[PN-2-8] 脳卒中者の家族介護者の経験に基づく作業療法の検討
【はじめに】
作業療法士が,クライエントの作業参加を促進するためには,クライエントのみならずその家族介護者とその関係性に焦点を当てることが必要である(Louise,2022).しかし,作業療法士を含めたリハビリテーション関連職種による脳卒中者の家族へ支援の現状は,介護サービス・福祉用具の情報提供や身体介助の指導を行うことが多く,家族介護者の経験を考慮したアプローチには至っていない.そこで,本研究は,家族介護者の経験を理解することを目的に介護を担ってからどのように生活を再構築したかを作業の視点で探求し,家族介護者を含めた支援のあり方について考察した.
【方法】
研究参加者は,在宅生活を送る,脳卒中の診断を受けた者の家族(主たる家族介護者)とし,ポスター掲示にて募集した.本研究は,所属機関の倫理審査の承認(承認番号 2021-0026)を得た上で行われた.方法は,半構造化インタビューによりデータを収集した.分析は,①インタビュー音声から逐語録を作成し,②逐語録を精読し,家族介護者が行なっていたことや,そのやり方,行っている時の気持ちなどを抽出した.③行っていた作業の形態,機能,意味について検討し,④作業の形態から作業名を検討した.⑤作業名を介護時期別に分類した.⑥作業の形態,機能,意味の類似点と相違点を検討し,抽象度を上げたサブカテゴリー,カテゴリー化を行った.
【結果】
研究参加者は男性2名,女性3名であった.年齢は30〜70代,介護歴は約1年〜20年,脳卒中者との続柄は息子2名,娘1名,母1名,妻1名であった.脳卒中者は女性3名,男性2名,年齢は40〜70代,診断名は脳出血3名,脳梗塞2名,要介護度は1〜3であった.分析の結果,家族介護者の経験として4つのカテゴリー<自分を肯定的に変化させる>,<家族内の役割を果たす>,<自分が落ち着ける場所を求める>,<脳卒中者と作業を広げる>が見出された.本研究における家族介護者は,介護導入期には介護前に行っていた自身がしたい<自分を肯定的に変化させる>作業を失いながらも,<自分が落ち着ける場所を求める>ことで,脳卒中者と共に過ごし注意を払うことに時間を費やしていた.その後,家族介護者は,脳卒中者の状態を理解しながら,脳卒中者が主体的な作業に関わるよう働きかけ,脳卒中者の行える作業が増加し<脳卒中者と作業を広げる>,自分自身の作業も<自分を肯定的に変化させる>ように変化していた.
【考察】
本研究の結果から,脳卒中者の家族介護者が生活を再構築するには,家族介護者が脳卒中者の作業の状態を理解し,共に行い,自律的に行うことを依頼することが必要であったと考える.作業療法士が,脳卒中者と家族介護者の両者をクライエントと捉え,両者の自分らしい生活へと導く(Louise,2022)ことを実現するためには,家族介護者自身も生活を再構築しなければならない状況にいることを認識し,家族介護者の作業の理解に努める必要があると考える.また,家族介護者が脳卒中者を作業的存在として理解できるよう,そして家族介護者と脳卒中者が共に作業ができるような取り組みを考案及び提案することが必要となると考える.
作業療法士が,クライエントの作業参加を促進するためには,クライエントのみならずその家族介護者とその関係性に焦点を当てることが必要である(Louise,2022).しかし,作業療法士を含めたリハビリテーション関連職種による脳卒中者の家族へ支援の現状は,介護サービス・福祉用具の情報提供や身体介助の指導を行うことが多く,家族介護者の経験を考慮したアプローチには至っていない.そこで,本研究は,家族介護者の経験を理解することを目的に介護を担ってからどのように生活を再構築したかを作業の視点で探求し,家族介護者を含めた支援のあり方について考察した.
【方法】
研究参加者は,在宅生活を送る,脳卒中の診断を受けた者の家族(主たる家族介護者)とし,ポスター掲示にて募集した.本研究は,所属機関の倫理審査の承認(承認番号 2021-0026)を得た上で行われた.方法は,半構造化インタビューによりデータを収集した.分析は,①インタビュー音声から逐語録を作成し,②逐語録を精読し,家族介護者が行なっていたことや,そのやり方,行っている時の気持ちなどを抽出した.③行っていた作業の形態,機能,意味について検討し,④作業の形態から作業名を検討した.⑤作業名を介護時期別に分類した.⑥作業の形態,機能,意味の類似点と相違点を検討し,抽象度を上げたサブカテゴリー,カテゴリー化を行った.
【結果】
研究参加者は男性2名,女性3名であった.年齢は30〜70代,介護歴は約1年〜20年,脳卒中者との続柄は息子2名,娘1名,母1名,妻1名であった.脳卒中者は女性3名,男性2名,年齢は40〜70代,診断名は脳出血3名,脳梗塞2名,要介護度は1〜3であった.分析の結果,家族介護者の経験として4つのカテゴリー<自分を肯定的に変化させる>,<家族内の役割を果たす>,<自分が落ち着ける場所を求める>,<脳卒中者と作業を広げる>が見出された.本研究における家族介護者は,介護導入期には介護前に行っていた自身がしたい<自分を肯定的に変化させる>作業を失いながらも,<自分が落ち着ける場所を求める>ことで,脳卒中者と共に過ごし注意を払うことに時間を費やしていた.その後,家族介護者は,脳卒中者の状態を理解しながら,脳卒中者が主体的な作業に関わるよう働きかけ,脳卒中者の行える作業が増加し<脳卒中者と作業を広げる>,自分自身の作業も<自分を肯定的に変化させる>ように変化していた.
【考察】
本研究の結果から,脳卒中者の家族介護者が生活を再構築するには,家族介護者が脳卒中者の作業の状態を理解し,共に行い,自律的に行うことを依頼することが必要であったと考える.作業療法士が,脳卒中者と家族介護者の両者をクライエントと捉え,両者の自分らしい生活へと導く(Louise,2022)ことを実現するためには,家族介護者自身も生活を再構築しなければならない状況にいることを認識し,家族介護者の作業の理解に努める必要があると考える.また,家族介護者が脳卒中者を作業的存在として理解できるよう,そして家族介護者と脳卒中者が共に作業ができるような取り組みを考案及び提案することが必要となると考える.