[PM-2-2] 患者さんの「やりたい」を続けるために
【はじめに】
今回,自宅内で転倒し第12腰椎圧迫骨折を受傷した症例を担当した.症例は,退院後も趣味であるガーデニングを続けたいという強い希望があった.症例は自宅での転倒を繰り返している為,退院後もう一度本人が望むガーデニングを安全に継続できるよう,生活行為向上マネジメント(MTDLP)を導入し,本人への指導や家族・ケアマネージャーへ情報共有を行い,症例のしたい作業を支援する経験を得たので,考察を加え報告する.
【事例紹介】
70代女性.以前から自宅内での転倒リスクが高い方であったが,今回はさらに転倒リスクの高い屋外での作業を希望されていた.趣味がガーデニングであり,水やりなどは毎日1時間程度実施し集中しすぎると疲労感に気づかず作業を続けることがあった.屋外環境は庭の植木鉢は場所を移動するなど簡単な環境調整はされていたが把持物や休憩場所の設置はされておらず転倒の危険性があった.二人暮らしで息子は介護に対して協力的だった.
認知機能はMMSE-Jで25点,ADL動作に影響するような両上下肢の筋力低下や関節可動域制限はなく,C-PUW歩行で自立していた.応用動作やIADL動作では,目標物に対しての空間認識の低下,疲労時には軽度の小刻み歩行やすくみ足が出現し,徐々に突進様の歩行となる事があった.退院後もガーデニングを行う事が予測され,どの場面に危険があるのか評価するためにもMTDLPを用いて「病院の植木鉢のお世話をする」との合意目標を設定した.初回の満足・実行度ともに1/10点であった.
【リハビリテーション介入】
応用動作の強化や疲労感が出現するとどういったリスクがあるのか実際の場面で把握し,その都度指導を行うようにして本人への気づきを促すこととした.
基本プログラムとしては,下肢筋力強化・段差昇降練習・バランス練習,応用プログラムでは,応用歩行練習・15~20分程度の立位での両手動作練習,荷物運搬練習,床へのリーチ動作の強化,自宅の環境を想定し実際に院内の植木鉢への水やりを行う作業を実施した.その際,気を付けた事として,一度は本人がどのように実施するのか評価し,本人が実施しないと話された動作であっても想定される動作は行ってもらった.
【結果】
認知機能面はMMSE-Jで25点,歩行能力はT字杖自立レベルを獲得し,基本動作練習・応用動作練習に加え院内の植木鉢への水やり練習を行った事で,応用動作能力が向上した.また,その都度模擬的に実施した植木鉢への水やりの際に,動作指導を行った事で危険予測能力が向上し「杖はここに置いた方がいいね」「ここはつかまない方がいいね」などの発言が聞かれるようになった.しかし,疲労感に関しては「少し疲れてきているみたい」などの発言が聞かれる様になっていたが作業をしていると声掛けがあるまで集中してしまう場面も見られた.退院前には,その日の天気をみて「今日は水やりではなく花の選定をしよう」など院内でのガーデニングが習慣化し,内容は本人で決めるようになっていた.MTDLPの満足・実行度ともに9/10点であった,
【考察】
退院後も自宅内よりも転倒リスクのある屋外でのガーデニングを行いたい希望があり,MTDLPを行った.MTDLPを使用した介入は,病前からの本人の趣味であるガーデニングを家族と一緒により安全に自宅退院後も継続して出来るように支援でき,MTDLPの目的である「対象者が抱えている生活課題を解決すること」につながったと考えられた.今後も「意味のある作業」を継続出来るようMTDLPを活用しながら支援していきたい.
今回,自宅内で転倒し第12腰椎圧迫骨折を受傷した症例を担当した.症例は,退院後も趣味であるガーデニングを続けたいという強い希望があった.症例は自宅での転倒を繰り返している為,退院後もう一度本人が望むガーデニングを安全に継続できるよう,生活行為向上マネジメント(MTDLP)を導入し,本人への指導や家族・ケアマネージャーへ情報共有を行い,症例のしたい作業を支援する経験を得たので,考察を加え報告する.
【事例紹介】
70代女性.以前から自宅内での転倒リスクが高い方であったが,今回はさらに転倒リスクの高い屋外での作業を希望されていた.趣味がガーデニングであり,水やりなどは毎日1時間程度実施し集中しすぎると疲労感に気づかず作業を続けることがあった.屋外環境は庭の植木鉢は場所を移動するなど簡単な環境調整はされていたが把持物や休憩場所の設置はされておらず転倒の危険性があった.二人暮らしで息子は介護に対して協力的だった.
認知機能はMMSE-Jで25点,ADL動作に影響するような両上下肢の筋力低下や関節可動域制限はなく,C-PUW歩行で自立していた.応用動作やIADL動作では,目標物に対しての空間認識の低下,疲労時には軽度の小刻み歩行やすくみ足が出現し,徐々に突進様の歩行となる事があった.退院後もガーデニングを行う事が予測され,どの場面に危険があるのか評価するためにもMTDLPを用いて「病院の植木鉢のお世話をする」との合意目標を設定した.初回の満足・実行度ともに1/10点であった.
【リハビリテーション介入】
応用動作の強化や疲労感が出現するとどういったリスクがあるのか実際の場面で把握し,その都度指導を行うようにして本人への気づきを促すこととした.
基本プログラムとしては,下肢筋力強化・段差昇降練習・バランス練習,応用プログラムでは,応用歩行練習・15~20分程度の立位での両手動作練習,荷物運搬練習,床へのリーチ動作の強化,自宅の環境を想定し実際に院内の植木鉢への水やりを行う作業を実施した.その際,気を付けた事として,一度は本人がどのように実施するのか評価し,本人が実施しないと話された動作であっても想定される動作は行ってもらった.
【結果】
認知機能面はMMSE-Jで25点,歩行能力はT字杖自立レベルを獲得し,基本動作練習・応用動作練習に加え院内の植木鉢への水やり練習を行った事で,応用動作能力が向上した.また,その都度模擬的に実施した植木鉢への水やりの際に,動作指導を行った事で危険予測能力が向上し「杖はここに置いた方がいいね」「ここはつかまない方がいいね」などの発言が聞かれるようになった.しかし,疲労感に関しては「少し疲れてきているみたい」などの発言が聞かれる様になっていたが作業をしていると声掛けがあるまで集中してしまう場面も見られた.退院前には,その日の天気をみて「今日は水やりではなく花の選定をしよう」など院内でのガーデニングが習慣化し,内容は本人で決めるようになっていた.MTDLPの満足・実行度ともに9/10点であった,
【考察】
退院後も自宅内よりも転倒リスクのある屋外でのガーデニングを行いたい希望があり,MTDLPを行った.MTDLPを使用した介入は,病前からの本人の趣味であるガーデニングを家族と一緒により安全に自宅退院後も継続して出来るように支援でき,MTDLPの目的である「対象者が抱えている生活課題を解決すること」につながったと考えられた.今後も「意味のある作業」を継続出来るようMTDLPを活用しながら支援していきたい.