第57回日本作業療法学会

講演情報

ポスター

援助機器

[PL-1] ポスター:援助機器 1

2023年11月10日(金) 15:00 〜 16:00 ポスター会場 (展示棟)

[PL-1-3] ADOC2の開発:

友利 幸之介, 澤田 辰徳, 大野 勘太 (東京工科大学作業療法学専攻)

背景と目的:2011年,目標設定のためのiPadアプリである作業選択意思決定支援ソフト(ADOC)が開発された.ADOCでは,画面(インターフェース:UI)に映し出された95項目の作業場面のイラストを,クライエントと作業療法士が共に選ぶことを通して,目標設定における共有意思決定(Shared Decision-making: SDM)を促すことを目的としている.現在,ADOCを大幅に改良したADOC2を開発中であり,今回はそのUIの操作性について検証したので報告する.
方法:研究対象者はADOC2の使用経験がない本学作業療法学生10名(3-4年生).対象者には本研究の目的と内容について紙面を用いて説明し,署名による同意を得てから調査を行った.UIが直感的に操作可能か調べるために,研究対象者には操作方法などは説明せずにADOC2がインストールされたiPadを手渡し,作業療法士役として模擬面接を行ってもらい,UI操作について録画した.動画の解析は,ADOC2を5つの工程とプロセスに分け,研究対象者がUIを正しく操作可能できた場合の成功率を求めた.
結果:各工程および各プロセスの成功率は,①クライエントの登録88.8%(基本情報入力100%,疾患の入力85%,参加者入力90%,面接開始100%),②作業選択と重要度の設定60.0%(作業選択90%,作業カテゴリー選択100%,作業説明表示20%,重要度の選択20%,優先順位100%),③作業工程の焦点化とアウトカムの評定(目標選択70%,現状入力67%,介入前評価100%),④目標設定70.0%(目標選択40%,目標の具体化79%),⑤介入計画の立案(目標選択40%,介入分類の選択30%)であった.成功率が低く目標設定に大きく影響するプロセスは,②の重要度の選択(イラストをタップすることで重要度を1〜4まで選択する),③の現状入力(作業工程選択に進むためのボタンのタップ),⑤の介入分類の選択(大/中/小項目の選択)が特定された.
結論:今回,ADOC2の大幅なUIの変更により,直感的な操作が可能かどうか検証した.概ね操作は可能であり,特定された重大な問題となるプロセスもすでに改良済である.今後,クライエントも含めて更にUIのテストと改良を進めながら,より直感的な操作が可能なADOC2を開発する予定である.