくと共に,医療機関や家族会と連携し支援ボラティアを育成し,地域で活動できる人材を確保し,地域全体の支援力を向上させていく必要があると考えられた.