第57回日本作業療法学会

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ポスター

地域

[PN-5] ポスター:地域 5

Fri. Nov 10, 2023 4:00 PM - 5:00 PM ポスター会場 (展示棟)

[PN-5-6] 『あなたの安全運転を守りたい』高齢者に対する安全運転教育

鍵野 将平1,2, 橋本 竜之介1,3, 龍神 正導4, 城内 良太5, 池端 歩由美1 (1.一般社団法人 和歌山県作業療法士会自動車運転と移動支援推進委員会, 2.森ノ宮医療大学総合リハビリテーション学部, 3.貴志川リハビリテーション病院リハビリテーション科, 4.公益財団法人 和歌山県理学療法士協会, 5.和歌山ダイハツ販売(株))

【はじめに】我が国では高齢社会であり高齢運転者が年々増加している.高齢運転者に対する運転免許の自主返納を支持する風潮で,返納促進のために全国で様々な取り組みがされている.そのため和歌山県においても返納者数は増加傾向であるが,免許返納率は全国でワースト1位である.自動車が生活には必要不可欠で返納したくてもできない状況であると考えられる.そこで今回,安全に長く運転を続けることを目的とし,一般市民向けに「あなたの安全運転を守りたい〜運転を長く続けるために必要なこと〜」と題したイベントを開催したので以下に報告する.なお,本報告にあたりイベント参加者に対し同意を得ている.
【方法】開催方法:和歌山県作業療法士会と和歌山県理学療法士協会が共催,和歌山ダイハツ販売株式会社が協力.日程・場所:2022年9月14日(水)に和歌山ダイハツ大浦店にて開催した.対象:参加者には特に条件を求めず先着20名とした.広報はプレスリリースを各メディアに配信し,新聞3社・ラジオ1社・地域雑誌1社から報道された.内容:実施内容は講義・体操・ドライビングシミュレーター・サポカー体験の4つで構成された.作業療法士が「加齢に伴う身体的.認知的変化と自動車運転」と題した講義を行った後,内閣府から発信されている「高齢者健康体操プログラム」を実施.その後ダイハツに設置されているドライビングシミュレーターを使用した運転年齢の測定と自動ブレーキ・ペダル踏み間違い急発進抑止装置を搭載したサポートカー体験を行なった.アンケート調査:時間も限られていたため内容は少ないが事後にアンケート調査を行った.本企画に対する満足度を「かなり満足」「満足」「普通」「不満」「かなり不満」の5段階で聴取し,その理由を自由記載とした.また本企画に関するご意見・ご感想を聴取した.
【結果】参加者は13名,平均年齢71±13.5(35-91)歳で男性7名,女性6名で全員からアンケートを回収した.アンケート結果について,本企画に対する満足度は,「かなり満足」が54%,「満足」が46%と参加者の満足度が高い結果となった.その理由については,「安全で安心して暮らせることを目的とした意義のある内容で大変良かったです」「いろいろな体験出来てとても楽しみました」など内容や体験について良好な意見があった.また「年齢に応じて乗車する時の身体の状態をよく知っておく」「自分の視野が狭くなっていることに気づいてびっくり」など自身の身体状況について考え知る機会となった.ご意見・ご感想では「自分の今の運転能力を確認でき,事故のない運転を続けたい」など前向きな意見を聞き取ることができた.社会への反響として,各種メディア(テレビ1社,ラジオ1社,新聞3社)に報道された.
【考察】運転を安全に長く利用するために必要なサポートとして,定期的な運転診断とフィードバックによる「気づき」や運転スキルの継続的なケアだと述べている(蓮花一巳.2019).さらに運転免許自主返納の意思決定プロセスは自分と身体の乖離に直面させられることがきっかけであるが,加齢による身体・認知機能の衰えは緩徐に進むために意識化されにくい(矢野真沙代.2020).本企画によって自身の身体の変化への「気づき」のきっかけになり,また意識することの重要性を認識できたと考えられ,安全に長く運転をするためにまた適切なタイミングで免許返納を検討する後押しになる可能性があるのではないかと考えられた.
【まとめ】今後も多職種と連携して今回のようなイベントを継続していく.