[PO-2-2] Life style re-design programをもとに生活習慣の改善が図れた事例
【はじめに】
退院後に生活が乱れる対象者は多く,地域生活での生活習慣を整える必要性がある.今回,食生活の乱れや社会的環境の変化があった事例に対してlife style re-design programを参考に介入し,良好な生活習慣が得られたため報告する.なお,発表にあたり病院長と対象者への同意は得ている.
【事例紹介】
事例は50代男性で母親と二人で暮らし,家事等は母親が担っていた.約一年前に脳梗塞を発症し,退院後に就労移行支援センターへ通所していたが食生活など生活習慣の乱れが生じていた.今回,脳出血(左視床)を再発し当院(回復期)に入院したが,1週後に母親が急逝し退院後は一人暮らしの予定となった.
【初回評価】
FIMは運動項目54点,認知項目32点,Fugl-Meyer Assessment上肢は53/66と麻痺は軽度で立位・歩行共にふらつきがみられたが,それらを伴わないADLは自立していた.就労を希望していたため就労移行支援のためのチェックリスト(以下チェックリスト)で評価した結果,食事面(4/5),体調不良時の対応(3/5)等に問題があった.健康管理に関するセルフエフィカシー尺度では「健康を守るため必要な情報収集をすることや助言を得ること」等へ自信がない(43/60点)と答えた.
【介入経過】
介入初期では,ADLや上肢機能,歩行能力の向上に向けて介入を行い,入院から2ヶ月後には日常生活を自立できる能力が獲得された.その後,健康管理能力を身につけるためにLife style re-design programを参考に①再発予防や食事管理についての講義②これまでの経験を共有する③実際に経験する④生活での発展の4つの順序で介入を実施した.
①では療法士から心不全の再発予防や食事制限のポイント等を数回に分けて説明し,翌日口頭での小テストを実施することで知識の向上を図った.「以前の生活習慣はダメだ,改善したい」という意識の変化がみられた.
その後の②では再発予防・食事制限のポイントから病前の生活を振り返り,運動習慣の必要性を感じていなかったこと,摂取カロリーを配慮しての食生活の組み立て方の知識不足を内省することにつながった.③では実際に再発防止のためにノートでの血圧管理やカロリー計算しての献立づくりを行い,どのメニューを減らすことでカロリーを抑えられるかという自発的な発言が得られた.
④カロリーなど本人が作成した献立を本人,栄養士を含めて調理訓練を行った.段階的に朝食(早朝リハビリでの調理),昼食(通常の調理),夕食(配食サービスを想定した病院食)と退院後の状況を想定し,最終的に退院後の1日の食生活を反復して模擬的に行い,空腹感等も体験した.これらを通して退院後も継続できそうとの自信が得られた.
【結果】
FIMの運動項目88点,認知項目33点でセルフエフィカシー尺度は52/60点であった.チェックリストでは食事面(2/5),体調不良時の対応(2/5)などの改善がみられ,退院時に就労移行支援センターへ引き継ぐことが可能となった.退院から1ヶ月後,1年後の聞き取りにて正しい生活習慣が継続されている.
【考察】
今回,Life style re-design programに基づいて,介入を行なうことで入院期間内に生活習慣の見直しが可能となった.一人暮らしや生活習慣の変更に必要なことを自分自身で気付き,見直す中で内的動機付けができたことで就労の基盤となる安定した生活習慣を退院後も継続できたと考える.
退院後に生活が乱れる対象者は多く,地域生活での生活習慣を整える必要性がある.今回,食生活の乱れや社会的環境の変化があった事例に対してlife style re-design programを参考に介入し,良好な生活習慣が得られたため報告する.なお,発表にあたり病院長と対象者への同意は得ている.
【事例紹介】
事例は50代男性で母親と二人で暮らし,家事等は母親が担っていた.約一年前に脳梗塞を発症し,退院後に就労移行支援センターへ通所していたが食生活など生活習慣の乱れが生じていた.今回,脳出血(左視床)を再発し当院(回復期)に入院したが,1週後に母親が急逝し退院後は一人暮らしの予定となった.
【初回評価】
FIMは運動項目54点,認知項目32点,Fugl-Meyer Assessment上肢は53/66と麻痺は軽度で立位・歩行共にふらつきがみられたが,それらを伴わないADLは自立していた.就労を希望していたため就労移行支援のためのチェックリスト(以下チェックリスト)で評価した結果,食事面(4/5),体調不良時の対応(3/5)等に問題があった.健康管理に関するセルフエフィカシー尺度では「健康を守るため必要な情報収集をすることや助言を得ること」等へ自信がない(43/60点)と答えた.
【介入経過】
介入初期では,ADLや上肢機能,歩行能力の向上に向けて介入を行い,入院から2ヶ月後には日常生活を自立できる能力が獲得された.その後,健康管理能力を身につけるためにLife style re-design programを参考に①再発予防や食事管理についての講義②これまでの経験を共有する③実際に経験する④生活での発展の4つの順序で介入を実施した.
①では療法士から心不全の再発予防や食事制限のポイント等を数回に分けて説明し,翌日口頭での小テストを実施することで知識の向上を図った.「以前の生活習慣はダメだ,改善したい」という意識の変化がみられた.
その後の②では再発予防・食事制限のポイントから病前の生活を振り返り,運動習慣の必要性を感じていなかったこと,摂取カロリーを配慮しての食生活の組み立て方の知識不足を内省することにつながった.③では実際に再発防止のためにノートでの血圧管理やカロリー計算しての献立づくりを行い,どのメニューを減らすことでカロリーを抑えられるかという自発的な発言が得られた.
④カロリーなど本人が作成した献立を本人,栄養士を含めて調理訓練を行った.段階的に朝食(早朝リハビリでの調理),昼食(通常の調理),夕食(配食サービスを想定した病院食)と退院後の状況を想定し,最終的に退院後の1日の食生活を反復して模擬的に行い,空腹感等も体験した.これらを通して退院後も継続できそうとの自信が得られた.
【結果】
FIMの運動項目88点,認知項目33点でセルフエフィカシー尺度は52/60点であった.チェックリストでは食事面(2/5),体調不良時の対応(2/5)などの改善がみられ,退院時に就労移行支援センターへ引き継ぐことが可能となった.退院から1ヶ月後,1年後の聞き取りにて正しい生活習慣が継続されている.
【考察】
今回,Life style re-design programに基づいて,介入を行なうことで入院期間内に生活習慣の見直しが可能となった.一人暮らしや生活習慣の変更に必要なことを自分自身で気付き,見直す中で内的動機付けができたことで就労の基盤となる安定した生活習慣を退院後も継続できたと考える.