第57回日本作業療法学会

講演情報

ポスター

地域

[PN-10] ポスター:地域 10

2023年11月11日(土) 14:10 〜 15:10 ポスター会場 (展示棟)

[PN-10-10] 東京都における生活行為向上リハビリテーション実施加算を取得している通所リハビリテーションの説明

矢作 優, 古田 憲一郎, 平松 恭介 (医療法人社団苑田会竹の塚脳神経リハビリテーション病院リハビリテーション部)

【はじめに】
 通所リハビリテーション(以下, 通所リハ)の利用者に対して行ったランダム化比較試験では, 生活行為向上マネジメントの効果が示唆されている(能登ら, 2014). 厚生労働省(2020)は2015年度の介護報酬改訂において, 通所リハにおける生活行為向上リハビリテーション実施加算(以下, 生活行為向上リハ実施加算)を新設したが, 算定率は0. 4%にとどまっている. 以上より, 通所リハにおける生活行為向上マネジメントは有用性が認められているものの, 生活行為向上リハ実施加算の取得率は低迷していることが喫緊の課題であり, また支援内容は各事業所で様々である. そこで, 現在算定を行っている希少な事業所においてどのような支援が提供されているのかを調査することは意義があることだと考えられる.
【目的】
 本研究は, 生活行為向上リハ実施加算を取得している通所リハのウェブサイトを調査し, 通所リハに関する取り組みを明らかにすることである.
【方法】
 本研究はウェブサイトを活用した調査研究である. 検索するデータベースは厚生労働省の介護事業所・生活関連情報検索サービスを使用し, 東京都内の生活行為向上リハ実施加算を取得している事業所に限定した. なお, 検索期間は2022年10月30日~11月10日の間にアクセスした事業所とする. 調査項目は, 通所リハに関わるリハビリテーション専門職種と「ご紹介」「サービスの目的・内容」など対象事業所のウェブサイト内の通所リハに関する説明とした. 「設備案内」「施設基準」等, 事業所の設備に関わる説明は抽出しなかった. 分析方法は, 関わりのあるリハビリテーション専門職種については単純集計でまとめた. 通所リハに関する説明については, 各事業所のウェブサイトから対象箇所を抜き出し, Excelファイルにまとめた. 得られたデータの分析にはテキストマイニングソフトKHcoder(樋口, 2014)を用いた. ウェブサイトの中での頻出単語を抽出し, その特徴を確認するとともに単語同士の結びつきを表示した共起ネットワークを用いた.
【結果】
 東京都内の生活行為向上リハ実施加算を取得している45事業所が本研究の対象となった. リハビリテーション専門職種については, 対象である45事業所の中で理学療法士が配置されているのは45事業所(100%), 作業療法士が配置されているのは34事業所(75%), 言語聴覚士が配置されているのは24事業所(51%)であった. 頻出語の上位10項目は「リハビリ」「生活」「リハビリテーション」「療法」「介護」「利用」「機能」「行う」「訓練」「運動」の順に多かった. 共起ネットワークにおいて, 最も出現回数が多かった「リハビリ」は「個別」「生活」につながっており, 9つのサブグラフで通所リハの説明が構成されていた.
【考察】
 本研究では, 生活行為向上リハ実施加算を取得している事業所の通所リハの説明が「リハビリ」を中心に,「個別」と「生活」に関連していることが示された. また, 9つのサブグラフから利用者によって多種多様な支援が行われていることが推察された. 生活行為向上リハ実施加算は, 生活機能全般を向上させるバランスのとれたリハビリテーションが実施されるよう求められており(厚生労働省, 2020), 本研究でもその傾向がみられた.