[PN-2-10] 短期集中型サービス通所C事業におけるWHO QOL26の有効性について
【序論】高齢化が進行する我が国では短期集中型通所サービスC(以下通所C)とともに地域リハビリテーション活動支援事業において介護予防の取り組みを機能強化するためにリハビリテーション専門職が関与し,効果的なプログラムにつなげる役割を持つ.しかし,通所Cを行う上での課題として対象者は個人因子や地域格差などの環境因子による影響が大きいため,適切にアセスメントができるか否かはOTの経験に左右される.そこで今回,当院で委託を受けている町田市の通所Cにおいて,OTによるアセスメントと合意目標の設定,関わり方の方針を考える際の補助ツールとしてQOL26の有効性について症例を通して検討したので報告する.本症例には発表に関して書面にて承諾を得ている.
【症例紹介】80代女性,息子と二人暮らし.両下肢痛はあるが屋内伝い歩きにてADL/IADLは自立されていた.屋外歩行は両側ノルディックポールを使用し,麻雀や体操の自主グループ活動には参加されていた.しかし,徐々に歩きづらくなると自信もなくなり,これまで楽しみであった公園の散歩や箱根旅行には出歩く気力もなくなったと地域包括支援センターに相談し,通所Cが開始となった.
【方法】通所にて週1回事業所での運動プログラム(90分)を12回実施.OTは事業開始前に初回訪問としてケアマネジャー(以下CM)と自宅訪問し面談と生活行為向上マネジメント(以下MTDLP),QOL26を実施し,アセスメント,合意目標の設定,事業所への運動提案・指導を行った.また中間,最終評価では設定した目標の経過や達成度の確認,生活面へのアドバイスを行った.
【経過】初回評価:基本チェックリスト(以下KCL)では特にうつ傾向の項目が高く,できなくなったことや大変なことを話す場面が多く見られた.生活面では掃除機の使用が大変であり,趣味の麻雀や体操への移動も歩きづらいと話された.OT評価時にQOL26を実施し,QOL平均値3.26,自己肯定感の低下を課題とした.OT・CM・事業所担当と課題共有を行い,介入時に正のフィードバックの強化を行うよう助言をした.合意目標として①自治会館・クリニックの移動が楽にできる(実行度10/10,満足度5/10)②掃除機がやりやすくなる(実行度10/10,満足度5/10)とした.
中間評価:歩行の改善により効果を実感できたことで友人と公園の散歩も再開したと話された.一方で事業が終了することの不安を話され,「どうしたら続けられるの?」と依存的な様子が見られた.中間報告では動作改善に加え,変化・効果について自身が継続している自主グループ活動の効果と結びつけるよう共有した.また症例の他者への気遣いが,他者にとって大切な支えになっていることをCMと共有し本人に伝えていくようにした.
最終評価:運動機能の改善が自信になり,自主グループ活動での効果と認識し「自分でやることが大切なのね」と話された.長期目標であった友人との箱根旅行も事業終了時期に再開し,笑顔が多くみられた.
【結果】KCL14点→3点,QOL平均値3.26→3.84(女性平均3.39±0.48), 環境領域では1→1,特に心理的領域:自己認識では1→4と改善がみられた.合意目標①②ともに実行度10/10,満足度7/10と改善がみられた.
【考察】本症例はうつ的傾向の要素に関してQOL26を用いて自己認識と焦点化したこと,またMTDLPを用いて課題・具体的目標と関わり方の方針を多職種間で共有できたことで自己認識の改善からQOL向上につながったと考える.また自主グループ活動内における役割を自覚することで自己肯定感が高まり,活動拡大が得られたと考える.今回,症例を通して通所Cのアセスメントにおいて補助ツールにQOL26の有効性が示唆された.
【症例紹介】80代女性,息子と二人暮らし.両下肢痛はあるが屋内伝い歩きにてADL/IADLは自立されていた.屋外歩行は両側ノルディックポールを使用し,麻雀や体操の自主グループ活動には参加されていた.しかし,徐々に歩きづらくなると自信もなくなり,これまで楽しみであった公園の散歩や箱根旅行には出歩く気力もなくなったと地域包括支援センターに相談し,通所Cが開始となった.
【方法】通所にて週1回事業所での運動プログラム(90分)を12回実施.OTは事業開始前に初回訪問としてケアマネジャー(以下CM)と自宅訪問し面談と生活行為向上マネジメント(以下MTDLP),QOL26を実施し,アセスメント,合意目標の設定,事業所への運動提案・指導を行った.また中間,最終評価では設定した目標の経過や達成度の確認,生活面へのアドバイスを行った.
【経過】初回評価:基本チェックリスト(以下KCL)では特にうつ傾向の項目が高く,できなくなったことや大変なことを話す場面が多く見られた.生活面では掃除機の使用が大変であり,趣味の麻雀や体操への移動も歩きづらいと話された.OT評価時にQOL26を実施し,QOL平均値3.26,自己肯定感の低下を課題とした.OT・CM・事業所担当と課題共有を行い,介入時に正のフィードバックの強化を行うよう助言をした.合意目標として①自治会館・クリニックの移動が楽にできる(実行度10/10,満足度5/10)②掃除機がやりやすくなる(実行度10/10,満足度5/10)とした.
中間評価:歩行の改善により効果を実感できたことで友人と公園の散歩も再開したと話された.一方で事業が終了することの不安を話され,「どうしたら続けられるの?」と依存的な様子が見られた.中間報告では動作改善に加え,変化・効果について自身が継続している自主グループ活動の効果と結びつけるよう共有した.また症例の他者への気遣いが,他者にとって大切な支えになっていることをCMと共有し本人に伝えていくようにした.
最終評価:運動機能の改善が自信になり,自主グループ活動での効果と認識し「自分でやることが大切なのね」と話された.長期目標であった友人との箱根旅行も事業終了時期に再開し,笑顔が多くみられた.
【結果】KCL14点→3点,QOL平均値3.26→3.84(女性平均3.39±0.48), 環境領域では1→1,特に心理的領域:自己認識では1→4と改善がみられた.合意目標①②ともに実行度10/10,満足度7/10と改善がみられた.
【考察】本症例はうつ的傾向の要素に関してQOL26を用いて自己認識と焦点化したこと,またMTDLPを用いて課題・具体的目標と関わり方の方針を多職種間で共有できたことで自己認識の改善からQOL向上につながったと考える.また自主グループ活動内における役割を自覚することで自己肯定感が高まり,活動拡大が得られたと考える.今回,症例を通して通所Cのアセスメントにおいて補助ツールにQOL26の有効性が示唆された.