[PN-12-7] 小児の訪問リハビリテーションに作業療法士として関わった一例
はじめに
今回精神運動発達遅滞等の診断を受けた患児に訪問リハビリテーション(以下訪問リハビリ)にて関わった.その経験を報告する.また,本発表にあたり,患児家族からの同意を得て当法人の倫理委員会の承認を得た.
症例紹介
訪問開始時2歳9か月の男児.精神運動発達遅滞,脳萎縮,自閉スペクトラム症(以下ASD),介入と同時期にてんかんの診断を受けた.遠城寺式乳幼児分析的発達検査は運動0:6,社会性0:4,言語0:3.触覚刺激に対し過剰に身体を反らす,手足を引っ込める.リーチ時は指尖で触れる.入浴,更衣は過度に反った姿勢になる.両親と同居,集団への参加はなし.触覚刺激に対しうまく対応できず,機能向上や活動機会の制限になっている.今後の就学に向け他者交流や集団への参加機会の増加が必要.
目標
長期目標:家族以外の他者と同じ空間で過ごせる,自宅以外の空間で過ごせる.短期目標:座って遊べる時間を増やす,入浴や更衣が楽にできる,手引きで歩けるようになる
経過
2歳9か月:基本動作練習,遊びを通した感覚入力を中心に行いながら,両親へ情報提供を実施.3歳1か月:感覚過敏,伸展が減少.手掌で物に触れる機会が増加.更衣で協力動作あり.また,足底接地が可能となり歩行への興味が強くなった.本人の興味に合わせ屋外歩行を実施.3歳3か月: 1日に何度も外を歩きたがるようになった.他者交流機会の増加を考え患児と面識の少ない新人スタッフと同行した.また,歩行と並行して自室で遊べる時間が増えるよう,患児のおもちゃで興味が向きやすい方法や,多様なリーチができるよう介入,両親に提案した.3歳4か月:自室にて40分遊べるようになった.デイサービス(以下DS)の利用を検討,体験利用に合わせセラピストも訪問し評価,利用開始となった.3歳5か月:てんかん発作が悪化,意識消失あり常に見守りが必要となった.両親や医師と日常生活への影響を共有した.
結果
遠城寺式乳幼児分析的発達検査は運動:1.4,社会性1:0,言語0:6.感覚の過敏や過度な伸展は軽減し,手掌での把持や更衣時に衣類に合わせて手を伸ばす,入浴では洗体時に座っていられるようになり介助量が軽減した.また,新たにDSの利用を開始した.てんかん発作については引き続きみられる.
考察
今回遊びを通して患児自ら対象に触ることで,患児のペースで触覚刺激を経験できた.また,訪問時に関わりの目的を両親に伝えながら見てもらうことで,日常生活で再現しやすくなり,自然に触覚刺激を受ける機会が増加した.それが更衣や入浴時の介助量軽減に繋がった.足底の刺激に対しても遊びながら足底接地が可能となり,歩行機会が増加,手引きでの歩行獲得に繋がったと考える.また,自室内でできる遊びの方法が増えたことで,患児の興味が歩行以外にも向きやすくなり自室内で過ごせる時間の延長に繋がった.また,DS利用開始となったこと,新人スタッフが同行し一緒に遊ぶことは患児の他者交流機会の増加に繋がった.
今後は就学をはじめ新たなコミュニティへの参加に向け,現在課題として残っているてんかんへの継続的な対応やコミュニケーション,精神機能への積極的な介入が重要である.
今回精神運動発達遅滞等の診断を受けた患児に訪問リハビリテーション(以下訪問リハビリ)にて関わった.その経験を報告する.また,本発表にあたり,患児家族からの同意を得て当法人の倫理委員会の承認を得た.
症例紹介
訪問開始時2歳9か月の男児.精神運動発達遅滞,脳萎縮,自閉スペクトラム症(以下ASD),介入と同時期にてんかんの診断を受けた.遠城寺式乳幼児分析的発達検査は運動0:6,社会性0:4,言語0:3.触覚刺激に対し過剰に身体を反らす,手足を引っ込める.リーチ時は指尖で触れる.入浴,更衣は過度に反った姿勢になる.両親と同居,集団への参加はなし.触覚刺激に対しうまく対応できず,機能向上や活動機会の制限になっている.今後の就学に向け他者交流や集団への参加機会の増加が必要.
目標
長期目標:家族以外の他者と同じ空間で過ごせる,自宅以外の空間で過ごせる.短期目標:座って遊べる時間を増やす,入浴や更衣が楽にできる,手引きで歩けるようになる
経過
2歳9か月:基本動作練習,遊びを通した感覚入力を中心に行いながら,両親へ情報提供を実施.3歳1か月:感覚過敏,伸展が減少.手掌で物に触れる機会が増加.更衣で協力動作あり.また,足底接地が可能となり歩行への興味が強くなった.本人の興味に合わせ屋外歩行を実施.3歳3か月: 1日に何度も外を歩きたがるようになった.他者交流機会の増加を考え患児と面識の少ない新人スタッフと同行した.また,歩行と並行して自室で遊べる時間が増えるよう,患児のおもちゃで興味が向きやすい方法や,多様なリーチができるよう介入,両親に提案した.3歳4か月:自室にて40分遊べるようになった.デイサービス(以下DS)の利用を検討,体験利用に合わせセラピストも訪問し評価,利用開始となった.3歳5か月:てんかん発作が悪化,意識消失あり常に見守りが必要となった.両親や医師と日常生活への影響を共有した.
結果
遠城寺式乳幼児分析的発達検査は運動:1.4,社会性1:0,言語0:6.感覚の過敏や過度な伸展は軽減し,手掌での把持や更衣時に衣類に合わせて手を伸ばす,入浴では洗体時に座っていられるようになり介助量が軽減した.また,新たにDSの利用を開始した.てんかん発作については引き続きみられる.
考察
今回遊びを通して患児自ら対象に触ることで,患児のペースで触覚刺激を経験できた.また,訪問時に関わりの目的を両親に伝えながら見てもらうことで,日常生活で再現しやすくなり,自然に触覚刺激を受ける機会が増加した.それが更衣や入浴時の介助量軽減に繋がった.足底の刺激に対しても遊びながら足底接地が可能となり,歩行機会が増加,手引きでの歩行獲得に繋がったと考える.また,自室内でできる遊びの方法が増えたことで,患児の興味が歩行以外にも向きやすくなり自室内で過ごせる時間の延長に繋がった.また,DS利用開始となったこと,新人スタッフが同行し一緒に遊ぶことは患児の他者交流機会の増加に繋がった.
今後は就学をはじめ新たなコミュニティへの参加に向け,現在課題として残っているてんかんへの継続的な対応やコミュニケーション,精神機能への積極的な介入が重要である.