[PM-1-3] 生きがいを取り戻すための挑戦
【はじめに】通所リハにて「死ぬまで農作業とマレットゴルフ(以下MG)をしたかったが今は身辺動作だけで疲れそれ以上できない」と訴えた事例を担当した.MTDLPの導入により,目標と課題を明確化し共有することで,目標達成に繋がった取り組みを報告する.尚,本人と家族に説明し同意を得,当院倫理委員会の承認を得た.
【事例紹介】90代前半男性,要介護2,嫁と二人暮らし.性格は穏やかで何事にも熱心.既往に両肘関節術後,両膝人工関節術後あったが農作業とMG行えていた.X年Y月心不全による一過性の意識消失にて3週間の入院後,自宅に退院.X年Y+1カ月後通所リハ週2回利用開始.
【初期評価】起居時肩~背部にNRS7の痛みや両膝肘可動域制限,5回立ち上がりテスト53秒,両杖での連続歩行距離35m可能.FIM112点だが時間を要し,痛みと疲労が助長されていた.特に更衣に30分弱,中でも靴下操作に20分要していた.リーチ困難に体力低下が加わり,セルフケアで疲弊し生きがいである作業が行えない状態.合意目標を3ヵ月で農作業とMGの再開とし,短期目標に1か月で①更衣を10分以内で行える②痛みが最小限で済む起居動作の獲得とした. 自己評価は合意目標について実行度0,満足度0.
【計画】基本プログラムは,除痛目的に筋力トレーニング,リーチ動作練習.自主訓練を具体的に指導し,実施有無を日記に記載.家族や職員にも伝達し安全に行えているかのチェックや激励を依頼.応用プログラムは,ベッド環境の検討,自助具を使用して靴下操作,屋外の不整地歩行.社会適応プログラムは,通所リハ花壇の手入れを提案し作業しながら不整地移動を行う.目標達成期間は3ヵ月とした.
【経過】痛みと疲労にて基本プログラムの実施が困難であった.疼痛が最小となる練習環境を模索し,ヘッドアップ45°,座面高50㎝にすることで痛みNRS3で練習が可能となった.痛み軽減に伴い,活動意欲向上,自主練習が習慣化し徐々に体力向上した.ADL面では,課題となっていた靴下着脱動作の改善のために実用できるソックスエイドの作製と練習に苦心した.2カ月後,納得したソックスエイドの完成により,靴下動作時間が5分となった.活動面では,体力向上した2ヶ月頃から屋外の不整地歩行,花壇の草取りを行い応用動作の安定化を図った.自身の畑にも行くようになり,作業時の様子を介入時に聴取した.3ヵ月後に畑を視察し,作業が安全に行えていることを確認.嫁も心配ではあるが,前向きな様子で嬉しいと話された.友人の誘いでMGに出かけ,短時間のプレイを行うことができた.
【最終評価】起居時の痛みはNRS3.可動域やリーチ範囲は変化なし.耐久性については,立ち上がりテストが24秒と短縮,連続歩行距離が50mと延長し,疲労感が減った.FIM変化ないが靴下着脱動作の所要時間が5分と短縮した.目標とした農作業とMGの再開を果たせた.自己評価は実行度7,満足度7となった.
【考察】本事例は週2回の介入であったが,MTDLPを通し本人の理解と家族や他職員の協力が得られた事で,質の高い自主練習を継続できた.環境調整で痛みが減り,負荷をかけてのプログラム可能となり耐久性向上を図れた.環境や自助具の検討を行えた事で,セルフケア所要時間が短縮し,事例の望む活動へエネルギーを向けることができた.日々の生活行為が安定し,目標が現実的に捉えられた事も本人の精神的な支柱となった.MTDLPを用いた事は,生活行為における課題や対策を明確に理解でき,事例が能動的にOTプログラムに取り組む為に有益であったと考える.
【事例紹介】90代前半男性,要介護2,嫁と二人暮らし.性格は穏やかで何事にも熱心.既往に両肘関節術後,両膝人工関節術後あったが農作業とMG行えていた.X年Y月心不全による一過性の意識消失にて3週間の入院後,自宅に退院.X年Y+1カ月後通所リハ週2回利用開始.
【初期評価】起居時肩~背部にNRS7の痛みや両膝肘可動域制限,5回立ち上がりテスト53秒,両杖での連続歩行距離35m可能.FIM112点だが時間を要し,痛みと疲労が助長されていた.特に更衣に30分弱,中でも靴下操作に20分要していた.リーチ困難に体力低下が加わり,セルフケアで疲弊し生きがいである作業が行えない状態.合意目標を3ヵ月で農作業とMGの再開とし,短期目標に1か月で①更衣を10分以内で行える②痛みが最小限で済む起居動作の獲得とした. 自己評価は合意目標について実行度0,満足度0.
【計画】基本プログラムは,除痛目的に筋力トレーニング,リーチ動作練習.自主訓練を具体的に指導し,実施有無を日記に記載.家族や職員にも伝達し安全に行えているかのチェックや激励を依頼.応用プログラムは,ベッド環境の検討,自助具を使用して靴下操作,屋外の不整地歩行.社会適応プログラムは,通所リハ花壇の手入れを提案し作業しながら不整地移動を行う.目標達成期間は3ヵ月とした.
【経過】痛みと疲労にて基本プログラムの実施が困難であった.疼痛が最小となる練習環境を模索し,ヘッドアップ45°,座面高50㎝にすることで痛みNRS3で練習が可能となった.痛み軽減に伴い,活動意欲向上,自主練習が習慣化し徐々に体力向上した.ADL面では,課題となっていた靴下着脱動作の改善のために実用できるソックスエイドの作製と練習に苦心した.2カ月後,納得したソックスエイドの完成により,靴下動作時間が5分となった.活動面では,体力向上した2ヶ月頃から屋外の不整地歩行,花壇の草取りを行い応用動作の安定化を図った.自身の畑にも行くようになり,作業時の様子を介入時に聴取した.3ヵ月後に畑を視察し,作業が安全に行えていることを確認.嫁も心配ではあるが,前向きな様子で嬉しいと話された.友人の誘いでMGに出かけ,短時間のプレイを行うことができた.
【最終評価】起居時の痛みはNRS3.可動域やリーチ範囲は変化なし.耐久性については,立ち上がりテストが24秒と短縮,連続歩行距離が50mと延長し,疲労感が減った.FIM変化ないが靴下着脱動作の所要時間が5分と短縮した.目標とした農作業とMGの再開を果たせた.自己評価は実行度7,満足度7となった.
【考察】本事例は週2回の介入であったが,MTDLPを通し本人の理解と家族や他職員の協力が得られた事で,質の高い自主練習を継続できた.環境調整で痛みが減り,負荷をかけてのプログラム可能となり耐久性向上を図れた.環境や自助具の検討を行えた事で,セルフケア所要時間が短縮し,事例の望む活動へエネルギーを向けることができた.日々の生活行為が安定し,目標が現実的に捉えられた事も本人の精神的な支柱となった.MTDLPを用いた事は,生活行為における課題や対策を明確に理解でき,事例が能動的にOTプログラムに取り組む為に有益であったと考える.