[PN-7-10] 地域在住高齢者における活動強度別の身体活動量とPhase Angleの関連
【背景】身体活動の増加は健康寿命および寿命の延伸につながることから,高齢者の身体活動を促進することが望ましい.近年,生体電気インピーダンス(Bioelectrical impedance analysis;BIA)法より算出されるPhase Angle(PhA)が注目されている.PhAは,BIA法の測定値から直接的に算出される値であり,細胞の健康状態を示す.高齢者において,PhAは身体機能に関連するだけでなく,フレイルや死亡率の予測因子となり得ることから,簡便に測定が可能な身体的健康指標とされている.これまでに身体活動レベルとPhAの有意な関連性が明らかになっており,身体活動を増加させることがPhAの改善につながることが報告されている.しかしながら,身体活動とPhAの関連について,活動強度別に検討されていない.作業療法士は,低強度活動(セルフケア・家庭内活動)~中高強度活動(手段的日常生活動作・仕事関連活動)まで幅広い強度の日常生活活動を支援している.そのため,対象者の日常生活活動に関わることが多い作業療法士にとって,どの強度の活動への支援がPhAの改善に貢献できるかを明らかにすることは,根拠に基づいた介入戦略発展のための重要な資料となる.また,本研究より得られる結果は,作業療法の効果を障害発生やフレイルの予測因子の1つであるPhAという客観性の高いアウトカムで示すことに繋がる可能性を秘めている.
【目的】本研究は,地域在住高齢者における活動強度別の身体活動量とPhAの関連性を横断的に明らかにすることを目的とした.
【方法】本研究はA県B市在住の高齢者45名を対象とした.対象者45名のうち,要支援・要介護認定者2名と脳血管疾患または整形外科疾患の既往歴を有する2名を除いた41名(平均年齢:78.4±6.1歳,女性:85.4%)を最終分析対象とした.質問紙を用いて年齢,性,既往歴,介護認定の有無を確認し,身長,体重,握力,通常歩行速度,身体組成,身体活動量を測定した.身体組成は,InBody S10を使用した.なお,InBodyは他の測定を実施する前に測定した.測定肢位は仰臥位とし,電極を両側母指および中指,両側足関節に装着した.PhAは右半身および体幹の測定値から算出した.身体活動量の計測には三軸加速度計(Active style Pro HJA-750C)を使用した.加速度計は入浴と睡眠時間を除いた覚醒時に1週間着用し,土日を含む7日間のデータから座位行動(1.5METs以下),低強度活動(1.6-2.9METs),中強度活動(3.0-5.9METs),高強度活動(6.0METs以上)の活動時間を抽出し,分析に使用した.統計解析では,PhAと活動強度別の身体活動量の関連性を確認するために,従属変数をPhA,独立変数を活動強度別の身体活動量,共変量として年齢,筋肉量,握力,通常歩行速度を投入した重回帰分析(ステップワイズ法)を行った.本研究は,所属機関の倫理審査委員会で承認を受け,対象者に研究の概要を口頭と紙面で説明し同意を得た(承認番号:4-H026).
【結果】重回帰分析の結果,中強度活動のみPhAと有意な関連性が認められた(β=.298,p=.036).一方で,座位行動,低強度活動,高強度活動はモデルから除外された.
【結論】本研究において,地域在住高齢者の活動強度別の身体活動量とPhAの横断的関連性を検討した結果,中強度の身体活動が高齢者のPhAと関連することが明らかとなった.作業療法士は,作業参加や作業機能障害に介入し,対象者の日常生活動作能力の向上を図ることが役割である.本研究の知見より,作業療法士が関わることが多い屋外活動や手段的日常生活動作といった中強度の身体活動を促進することが,高齢者のPhA(≒身体的健康度)の改善に重要であることが示唆された.
【目的】本研究は,地域在住高齢者における活動強度別の身体活動量とPhAの関連性を横断的に明らかにすることを目的とした.
【方法】本研究はA県B市在住の高齢者45名を対象とした.対象者45名のうち,要支援・要介護認定者2名と脳血管疾患または整形外科疾患の既往歴を有する2名を除いた41名(平均年齢:78.4±6.1歳,女性:85.4%)を最終分析対象とした.質問紙を用いて年齢,性,既往歴,介護認定の有無を確認し,身長,体重,握力,通常歩行速度,身体組成,身体活動量を測定した.身体組成は,InBody S10を使用した.なお,InBodyは他の測定を実施する前に測定した.測定肢位は仰臥位とし,電極を両側母指および中指,両側足関節に装着した.PhAは右半身および体幹の測定値から算出した.身体活動量の計測には三軸加速度計(Active style Pro HJA-750C)を使用した.加速度計は入浴と睡眠時間を除いた覚醒時に1週間着用し,土日を含む7日間のデータから座位行動(1.5METs以下),低強度活動(1.6-2.9METs),中強度活動(3.0-5.9METs),高強度活動(6.0METs以上)の活動時間を抽出し,分析に使用した.統計解析では,PhAと活動強度別の身体活動量の関連性を確認するために,従属変数をPhA,独立変数を活動強度別の身体活動量,共変量として年齢,筋肉量,握力,通常歩行速度を投入した重回帰分析(ステップワイズ法)を行った.本研究は,所属機関の倫理審査委員会で承認を受け,対象者に研究の概要を口頭と紙面で説明し同意を得た(承認番号:4-H026).
【結果】重回帰分析の結果,中強度活動のみPhAと有意な関連性が認められた(β=.298,p=.036).一方で,座位行動,低強度活動,高強度活動はモデルから除外された.
【結論】本研究において,地域在住高齢者の活動強度別の身体活動量とPhAの横断的関連性を検討した結果,中強度の身体活動が高齢者のPhAと関連することが明らかとなった.作業療法士は,作業参加や作業機能障害に介入し,対象者の日常生活動作能力の向上を図ることが役割である.本研究の知見より,作業療法士が関わることが多い屋外活動や手段的日常生活動作といった中強度の身体活動を促進することが,高齢者のPhA(≒身体的健康度)の改善に重要であることが示唆された.