[PN-6-9] 要介護状態に対応した生涯暮らせる住宅環境の検討
序言:増え続ける社会保障の抑制のために生涯生活できる自宅の住宅環境整備が重要である.厚労省の調査によると人生の最後を迎えたい場所に着いて69.2%が自宅と答えている.しかしながら,多くは病院や施設で最後を迎えるケースは少なくないのが現状である.これまでの報告では施設入所に至る要因としては当事者の介護度,家族介護者の介護力,経済状況,居宅サービスの利用の有無などが挙げられているが,住環境の整備については検討されていない.そこで,そこで本報告では自宅で最期を迎えるために住宅の間取りと外構を含めたプランを作成し報告する.
経過:今回,建築士と作業療法士が協業し間口,段差,水回り,外構,周辺環境について住宅プランの作成を行った.対象はA氏,70歳代の女性,現病歴は両側変形性膝関節症.趣味は洋裁であり地域の公民館に通っていた.自動車運転免許は無し.自宅近隣に急勾配の坂道があり公共交通機関を利用することが困難.また,自宅から最も近くいスーパーまで約1.5km.家族構成は娘が3名と娘婿が1名.娘2名と同居.A氏に本報告について目的,種子を文書口頭で説明し同意を得た.今回,A氏が自宅での生活において段差高さと間口の狭さ,断熱性能が低く各居室の寒暖差にヒートショック,また,買い物や外出,趣味である洋裁を継続に対する不安を感じたため本プランを作成に至った.
生涯暮らせるために今後,A氏が脳卒中などによる片麻痺,脊髄損傷などによる対麻痺,変形性関節症の悪化などに伴う移動介助が必要になったことを想定し,土地の設置道路から寝室までのバリアフリー化を行った.また,車いすや歩行器でも通りやすいように間口,廊下の幅をメータモジュールで施工した.A氏の趣味である洋裁を行えるように趣味に専念できる部屋を設けリビング,自室,作業部屋,キッチンの移動が簡便にできるように施工した.階段については幅員を125mmとし階段の数を増やし緩勾配階段とした.
トイレについては,将来左右どちらの片麻痺になったとしても対応するために,左右に2か所の出入り口を設置した.脱衣洗面所についても同様に1坪設け更衣介助が簡便にできるように施工した.浴室については1600mm×2000mmのスペースをとり浴室内でシャワーチェアーでの介助ができるように施工した.さらに,トイレ,脱衣洗面所,浴室の動線を回遊動線とし車いす介助が簡便に行えるように施工した.玄関については上がり框が200mmあるが,玄関土間と玄関ポーチ縦横の幅を2000mm×2000mm確保し可搬式スロープが使用できるように施工した.外構については設置道路から玄関までは勾配8%のスロープを設置した.また,リビングの窓から出入りできるように開口部4m,段差300mmとし,奥行き1500mmのデッキを設置した.最寄りの公共交通機関まで坂道は無く約900m,スーパーまでは約1kmである.
考察:A氏に新生活について以前の住宅と比較した感想をインタビューしたところ「作業部屋が広くなったことで,作品の収納量が増えたことと洋裁がやりやすくなった.」「トイレ,浴室,洗面脱衣所が広くなり使いやすくなった」「買い物や外出が楽になった」との意見が聞かれた.住環境を対象者の生活習慣に合わせて調整したことで満足度の高い生活につながったと考える.満足度の高い生活を実現させるために入念なインタビュー及び建設予定地周辺の事前調査が重要と考えられる.また,今回,建築士と作業療法士が協業したことにより詳細なプラン作成に至ったと考える.
利益相反:共同研究機関から資金や物品の提供は受けていない.利益相反に関し,研究遂行にあたり研究の結果及び解釈に及ぼすような事項は無い.
経過:今回,建築士と作業療法士が協業し間口,段差,水回り,外構,周辺環境について住宅プランの作成を行った.対象はA氏,70歳代の女性,現病歴は両側変形性膝関節症.趣味は洋裁であり地域の公民館に通っていた.自動車運転免許は無し.自宅近隣に急勾配の坂道があり公共交通機関を利用することが困難.また,自宅から最も近くいスーパーまで約1.5km.家族構成は娘が3名と娘婿が1名.娘2名と同居.A氏に本報告について目的,種子を文書口頭で説明し同意を得た.今回,A氏が自宅での生活において段差高さと間口の狭さ,断熱性能が低く各居室の寒暖差にヒートショック,また,買い物や外出,趣味である洋裁を継続に対する不安を感じたため本プランを作成に至った.
生涯暮らせるために今後,A氏が脳卒中などによる片麻痺,脊髄損傷などによる対麻痺,変形性関節症の悪化などに伴う移動介助が必要になったことを想定し,土地の設置道路から寝室までのバリアフリー化を行った.また,車いすや歩行器でも通りやすいように間口,廊下の幅をメータモジュールで施工した.A氏の趣味である洋裁を行えるように趣味に専念できる部屋を設けリビング,自室,作業部屋,キッチンの移動が簡便にできるように施工した.階段については幅員を125mmとし階段の数を増やし緩勾配階段とした.
トイレについては,将来左右どちらの片麻痺になったとしても対応するために,左右に2か所の出入り口を設置した.脱衣洗面所についても同様に1坪設け更衣介助が簡便にできるように施工した.浴室については1600mm×2000mmのスペースをとり浴室内でシャワーチェアーでの介助ができるように施工した.さらに,トイレ,脱衣洗面所,浴室の動線を回遊動線とし車いす介助が簡便に行えるように施工した.玄関については上がり框が200mmあるが,玄関土間と玄関ポーチ縦横の幅を2000mm×2000mm確保し可搬式スロープが使用できるように施工した.外構については設置道路から玄関までは勾配8%のスロープを設置した.また,リビングの窓から出入りできるように開口部4m,段差300mmとし,奥行き1500mmのデッキを設置した.最寄りの公共交通機関まで坂道は無く約900m,スーパーまでは約1kmである.
考察:A氏に新生活について以前の住宅と比較した感想をインタビューしたところ「作業部屋が広くなったことで,作品の収納量が増えたことと洋裁がやりやすくなった.」「トイレ,浴室,洗面脱衣所が広くなり使いやすくなった」「買い物や外出が楽になった」との意見が聞かれた.住環境を対象者の生活習慣に合わせて調整したことで満足度の高い生活につながったと考える.満足度の高い生活を実現させるために入念なインタビュー及び建設予定地周辺の事前調査が重要と考えられる.また,今回,建築士と作業療法士が協業したことにより詳細なプラン作成に至ったと考える.
利益相反:共同研究機関から資金や物品の提供は受けていない.利益相反に関し,研究遂行にあたり研究の結果及び解釈に及ぼすような事項は無い.