[PM-2-1] 『入院中に生活行為向上マネジメント(以下MTDLP)を導入.担当コメディカルで患者HOPEにアプローチした脳卒中患者の一例』
【はじめに】櫻井らは,「回復期リハビリ病棟では自宅退院のみならず,退院後の患者の生活および役割などの再獲得を視野に入れた介入が必要であり,患者にとっての高いQOLを目指すことが重要である.その為のツールとしてMTDLPの活用が有効である」と述べている.今回,回復期病棟患者に対して入院中よりMTDLPを導入.形成した合意目標に対してチーム全体でサポートする事例を経験した.若干の知見を得た為,ここに報告する.
【基本情報】50歳代男性.X年Y月Z日に右被殻出血を発症.重度左片麻痺,注意障害,嚥下障害を呈した患者.Z+13日で当院回復期リハビリテーション病院に転院.同日PT/OT/STリハ開始.入院パスは,16週.病前ADLは自立.就労者で趣味はボランティア.週2日(午後)で地域児童に対し剣道を指導していた.自宅から体育館までは約500mで道中に階段や坂道はなく10kgの防具を持って徒歩で通っていた.入院経過に伴い心身機能はBRS(Lt)Ⅳ-Ⅴ-Ⅴと改善.しかし,MALは,AOU34.3点,QOU3.7点と生活場面での参加は少なく,巧緻性低下が残存.動作時に左肩の疼痛あり.高次脳機能障害として,分配性注意・処理速度,遂行機能低下.神経症状の改善に伴いLTGにIADL獲得を追加.目標の具体化を目的に入院12週でMTDLPを導入.
【介入】患者との合意目標を「リハビリ室まで自分で防具を運び防具に着替えることができる(達成期日:1ヶ月)」「体育館へ自分で防具を持って行き,防具に着替えることができる(達成期日3ヶ月)」に設定.訓練としてOTでは,竹刀の素振り・防具の着脱,疼痛改善目的で自主ストレッチの提供を実施.PTと剣道に必要な蹲踞姿勢や正座,床からの起立動作の獲得のための問題点を共有.剣道の動作に必要な面の紐結びや竹刀操作の獲得を目的にADLへの麻痺手の参加頻度を向上させて左上肢の随意性改善を図る.そこで,MALの項目をリスト化して看護・介護に評価/促し,自主トレの協力を依頼.
【結果】麻痺手は,随意性向上・疼痛軽減に伴い実用手獲得.MALは,AOU4.3点,QOU4.4点と向上.高次脳機能が向上し年齢平均以上.最終的にリハビリ室まで防具を自分で運ぶ,面の紐結びを正座で行うことが可能となり目標達成.退院時時点での1ヶ月目標の実行度8点,満足度8点.3ヶ月の目標に向けては,実行度1点,満足度3点,実際に一人でボランティア活動に参加することへの不安や耐久性低下より防具を着ての歩行・長時間の素振り動作に疲労感があることが課題として残る.退院時,家族に退院後実際に体育館までの移動方法を一緒に確認して頂くよう依頼.
【考察】回復期リハビリでのIADLの直接訓練にMTDLPの活用したことで問題点や予後予測を整理し,明確化した適切なプログラムを立てて介入することができたと考える.剣道で使用する使い慣れた道具を実際に取り入れたことで「面の紐を結ぶ時左手が使いにくい」や「装具つけたままでは蹲踞姿勢取れない」などの発言が聞かれた.このことから,問題点に自分で気づいたことで目標達成のために生活場面での左手の参加や自主トレへの積極的な参加につながったと考える.今回,介護保険や医療サービスでのフォローアップを行なっていないため援助者が家族のみとなった.若年で就労者であることも考慮し,自立度の高い患者でも家族以外の援助者としてサービスの提案を行う必要があったと考える.
【基本情報】50歳代男性.X年Y月Z日に右被殻出血を発症.重度左片麻痺,注意障害,嚥下障害を呈した患者.Z+13日で当院回復期リハビリテーション病院に転院.同日PT/OT/STリハ開始.入院パスは,16週.病前ADLは自立.就労者で趣味はボランティア.週2日(午後)で地域児童に対し剣道を指導していた.自宅から体育館までは約500mで道中に階段や坂道はなく10kgの防具を持って徒歩で通っていた.入院経過に伴い心身機能はBRS(Lt)Ⅳ-Ⅴ-Ⅴと改善.しかし,MALは,AOU34.3点,QOU3.7点と生活場面での参加は少なく,巧緻性低下が残存.動作時に左肩の疼痛あり.高次脳機能障害として,分配性注意・処理速度,遂行機能低下.神経症状の改善に伴いLTGにIADL獲得を追加.目標の具体化を目的に入院12週でMTDLPを導入.
【介入】患者との合意目標を「リハビリ室まで自分で防具を運び防具に着替えることができる(達成期日:1ヶ月)」「体育館へ自分で防具を持って行き,防具に着替えることができる(達成期日3ヶ月)」に設定.訓練としてOTでは,竹刀の素振り・防具の着脱,疼痛改善目的で自主ストレッチの提供を実施.PTと剣道に必要な蹲踞姿勢や正座,床からの起立動作の獲得のための問題点を共有.剣道の動作に必要な面の紐結びや竹刀操作の獲得を目的にADLへの麻痺手の参加頻度を向上させて左上肢の随意性改善を図る.そこで,MALの項目をリスト化して看護・介護に評価/促し,自主トレの協力を依頼.
【結果】麻痺手は,随意性向上・疼痛軽減に伴い実用手獲得.MALは,AOU4.3点,QOU4.4点と向上.高次脳機能が向上し年齢平均以上.最終的にリハビリ室まで防具を自分で運ぶ,面の紐結びを正座で行うことが可能となり目標達成.退院時時点での1ヶ月目標の実行度8点,満足度8点.3ヶ月の目標に向けては,実行度1点,満足度3点,実際に一人でボランティア活動に参加することへの不安や耐久性低下より防具を着ての歩行・長時間の素振り動作に疲労感があることが課題として残る.退院時,家族に退院後実際に体育館までの移動方法を一緒に確認して頂くよう依頼.
【考察】回復期リハビリでのIADLの直接訓練にMTDLPの活用したことで問題点や予後予測を整理し,明確化した適切なプログラムを立てて介入することができたと考える.剣道で使用する使い慣れた道具を実際に取り入れたことで「面の紐を結ぶ時左手が使いにくい」や「装具つけたままでは蹲踞姿勢取れない」などの発言が聞かれた.このことから,問題点に自分で気づいたことで目標達成のために生活場面での左手の参加や自主トレへの積極的な参加につながったと考える.今回,介護保険や医療サービスでのフォローアップを行なっていないため援助者が家族のみとなった.若年で就労者であることも考慮し,自立度の高い患者でも家族以外の援助者としてサービスの提案を行う必要があったと考える.