[PN-4-11] ショッピングリハ@ソフィアテラスの立ち上げ
【はじめに】近年早期退院やADLに焦点を当てた制度改定に加え,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,当院では家屋評価,家族面会,外出泊の制限だけでなく,作業療法室が使用できない為に実用的な動作練習が不十分なまま退院となる患者が多く,在宅においても活動や社会参加に対する実践が制限されるなど,作業療法士(以下OT)が職業的アイデンティティとして重要な作業に焦点を当てた実践を行うことが困難な状況にあった.
【目的】今回,当院OTが作業に焦点を当てた実践を行う為にショッピングリハビリ(以下SR)事業を立ち上げる機会を得たため,事業紹介と経過,事例を報告し,OTとしての働きがいを考察する.なお紹介事例についてはプライバシー保護について説明,書面にて承諾を得た.
【事業紹介と経過】SRとは,ショッピングリハビリカンパニー株式会社(本社:島根県雲南市)が展開する「高齢者に必要な機能訓練を商業施設での買い物を通じて提供する,独自の通所介護向け作業療法プログラム」であり,当事業では個別対応にて利用者を商業施設まで送迎し,体操,歩行練習,そして買い物を通じて冷蔵庫の中身の想起,品物の選別や金銭の支払い,店員とのコミュニケーションなど,身体・認知機能を高め,活動と参加の機会を創出するプログラムを提供している.当院OTが自信を持って作業療法実践できる様にという動機のもと2022年2月にSR導入を提案,6月に楽々カート(SRで使用する前腕支持型歩行器)のモニター運用実施,7月に事業開始した.同年12月までの総利用人数は7名(男性2名•女性5名,年齢平均80.6歳),総件数は58件,利用店舗は大型商業施設やスーパーの他,銀行,農協,喫茶店,コンビニエンスストア,フルーツランド等個別のニーズに応じ多岐にわたる.
【事例紹介】80代女性,独居,要支援2,認知機能の低下が疑われ,生協の注文やコンビニエンスストアでの買い物などで大量に物を買い込む,調理しない野菜が冷蔵庫に残るなど生活管理が困難であった.既往に虚血性心疾患を抱え歩行中時折眩暈を訴えるなど,運動耐用能の低下が見られた.SRでは同じものを購入しないよう毎回冷蔵庫を確認,疲労を考慮し楽々カート導入,休憩を入れながらの実施,またケアマネジャーや訪問看護師と連携を図り生活管理に努めた.3ヶ月間の利用により,SR時の歩数が800-1000歩から1500-2000歩に増加,息切れや眩暈や休憩回数が減少し,一回のSRで回る店舗数が増加した.また自ら必要な物を事前にメモするようになり,「自分の足で歩くことと食べ物が届くことは全然違う.周りの人がどんな格好をしているかを見ることやお話できることも幸せ.」と感想があった.訪問看護師からは「自宅内の歩行が安定し,お話しする際の反応が良くなった.」と評価を得た.
【OTの働きがい】カナダ作業遂行測定(COPM)を用いた「自信を持って作業に焦点を当てた実践をする」というOTのニーズは事業開始前後で遂行度6→8,満足度7→9と向上し,「OTとして利用者の行きたいお店での作業遂行に介入し,ご家族や他事業者と共有できることがやりがい.」と感想を得た.SRを見学した病棟専従OTからも「退院後の生活イメージをつくる為に有用で自分自身のモチべーションや働きがいにつながった.」との感想を得た.
【まとめ】SRを通じ作業に焦点を当てた実践を行うことで,生活場面に即した利用者の活動と参加場面に介入し,生活の質の向上,運動機能•認知機能の維持•向上に寄与することができ,OT自身の自己効力感の向上,職業的アイデンティティの構築,働きがいにつながった.今後の課題は,地域の高齢者サロンなど地域独自のコミュニティや移送ボランティア等との連携,集団効果を期待した小グループのSR導入である.
【目的】今回,当院OTが作業に焦点を当てた実践を行う為にショッピングリハビリ(以下SR)事業を立ち上げる機会を得たため,事業紹介と経過,事例を報告し,OTとしての働きがいを考察する.なお紹介事例についてはプライバシー保護について説明,書面にて承諾を得た.
【事業紹介と経過】SRとは,ショッピングリハビリカンパニー株式会社(本社:島根県雲南市)が展開する「高齢者に必要な機能訓練を商業施設での買い物を通じて提供する,独自の通所介護向け作業療法プログラム」であり,当事業では個別対応にて利用者を商業施設まで送迎し,体操,歩行練習,そして買い物を通じて冷蔵庫の中身の想起,品物の選別や金銭の支払い,店員とのコミュニケーションなど,身体・認知機能を高め,活動と参加の機会を創出するプログラムを提供している.当院OTが自信を持って作業療法実践できる様にという動機のもと2022年2月にSR導入を提案,6月に楽々カート(SRで使用する前腕支持型歩行器)のモニター運用実施,7月に事業開始した.同年12月までの総利用人数は7名(男性2名•女性5名,年齢平均80.6歳),総件数は58件,利用店舗は大型商業施設やスーパーの他,銀行,農協,喫茶店,コンビニエンスストア,フルーツランド等個別のニーズに応じ多岐にわたる.
【事例紹介】80代女性,独居,要支援2,認知機能の低下が疑われ,生協の注文やコンビニエンスストアでの買い物などで大量に物を買い込む,調理しない野菜が冷蔵庫に残るなど生活管理が困難であった.既往に虚血性心疾患を抱え歩行中時折眩暈を訴えるなど,運動耐用能の低下が見られた.SRでは同じものを購入しないよう毎回冷蔵庫を確認,疲労を考慮し楽々カート導入,休憩を入れながらの実施,またケアマネジャーや訪問看護師と連携を図り生活管理に努めた.3ヶ月間の利用により,SR時の歩数が800-1000歩から1500-2000歩に増加,息切れや眩暈や休憩回数が減少し,一回のSRで回る店舗数が増加した.また自ら必要な物を事前にメモするようになり,「自分の足で歩くことと食べ物が届くことは全然違う.周りの人がどんな格好をしているかを見ることやお話できることも幸せ.」と感想があった.訪問看護師からは「自宅内の歩行が安定し,お話しする際の反応が良くなった.」と評価を得た.
【OTの働きがい】カナダ作業遂行測定(COPM)を用いた「自信を持って作業に焦点を当てた実践をする」というOTのニーズは事業開始前後で遂行度6→8,満足度7→9と向上し,「OTとして利用者の行きたいお店での作業遂行に介入し,ご家族や他事業者と共有できることがやりがい.」と感想を得た.SRを見学した病棟専従OTからも「退院後の生活イメージをつくる為に有用で自分自身のモチべーションや働きがいにつながった.」との感想を得た.
【まとめ】SRを通じ作業に焦点を当てた実践を行うことで,生活場面に即した利用者の活動と参加場面に介入し,生活の質の向上,運動機能•認知機能の維持•向上に寄与することができ,OT自身の自己効力感の向上,職業的アイデンティティの構築,働きがいにつながった.今後の課題は,地域の高齢者サロンなど地域独自のコミュニティや移送ボランティア等との連携,集団効果を期待した小グループのSR導入である.